第382回 大阪眼科集談会 (540)

 現総理が前総理にペテン師扱いされるという大震災なみの災難なトップを仰ぐ日本ですが、我々はこの国に住み続けなればいけない・・・。でも、その後の報道見ている限り、ペテン師のあがきも風前のともし火?そんな永田町の騒ぎとは関係なく、家の前の菖蒲園はもうすぐピークを迎えようとしています。6月4日・5日は、花しょうぶフェスティバルが行われ、夕方には城北公園の菖蒲園内で無料コンサートがあります。たとえ雨が振っても、このコンサートはいい感じですよ。

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1 Cetuximabによる大腸癌治療中に糸状角膜炎を生じた1例 近大 
この抗癌剤は、EGFRに対する抗体で、様々な副作用が報告されているが、眼科領域ではPEDの報告あり。
今回の症例は、ドライアイがベースにありそうな患者さんにCetuximabが投与され、数カ月して糸状角膜炎。通常治療では改善せず、EGF点眼で改善。Cetuximabは、EGFの受容体対する親和性がEGFの5倍ほどあり、その為にEGFの作用が抑制されている為の角膜上皮障害?だから、点眼することで改善?
*EGFは上皮細胞成長因子。Cetuximabは、悪性腫瘍ではEGF受容体の過剰発現が見られるので、そこをターゲットにした抗癌剤。当然、EGFRが発現している部位では副作用が危惧される。

2 PDT併用トリプル療法で、良好な視力を得た網膜血管腫状増殖の一例 関西医大枚方
非常に難治のRAPに対して、ルセンティス硝子体注射・テノン嚢下TA投与+PDTのトリプル療法を行うと効果あり。先にルセンティスを行うのではなく同時。先に行って脈絡膜新生血管が退縮すると、ビスダインがあまり集まらないので、PDTの効果が弱くなると考えて同時に行うらしい・・。
*長期経過は大丈夫?

3 脈絡膜新生血管を伴った網膜上膜に対する硝子体手術終了時に抗VEGF薬投与を行った2例 関西医大
高度近視の脈絡膜新生血管・ERM・分離症などがある症例に、硝子体手術を行ってERM/ILM剥離して抗VEGF投与しておくと有効だった。ILM剥離直後だと、網膜下への浸透もよさそう・・。
池田先生:ERMとるだけで、脈絡膜新生血管の活動性(AMD)が下がることもあるらしい。

4 大阪回生病院における涙道治療成績 大阪回生
積極的に涙管チューブやDCRをされて良好な成績。ただ、涙嚢炎があると涙管チューブの成績悪く、DCRがいい。粘膜上皮障害が高度なので。閉塞部位では、涙点から涙小管の閉塞の方が、さらに下流の閉塞より成績良好。
※プロトコール:術後2週間毎に涙管通水、2か月後抜去、3ヶ月間抗菌・ステロイド点眼継続

5 神経ベーチェット病に伴った非典型的な網膜血管炎の1例 大阪医大
十分理解できませんでしたが、ベーチェットの激しい全身症状があり、特にめまいが強く眼科の検査もできないほど。前医のデータを見ると血管炎。点状出血・白斑。ただし典型例の羊歯状過蛍光はなく、もっと大きな血管の過蛍光?やがて神経ベーチェットが疑われた後ステロイド内服が投与され、眼所見も改善したよう・・・。

6 伝染性紅斑(りんご病)に合併した視神経症の成人例 近大堺
眼科医としてはあまり馴染みがないですが、伝染性紅斑(りんごほっぺ病)というポピュラーな疾患。ヒトパポバウイルス(human parvovirus B19)の感染症。初期にウイルス血症があり、それがほぼなくなった頃紅斑がでる。今回その紅斑も消えてから視神経症発症。中尾先生によると、視神経症の65%は特発性だが、この中には多分多くのpost infectious タイプがある筈で、今回の症例もそのひとつだと・・。今まで視神経症の原因として取り上げられていないヒトパポバウイルスだが・・。中尾先生が、特発性視神経症に新たな切り口で挑まれているようです。
 
7 内因性細菌性眼内炎鎮静後晩期に発症した網膜剥離の1例 大阪医大
DIC、肝膿瘍、髄膜炎・・・眼所見は虹彩炎・白内障・硝子体混濁・網膜下膿瘍。原因菌はクレブシエラ。抗菌剤が投与され、眼所見も改善。片眼失明、片眼(0.02)。ただ、その後、網膜全剥離に。壊死網膜が瘢痕化し、増殖膜に牽引され、裂孔形成、網膜剥離という流れのよう・・

8 デジタルカラー写真の赤・緑モノクロ画像による原田病の夕焼け眼底の評価 大阪市大
眼底の夕焼け状が進行する様子は、通常の眼底写真よりも、赤・緑のモノクロ画像の方が評価しやすい。赤モノクロは、輝度が高くなり、緑モノクロは脈絡膜血管のシルエットが見えてくるようです。


9 LiSIK後に角膜ぶどう膜炎を発症し、Interface Fluid Syndromeを呈した1例 大阪大
レーシック後、フラップの下に水がたまる状態がIFS。ステロイド点眼による高眼圧やヘルペス角膜ぶどう膜炎が原因。症例は、レーシック8カ月後に発症。発症時、アプラは不可能で、ノンコンかアイケアでないと計測できなかった。真の眼圧を評価できていない可能性高いですが、病初期は上方と中央で眼圧値が解離してかつ高い、やがて解離が少なくなって、正常眼圧へ。

10 眼底自発蛍光で網膜下出血部の低蛍光が長期間残存した一例 大阪市大
FAFは、網膜色素上皮のlipofuscin顆粒の多寡に依存?網膜下出血があり、吸収後何年経過しても、FAF低蛍光。FAでは正常な背景蛍光を示しているのに。勿論OCTも異常なし。やはり、網膜色素上皮細胞内のlipofuscin顆粒が減少が原因?

11、よりよい裸眼視力のための白内障手術を目指して 行岡病院
今回はトーリックIOLの立派な成績でした。


<特別講演>     座長.西村哲哉先生(関西医大)
『白内障手術の進歩』 大鹿哲郎先生(筑波大学眼科 教授)

1、眼光学の話
①翼状片 ⇒ 角膜中央には影響でてないようだが、波面センサーではコマ収差大。手術で改善。
②核白内障 ⇒ 単眼複視(三重視)、核白内障+Y字縫合混濁で発生。球面収差大。手術で改善。
③retrodots ⇒ 一見大した事のない混濁のようだが、瞳孔領の50%以上を占めるようになるとハルトマン像の散乱大。
④水晶体欠損 ⇒ 水晶体中央に混濁なさそうだが、大きな高次収差。
⑤核白内障(近視化) ⇒右は-7.0Dで(1.0)、左は-12Dで矯正視力不良。手術を片眼・両眼する・しない・・選択肢は多いが、色が違う、球面収差が大。結局両眼手術へ。これがもっと若い(49歳)、CL常用者なら、片眼手術の選択も。
⑥液状後発白内障 ⇒ コントラスト感度低下。ヤグで簡単に処理・・(と思ったら混濁が硝子体ポケットにトラップされて、硝子体手術へ。こんな事もある。)
2、プリロードIOL
通常のプリロードIOLは、私もスタージャパン製を愛用していますが、紹介されたのは、極小切開用のiSert Micro251。

極小切開用のプリロードIOLで、優れものなのはインジェクターで、中に入れるのが水でもいいらしい。
3、新しいナイフ
結膜・強角膜1面切開用ナイフ:KKMナイフ(2.0~2.75mm)(カイ・インダストリー)
結膜から入って強膜に入ったら方向を角膜に向け、最後に前房へ入る。強角膜切開なのに、ワンアクション。早期穿孔対策も万全のナイフ?
Commented at 2011-06-05 21:07 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by takeuchi-ganka at 2011-06-06 07:04
本当によく似てるね。全身症状の経過が複雑で、適当な文章になってますが、42歳女性でした。しかも口内炎・・・・と最初から『ベ』って診断が容易なケースだったようです。
by takeuchi-ganka | 2011-06-05 09:57 | 学校医 | Comments(2)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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