ルミガン1周年記念講演会 その3 (514)

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Ⅱ部
3、意外と難しい眼圧下降の評価法 東出朋巳(金沢大)

この演題が講演会の白眉?色々考えさせられる内容を含んでいる講演でした。

点眼変更して、眼圧が下がった時に、どう評価する?
1,眼圧測定の正確さ
精度:再現性(問題になるのはこちら)
※coefficient of repeatability 2.5mmHg(2回測定して差をとり、その標準偏差の2倍)を越えると有意な眼圧差ありと判断?(GAT:2~4mmHg)
確度:真の眼圧値

2,眼圧変動要因
日内・日々・季節・・・
同じ時刻で比較すべき(日内変動が一定なら・・・・、そうでないなら、そうでもなくなる?)
※実は、日内変動は一定でないとする報告あり。
Short-term repeatability of diurnal intraocular pressure patterns in glaucomatous individuals. Realini T, Weinreb N, Wisniewski S. Ophthalmology. 2011 Jan;118(1):47-51.
Diurnal intraocular pressure patterns are not repeatable in the short term in healthy individuals. Realini T, Weinreb RN, Wisniewski SR. Ophthalmology. 2010 Sep;117(9):1700-4.

※これを受けて、金沢大で二日間入院して日内変動測定して比較すると
⇒パターンは似ているようで、平均眼圧はまあまあだが、変動幅や測定時刻間の変化は大きく異なる。再現性は意外と悪い!(intraclass correlation coefficient (ICC):平均眼圧0.86、変動幅0.31、時刻間変化も悪い・・)つまり、1日入院して日内変動測定しても、それが正しいとは限らない。(これは今までの報告を変えてしまいかねない・・?)

※⊿IOP(眼圧下降)=真の薬剤による眼圧変動(A)+眼圧変動(B)

A > B の場合と A < B の場合がある。つまり、例えば点眼を変更して眼圧が下がったとしても、それは、薬剤によって真の眼圧が下がったのか、真の眼圧は不変だが、眼圧変動により下がったように見えているのか、いやむしろ眼圧は上がっているのに、大きな眼圧変動によって下がって見えたのか判断は難しい。
一般に、眼圧コントロール不良時に点眼を変更する事が多いが、それが変動によって眼圧がかさ上げされている時の点眼変更だった場合、変動による眼圧かさ上げがなくなれば、眼圧は下降し、真の薬剤による眼圧変動を隠してしまうことが多いことに注意すべき!点眼の評価が誤解される!
また、眼圧測定条件が一定かどうか。血圧測定のようなガイドラインがない。眼圧変動要因を少しでも少なくする意味でも、眼圧測定条件の標準化が必要?少なくとも10~15分安静にするぐらいは必要?
アドヒアランス:薬剤が変更になると、モチベーションが上がり、アドヒアランスが向上すると考えられる。これも点眼変更後、眼圧下降要因のひとつ。
※眼圧は何回測ればいい?5回の平均は、3回測れば推測できる。

3,PG関連薬(プロスト系)
 個体差について。ノンレスポンダーに対して、切り替えを行う事があるが・・・、一番有効なのは?メタアナリシスによると、大した差がない。
・クロスオーバー試験が、点眼効果を比較する場合のGold Standardだが、時間がかかる・・・
・両眼に別の点眼を(1眼1剤):両眼に同じ点眼をすると、左右眼の対称性が良く、R(相関係数)二乗が1に近い。つまり、異なる点眼をしても、1に近ければ、効果が近いと判断。期間も短いし、症例数も少なくていい。コントロールがないが・・・。1から大きく外れると、効果に差があると判断。それで、ラタノ・トラボ・ビマト・タフルの比較。ビマトとラタノのみ相関が悪く、ビマト>ラタノ。他は同じ。ビマトは、FPだけじゃなく、PM受容体にも作用するから・・
※ノンレスポンダーについて:あるPG剤を点眼して2週間後の平均眼圧下降が10%以下は2割程度。全てのスタデイで眼圧下降悪い症例はなく、1回の評価でノンレスポンダーと決めるのは危険。
  
 この講演は、重要な内容をいくつも含んでいました。我々は眼圧を測定し、その眼圧が高いのか高くないのか判断を迫られますし、高ければ、時に、点眼を変更し、その変更が有効なのかどうか判断します。たとえ眼圧が下がってもそれが真の眼圧変動による下降なのか、上がってもそれは変動が大きく関与していないか・・・判断を焦ってはいけない。
by takeuchi-ganka | 2011-01-31 15:34 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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