第二回関西Glaucoma Update その1 (522)

f0088231_7452615.jpg 昨年に続いて、大学の仲間内の緑内障勉強会があり、医療安全講習会後急いで駆けつけました。宇山教授時代の緑内障グループの同窓会的意味合いもあり、個人的にはかなり楽しめる勉強会。古希を過ぎたM先生も、とてもお元気で安心しました。今回の演者は、大阪医大の若くて美しい植木先生と、日本の緑内障界の超大物、白土先生です。

第二回関西Glaucoma Update

1、血管新生緑内障手術治療 そして その後 植木麻里 先生(大阪医大)
 最初の話題は、かつて、治療困難・失明確実だった血管新生緑内障(NVG)との戦いについて。POAGに対する流出路手術のようなスマートな話ではなく、演者の雰囲気とは異なり、手強い相手とのドロドロとした戦いの話です。
NVGの原因は、DMRが73%、RVOが16%、やはりDMRが多い。同じNVGとっても、その原因が一過性の場合と継続する場合で、手強さは違うでしょうが、基本的な戦略としては、1:虚血の改善 2:眼圧下降 そして3:抗VEGF・・
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講演内容と少し離れますが、血管新生緑内障といっても
1、開放隅角で、眼圧上昇なし
2、開放隅角で、眼圧上昇あり
3、徐々に閉塞しつつある時期で、当然眼圧上昇あり
4、閉塞隅角で、眼圧上昇あり。
と、様々なステージがあり、それに加えて眼底の方も糖尿病網膜症に限っても
A、増殖糖尿病網膜症だが、硝子体出血なし
B、増殖糖尿病網膜症で、硝子体出血あり
C、増殖糖尿病網膜症で、牽引性網膜剥離あり
と、様々なステージがあります。当然、4-Cが最悪のケースで、私には対応不可能ですが、今なら多分アバスチンいれて、新生血管消退させといてから徹底した硝子体切除を行いつつ、同時に十分の網膜光凝固を入れる。時にSOが積極使用されて追加網膜光凝固したり、また眼圧下降にはレクトミーが必須という大変な治療になりますが、1-Aなら、網膜光凝固だけで十分かもしれません。同じNVGといっても、その程度と眼底所見との組み合わせで、戦略は大きく異なると思います。
参考投稿:http://takeganka.exblog.jp/6712319
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※ルベオージス:糸ミミズのようなものなら緑内障屋で対処可能。太くなったものはダメ。(by白土)
※先ず十分のPRPを行う。網膜の85%焼き尽くせば新生血管なくなる・・?らしいが、兎に角、新生血管消えるまで焼く。諦めない・・

演者の提唱する対策
①硝子体手術+α
・毛様体扁平部レーザー:効果は弱くて一過性。上脈絡膜腔へ房水を流し、房水産生も抑えるらしい。
・毛様体扁平部濾過手術:これも長期的には持たないが、簡便で、一時的に眼圧を下げるにはいいらしい。
・毛様体突起部破壊術:半導体やクライオで。眼圧良く下がるが、uncontrollableで、眼球癆になることも。

硝子体手術のポイント
 ・徹底した硝子体郭清。ただ、やればやるほどバリアを破壊するという矛盾も・・
 ・将来の濾過手術に備えて上方結膜を温存。できればMIVSで少ない侵襲で・・・。ただ、これも結膜が温存できても、硝子体切除が不十分になれば本末転倒に・・

②レクトミーのポイント
1,角膜よりに大きくTM切除
2,PIは大きく
3,止血はしっかり
4,弁はタイトに(眼圧は高めにしてレーザー切糸)・・
5,硝子体切除後は、虚脱しやすいので、前房にinfusion port、硝子体腔に25Gポートを準備しておく。
※魔のサイクルを断つ!
レクトミー ⇒ 低眼圧 ⇒ NVから出血 ⇒ 増殖因子 ⇒ 濾過胞の平坦化・瘢痕化 ⇒ 眼圧上昇 ⇒ レクトミー・・・・


この戦略での成果(勿論1回の手術の成績じゃないらしい・・・・)
1、硝子体手術のみ      66・6/33.3%(<21/<15) (15眼)
2、レクトミーのみ        79.4/55.9%(<21/<15) (35眼)
3、硝子体手術+レクトミー  100/66.6%(<21/<15) ( 9眼)
4、毛様体破壊         72.7/63.6%(<21/<15) (11眼)
なかなか良好な成績。ただ毛様体破壊は光覚なしが4眼も・・この成績は6カ月だが、長期に見ても62.5%(<15)。現実は茨の道のようですが、アバスチンも使うことで(?)、眼圧だけみるといい成績になっています。
※問題の多い毛様体破壊術を避け、最近は毛様体扁平部挿入型インプラントを導入されたようで、5例行って全て15以下に。安全かつ有効? 術後1カ月のhypertensive phaseさえマッサージで乗り越えたら・・
※ただ、どうやらこの1ヶ月後の眼圧上昇はインプラントの中が詰まってきたのではない?
http://www.ahmedvalve.com/
Digital ocular massage for hypertensive phase after Ahmed valve surgery.
Smith M, Geffen N, Alasbali T, Buys YM, Trope GE.
J Glaucoma. 2010 Jan;19(1):11-4.


硝子体手術の後・・・
時に、視力不変・眼圧良好なのに、見えにくいと訴えがあり、視野を測ると驚くほど狭窄している症例が。調べてみると、術後眼圧に関わらず3割で視野は狭くなっている。これは、網膜に対するPRPの影響?神経保護(B12やATP)・循環改善剤(nipradilol)の投薬が必要だと・・。
by takeuchi-ganka | 2011-02-28 07:47 | 緑内障 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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