2011年 08月 03日
アデノウイルスキットについて その4 (550)
左:フロックドスワブ 右:通常綿棒
思いがけず、免疫クロマトグラフィーの話が長引いてしまいましたが、一つどうしても気になる物があります。この検査のポイントは、もし、そこにウイルスがいるなら、それを確実に採取する事です。この採取の為のツールは、単なる綿棒なのですが、あるメーカー(microRheologicsS.r.l., Italy)の綿棒は、少し特殊なようです。『綿球部分が植毛構造なので、従来の綿棒(コットン)に比べて、回収できる細胞数がアップしました。 さらに、検体の放出も容易に行えます。』・・・などと書いてあります。少し論文検索すると、
フロックドスワブのアデノウイルス検体採取での有用性
藤本嗣人(国立感染症研究所感染症情報センター), 榎本美貴, 小長谷昌未, 谷口清州
感染症学雑誌(0387-5911)83巻4号 Page398-400(2009.07)
この報告によると、この綿棒は、通常の綿棒と吸水性はほぼ同様で、アデノウイルスが接種された培養細胞を拭った場合のウイルスDNA回収量は、通常の綿棒の10倍近くあったようです。現実は、主として、瞼結膜を擦過して上皮を採取する訳で、状況が違えば成果も異なるでしょうが、効率良く上皮を絡めとって、また検体抽出液中へ放出効率が高い事が理想的です。他の全てのアデノウイルス検出キットの綿棒がどのようなものか把握していませんが、このフロックドスワブと呼ばれる綿棒は、アデノウイルス検出キットの検出感度を確実引き上げてくれる筈です。
http://www.copanswabs.com/downloads/product_brochures/MR_broch06_k61A4.pdf
☆垂直に植えられた短いナイロン線維が蜜に並んでいる構造は、通常の綿棒と違って、擦過したものを取り込み安くかつ放出しやすいらしい・・