ウイルス性結膜炎:眼科医が見ているものシリーズ その4 (528)
2011年 04月 13日
①眼瞼(麦粒腫) http://takeganka.exblog.jp/15280254/
②眼瞼(霰粒腫) http://takeganka.exblog.jp/15336993/
③眼瞼(マイボーム腺機能不全) http://takeganka.exblog.jp/15382518/
と眼瞼について3回書いて、今回4回目です。ここから角膜・結膜に話題を移そうと思います。私のような一般開業医を受診される患者さんの原因疾患としては、最も多い部位ではないでしょうか。次の題材は『結膜』にします。
④ウイルス性結膜炎
結膜炎と言っても原因はウイルス・細菌・アレルギー・・・など様々です。
ウイルス性結膜炎は、アデノウイルスに代表される所謂『はやりめ』などと呼ばれる結膜炎が代表的で、充血・浮腫・濾胞が瞼結膜の代表的な所見です。Epidemic Keratoconjunctivitis(流行性角結膜炎)と呼ばれ、昔からEKCと呼んでいます。ウイルス性結膜炎の特徴は、いつか治るって事です。何カ月も続く事はあり得ません。重症度にもよりますが、本格的なEKCで数週間でしょうか。ただ、症状は強くて、異物感・流涙・眼脂・霧視・・・時には眼瞼が腫れあがって開けてられない事もあります。こんな症状が1週間以上続くのは、非常に辛い状況です。従って、いつか治る疾患ではありますが、症状を軽減する意味で積極的にステロイドを含む点眼を処方しています。
EKCは、アデノウイルスで発症するのですが、8・19・37などの血清型は重症の結膜炎で3・4・7・11などは軽症の結膜炎或いはPCF(咽頭結膜熱:プール熱)を引き起こすと言われています。アデノチェックという診断キットが開発され、これで陽性であればアデノウイルス感染であることが確定しますが、陰性だからと言って、アデノウイルス感染が否定できる訳じゃなく、そこはやはり臨床判断で、EKCと診断することもあるのです。また、アデノチェックで8・19・37と3・4・7・11を分けることも出来ない訳で、軽症なのか重症化するのかも判断できません。そんな訳で、私はあまりアデノチェックを行っていません。重症例の所見を参考までに・・・
①結膜所見:充血・濾胞

②結膜所見:偽膜(除去する途中の写真)

③角膜上皮炎、多発性角膜上皮下浸潤(MSI)

