アディポサイトカイン (※何故太ったらダメなのか・・・)  (525)

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本当に困った時間でしたが、少しだけ全く専門外の領域を勉強する機会があり、『アディポネクチン』と言う言葉を初めて聞きました。ただ、単なる時間の無駄で終わりたくないので、少しだけ勉強してみることにしました。この『アディポネクチン』は、脂肪細胞から分泌される生理活性物質。ほんの少し(?)前まで(私は数時間前まで)、脂肪細胞は、余った脂肪で満たされているだけの細胞(貯蔵庫)と考えていましたが、それは大きな誤解のようで、重要な生理活性物質を活発に産生・分泌している巨大な内分泌器官なのだそうです。それが、肥満になって過剰に脂肪が蓄積されると、生理活性物質の分泌異常を起こし様々な疾患の原因になっているらしいのです。そのひとつがアディポネクチンで、当然脂肪細胞から分泌されますが、肥満になると逆に分泌減少するようです。Y君失礼しました。逆でした。君は分泌減少派でした・・。
アディポネクチンを含んだもう少し広い概念がアディポサイトカインで、これには、善悪様々なものがあるようです。繰り返しになりますが、脂肪(特に内臓脂肪)は、単に余ったエネルギーを貯蔵しているだけじゃなく、多彩な生理活性物質を出したり、引っ込めたりしている。アディポカインは善玉の代表で、肥満が進むと、善玉が減って悪玉が増加し、様々な疾患(糖尿病悪化、高血圧悪化、動脈硬化進行、心筋梗塞・脳卒中リスク増加)を引き起こすと説明されています。だから、太るということは、危険なのです。
アディポネクチンは善玉ですが、悪玉の仲間には、レプチン(摂食抑制)、TNF-α(インスリン抵抗性↑)、アンジオテンシノーゲン(血圧↑)、PAI-1(血栓形成)などがあり、最近発見されたアディポカインには、Visceral Adipose Tissue-derived SerineProtease Inhibito(r Vaspin),ケマリン,Secreted frizzledrelatedprotein 5(Sfrp5)などがあるそうです。
偶々目にした論文に出てきたのは、虚血性網膜症のマウスモデルを作成し、そこにアディポネクチンを投与したり、PPAR-γアゴニスト(糖尿病治療薬)チアゾリジン誘導体を投与を介してアディポネクチンを増加させて、網膜血管新生を抑制・・・・・など。面白そうな話題から急に難解で興味を惹かない話題に移ります。
血管内皮障害⇒ICAM-1, VCAM-1発現⇒単球接着⇒・・・・と動脈硬化の初期変化が説明されていますが、ここにアディポカインがあれば単球接着をおさえる事でその初期変化を予防できるようで。単球が接着しないのは、アディポネクチンがNF-κBの活性化を抑制するから・・などと、意味不明な(?)説明が書かれています。他に、血管平滑筋にもマクロファージにも直接作用し、動脈硬化抑制に働くようです。adiponectin-knockout (APN-KO) miceでは、血管内皮障害に過剰反応し強い内膜肥厚が生じるようです。(肥満の科学:船橋徹) 

Higuchi A, Ohashi K, Kihara S, Walsh K, Ouchi N. 
Adiponectin suppresses pathological microvessel formation in retina through modulation of tumor necrosis factor-alpha expression. 
Circ Res. 2009 May 8;104(9):1058-65.

09年と少し古い論文ですが、この多彩なアディポネクチンの作用が眼科医としては、病的網膜血管新生にどう働くかが仕事に繋がる?普通のマウスとadiponectin-knockout (APN-KO) マウスに虚血性網膜症をつくり、アディポネクチンを投与することで、TNF-αの発現を制御することで、病的血管新生を抑制できることを示されています。
※でも、これは肥満と網膜新生血管関連疾患の関係を示したものではない?

Thiazolidinediones reduce pathological neovascularization in ischemic retina via an adiponectin-dependent mechanism. 
Higuchi A, Ohashi K, Shibata R, Sono-Romanelli S, Walsh K, Ouchi N. 
Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2010 Jan;30(1):46-53.

糖尿病治療薬のチアゾリジン誘導体は、インスリン感受性増強剤として開発されたが,アディポネクチン血中濃度を増加させ,単なる血糖降下薬でなく動脈硬化疾患も予防する可能性が示されているので、眼科としても、同じように?、TZDsを投与すると血中アディポネクチン上昇(with TNF-αの発現を制御)を介して病的血管新生を抑制。ただ、APN-knockout (KO) miceでは効果がない。
※アディポネクチンは、糖尿病網膜症の血管新生に関わっている?? そこはよく分かりません。

眼科の話は面白くないですが、何故太ると駄目なのか、そんな簡単な事・・と思いきや、実は、少し前まではよく解明されていなかった可能性がある。太っている事が、様々な成人病の原因になっていそう・・・とは思っていましたが、まさか、肥満になれば、脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの動きに変化があり、それが動脈硬化・高血圧・糖尿病・脳卒中などの疾患のリスクと強く関連している。まだまだヒトの体はわからないことだらけ。
by takeuchi-ganka | 2011-03-20 11:44 | 糖尿病網膜症 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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