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第115回日本眼科学会 その4 (535)

 故 宇山昌延 名誉教授『お別れの会』
 平成23年6月12日 午後1時~3時
 リーガロイヤルホテル大阪2階 山楽の間
 お別れ式 午後1時~2時
 偲ぶ会  午後2時~3時


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第115回日本眼科学会 その4 (535)_f0088231_16533184.jpg

日本眼科学会学術奨励賞受賞講演
他にもいろいろシンポジウムは会ったのですが、間違って日本眼科学会学術奨励賞受賞講演・・などという、とんでもなく難しい講演の会場に入ってしまいました。会場はまだ閑散としています。座長はこの5名を日本眼科の宝だと言われているのですが・・・

1、糖尿病性網膜微小血管傷害のメカニズムとROCK阻害剤による病態制御の可能性 有田量一(九大)
※低分子G蛋白Rhoによって標的分子Rho-kinaseが活性化されると、その下流で様々な標的分子(myosin phosphatase の他に、ERM family(ezrin, radixin, myosin)、adducin・・・)の活性化が生じる。細胞の分裂・増殖・肥大・遊走・・・・・・。この経路(ROCK)が関連している様々な病態が明らかになりつつあり、そこを制御する薬物の開発が世界中で行われているようです。
緑内障の世界でも、宇部興産と参天製薬がDE-104というROCK阻害薬を共同開発していました。ROCK経路を阻害する薬剤が、線維柱帯の細胞骨格に作用し、房水流出抵抗を軽減することが期待されていました。このコンベンショナルルートに働く薬剤は、ピロカルピンくらいしかなく(?)、治療の選択肢が広がると、DE-104には大きな期待を抱いていたのですが、どうやら開発中止??? じゃあ、SNJ-1656に期待?

1,糖尿病網膜症初期において、白血球の網膜血管内皮への接着とそれに伴う血管内皮細胞傷害
2,Rho/Rho-kinase(ROCK)経路の活性化(微小血管障害との関連)
3,選択的ROCK阻害薬fasudilが糖尿病ラットで、網膜血管への白血球の接着を抑制、その後の血管内皮細胞傷害も抑制(一酸化窒素合成促進を介して・・)
※新しい糖尿病網膜症治療薬への道?
ファスジルは、既に07年に旭化成ファーマから『くも膜下出血術後の脳血管攣縮およびこれに伴う脳虚血症状の改善』目的として販売されていますが、恐らく、開発・発売当初は、『ファスジルが、新しい作用機序 (Rho-kinase 阻害作用)をもつ薬剤で、Rho-kinaseの機能についての解明が進むにつれ』、この演題の糖尿病網膜症初期だけでなく、様々な疾患に有効かもしれないと・・・期待をもたれているのだと思います。
Arita R et al. Rho kinase inhibition by fasudil ameliorates diabetes-induced microvascular damage. Diabetes. 2009 Jan;58(1):215-26.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2606876/?tool=pubmed
Commented by takeuchi-ganka at 2011-05-22 00:00
新しい緑内障点眼薬の開発において、ラタノを基準にすると、新薬の承認は非常に困難だと思いますが、作用機序が異なり、ラタノに追加して、確実に眼圧下降が期待できる薬剤であれば、ラタノの半分ぐらいの眼圧下降効果しかなくても承認することは、緑内障患者さんの利益になると信じます。厚労省の役人に、少しでも柔軟性のある頭脳があるといいのですが・・・
by takeuchi-ganka | 2011-05-21 16:53 | 学会報告 | Comments(1)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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