眼科医が見ている(診ている)もの (2) (509)

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 次に、霰粒腫。これは麦粒腫と並んでポピュラーなマイボーム腺にできる慢性肉芽腫性炎症(脂肪肉芽腫)と言われています。臨床的な扱いとしては、小さければ経過観察で、大きくなれば切開・・・とシンプルなのですが、小さな子供の場合、押さえつけて切開するのは開業医としてはリスクが高いので、手術適応のハードルを上げます。手術を行う場合ですが、経結膜アプローチと経眼瞼皮膚アプローチとありますが、よほど皮膚側に偏在していない限り、私は、前者を選択しています。異論はあるでしょうが、一般的には、1%キシロカインを局注して、挟瞼器で挟んで、切開して、掻爬。これで殆ど治る訳です。ところで、霰粒腫は何故できるのでしょう?マイボーム腺は脂質を分泌するのですが、その腺構造から、分泌物は脂質と角質・分泌細胞崩壊産物の混合物と言われています。この分泌物が導管内で詰り、これに対する異物反応の結果、慢性肉芽腫性炎症を来たすと説明されています。つまり、マイボーム腺が閉塞しやすいほど霰粒腫が出来やすい?分泌物を構成する脂質の融解温度が上がる、導管上皮の角化亢進・・・などMGDが誘因?
 つまり、霰粒腫は異物反応(肉芽腫性炎症)の結果なので、手術以外の治療は、緊急避難的なものじゃなく、意外と治療の王道なのかもしれません。例えば、①ステロイド局注:これはうまく霰粒腫内にステロイドが入らない場合もあるでしょうが、80%程度の治癒率と報告されています。②温罨法:このレトロな治療法も、良く考えれば、目詰まりしやすいマイボーム腺内の脂を溶解させて、マッサージと併用させてその排出を促すというのは、発生病理から判断しても理に適った方法。実際、この方法とステロイド軟膏の併用で殆ど治ると言われている方もあります。子供の霰粒腫や手術を希望されない患者さんに対しては、このレトロな治療をもっと積極的に取り入れてもいい・・。ただ、現在温罨法装置を持たれている施設は殆どないと思うので、ホットタオルか市販のホットアイマスクの利用が便利。加えて眼瞼マッサージ&清拭行えば完璧?海外では眼瞼清拭用の製品が売られていますが、日本なら、化粧のクレンジングか、コンタクトレンズ洗浄液(低刺激性の界面活性剤)を使えばいい?
 ここで一つ問題なのは、化膿性霰粒腫。よく、麦粒腫を切開した時に、中から膿と一緒にマイボーム腺梗塞が出てくる事があり、要するに麦粒腫もマイボーム腺が閉塞して中で化膿菌が増殖するのですから、霰粒腫の経過中に麦粒腫が併発しても不思議じゃないし、実際しばしば経験します。一見麦粒腫のようにも見えるので、切開(穿刺)して排膿すれば治ると思っていたら、肉芽腫が残存。更に手術が必要な場合もあることを忘れてはいけません。
by takeuchi-ganka | 2011-01-15 15:50 | その他 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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