2011年 05月 11日
第115回日本眼科学会 その1 (532)
詳細を把握している訳じゃありませんが、宇山先生を偲ぶ会は、どうやら6月12日午後にロイヤルホテル大阪で行われるようです。今週日本眼科学会が行われることもあり、関係者には案内が若干遅れると思いますが、時間がありませんので、関係者は心づもりお願いします。
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そろそろいい香りを放ち始めたニセアカシア⇒
日本眼科学会は、学会の規模が大きいのと、マニアックな研究成果の発表も多く、一般臨床医にとっては、あまり楽しくない学会なのですが、5年に1度は出席する事が眼科専門医に更新に必須となり、仕方なく行く事にしました。と言っても、日々の診察があるので、週末にチョコッとして出席できませんが・・。抄録を見ながら、興味深いものをチョイスしてみます。
01-033 Spectral-domain OCT radial scan 画像からの視神経乳頭三次元画像構築 京大
現行機種の中で最も高性能なOCTのスペクトラリスを用いたEDI法(SD-OCT Enhanced depth imaging)で、視神経乳頭のradial scan画像を撮影し、NeuronJとAvizo3D Visualization Frameworkを用いて、視神経乳頭の3次元解析を行い、緑内障眼の視神経乳頭解析に役立てようというのです。
(ご存知のように、緑内障眼においては、眼圧と脳脊髄液圧とのバランスがIOP>CSFPとなると(??)篩状板(LC)が後方に屈曲し、この部位で神経線維障害が発生すると言うのであれば、この部位の歪みが簡単に測定できれば非常に有用な気がします。ただ、LCが徐々に歪んでその後、何年かして、神経節細胞死が生じるのなら、更に超早期発見に繋がる?)
01-139 黄斑部Gnglion cell complex厚/網膜全層厚比(G/T比)の緑内障診断能の検討 東邦大
緑内障では、網膜神経節細胞が最初に障害されるので、OCTを用いて緑内障を早期診断する為に、その厚みを測定する事が試みられています。RTVue-100では、mGCCと呼ばれる黄斑部網膜のNFL+GCL+IPLの厚みを測定していますが、この値を網膜全層厚で割ったG/T比が緑内障診断により有用だと・・・。
P-232 2種のスペクトラルドメイン光干渉断層計による網膜内層厚の比較 東邦大
RTVue-100とトプコン3D OCT-2000のGCC厚はよく相関。(違ってたら大変・・)
P-233 初期原発開放隅角緑内障(広義)眼におけるGCC面積と視野障害との関連 岐阜大
シラスの中心窩を含む断層像を医師が肉眼で線引きしてGCC面積測定。これでもハンフリーの中心視野とよく相関。(automated segmentationしてくれないので、肉眼でやってしまい、有効だと。新しい機種が購入出来ない場合、こんな手段もあり?)
P-234 緑内障手術前後における黄斑部網膜神経節細胞複合体厚の変化 東邦大
レクトミーで平均眼圧22から13まで下降しても、GCCに有意な変化なし。(そりゃそうでしょう・・)
P-235 早期緑内障の黄斑部神経節細胞複合体厚と視神経乳頭周囲神経線維厚の関係 大阪市大
GCCの方が、ONHよりより早期(視野変化のない時期)から低下する。
(ONHで10時の部位の異常があったとすれば、網膜の様々な部位(乳頭に近い部位も遠い部位も・・という意味)の神経節細胞由来の神経線維の異常。GCCは、ある網膜の特定の部位の神経節細胞の異常。当然後者が早期に異常を示す筈。)
P-235 OCTによる正常眼圧緑内障の脈絡膜厚の計測 三重大
視野が進行する緑内障と安定している緑内障では、前者の方が脈絡膜厚が薄い?! (スペクトラリスOCTは網膜厚だけじゃなく、脈絡膜厚も分かるOCTですが、この結果はどう解釈すればいいのでしょう。何故緑内障が発生するのか・・・というメカニズムとは別次元の安定群か進行群かに関わる大きな要因??)