第115回日本眼科学会 その9 (543)

評議員会指名講演2

より質の高い緑内障診療を目指して 柏木賢治 山梨大

1、前眼部形態
PACは予防可能。スクリーニングの為に・・・

※レトロな考え方の私は、過去15年以上UBM検査に携わってきましたが、それでも隅角鏡検査所見をもっと大切にすべきだと感じています。ここを疎かにして、器械に頼る姿勢には賛同しかねます。前房が浅くなり、瞳孔ブロックが強くなるにつれて、隅角鏡でも、虹彩の前方へ膨隆が確認できますし、スリット光を細めると、その程度が強くなり、隅角が非常に狭くなり、時に見かけ上の閉塞を確認できます。何とか奥を覗こうとして、隅角鏡の角度を変えても、眼の向きも変えても確認できないぐらい狭い場合は、圧迫隅角鏡で、器質的閉塞の有無を確認します。この『いくら奥を覗こうとしても奥が見えない』というところに検者による差がある事が、非客観的で問題なのでしょう。SPACや前眼部OCTは簡便で有用な情報を与えてくれるでしょうが、あくまで補助診断であり、先ずは、隅角鏡をつかったベーシックな検査に習熟することが、PAC診断に正しく迫る方法だと・・・話が脱線したので、戻します。

1)中心前房深度計(IOLマスター)、前眼部OCT、走査型前房深度計(SPAC)を使用したスクリーニングは、どの器械も単独では陽性的中率PPV50%以下なので不十分と判断。但し、組合せると・・。
1次:SPAC⇒2次:前眼部OCT、1次:IOLマスター⇒2次:前眼部OCTで、PPV50%以上に・・。細隙灯顕微鏡と隅角鏡でできる事を、オートマチックにしようとすると、結構大変・・

2)前房深度の経時的変化(加齢と共に浅くなる筈)
同一眼を5年間経過観察し、PACの発生を観察。前房深度が最初少し深い方が浅くなりやすい。ある程度浅くなるとグレード変化少ない?SPACで危険判定(E/S)は5年で5%程度から25%へ5倍増となる。また、二次検診受けたひとの18%が開放隅角から閉塞隅角眼に(5年間に)
※PACS 3.4%、PAC 1.3%、PACG 1.5% トータル6.2%?が閉塞隅角眼に。
※リスク:初期グレード小さい、高年齢

3)開放隅角眼の前房深度:当然、徐々に浅くなる。特に中央より周辺部。MDの変化:前房浅いと大きい?何故?前房深度が浅くなり、PACとしてのリスクが上がるとMDも悪化する・・?少し理解できませんでした。

2、実験的病態解明
1)RGCとグリア(視神経アストロサイト・ミュラー細胞)。単離培養と共培養で形態が大きく異なる。RGCにはグリアが必要。ミュラーよりアストロサイトの方が、共培養した時の神経突起の数からみた保護効果大。この差は何故?遺伝子レベルで調査。神経突起成長抑制と促進に関わる遺伝子、その組み合わせ。APP、Egfrは注目すべき遺伝子らしい・・
2)cSRCキナーゼ活性調節神経障害モデル:Ser75点変異モデルマウスで、眼圧に無関係に、RGCの生死に影響しているようで、RGC障害モデルになりうる・・。
*RGC障害評価系:遺伝子改変マウスで、網膜組織培養して、RGCの消失過程が観察できる。

3、新しい薬物治療
1)DDS(with ナノテクノロジー)について。患者さんが自己管理しなくていいDDS:バイオナノシート(キトサンとアルギニン酸)厚さ100nm程度。SCLの1/250の薄さ。これにラタノを含ませる(0.25、2.5、25μg/cm2)。このシートは涙液を介さず直接角膜・前房へ。1回貼ると7日間は有意に眼圧下降。濃度依存性あり。異物反応もない。
*月曜日に貼れば日曜日までOK?。水溶性点眼液なら何でもOK。複数点眼を入れておけば、これ一枚貼ればOK?

4、新しい診療支援体制の構築

患者参加型診療体制:患者さんに、治療を継続してもらう為にどうすればいいか。患者さんのデータをクラウド化して管理。患者さんが自己閲覧可能なことがポイント。これによって、非閲覧群より、薬剤が少なくてすむ。しかも同じ点眼数でも眼圧は低い。
*情報通信機器を用いた遠隔診療体制に緑内障も対象になった(厚労省が認めた)。遠隔地に置いてあるスリットを操作して、診察可能。緊急時の対応として、手持ちスリットからの画像転送も可能。

☆ヘビーな講演の連続で、体力が限界に近づいてきたので、気になるポスターを眺めた後、ホテルに戻り、メイン・イベント?に備えました。


メインイベントは、東銀座方面へ・・・同い年に見えない貫禄のある大将は、相変わらずお元気そうでした。
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by takeuchi-ganka | 2011-06-14 12:16 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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