狭隅角眼の患者さんの質問に対する返答 (557)

狭隅角眼の患者さんの質問に対する返答 (557)_f0088231_1512064.jpg非常に難しい質問で、返事が長くなりますので、記事のなかでお答えします・・・というか、正確には答えられないのですが・・。

① 2年前に急性緑内障の体質と言われましたがすぐにはレーザー手術の必要は無いとのことでした。
先日、その医院に新しく隅角検査の装置が入り検査した結果のデータは10項目ほどのうち△が3つ、ほかは全部×でした。

  要するに、前房が浅い、隅角が狭い眼だと言うことです。一般的に、40歳代で緑内障発作を起こすことは稀で、本当に危険になるのは60歳以降でしょうか。ただ、若いからといって、安心できるわけじゃなく、本当に危険であればレーザー虹彩切開術が必要になります。新しい隅角検査の装置は、前眼部OCTとか走査式周辺前房深度計(SPAC)でしょうか。データを見ないと何とも言えないですが、器械が×を出したからレーザー虹彩切開術が必要というのは、少し納得できない部分もありますね。私は、大学病院の検査外来では、UBMで検査して参考意見を述べてますが、自分のクリニックでは、細隙灯顕微鏡と隅角鏡だけで判断しています。

② データの結果からすぐレーザー虹彩切開術を行った方がいいと言われたのですがネット等で調べると水疱性角膜症の発生、またそれは最終的に角膜移植が必要となるなどと知ると怖くてためらっております。
  実は、レーザー虹彩切開術後の水庖性角膜症の発症頻度は、良く分かっていません。本当に発症すれば、現在なら、角膜移植術じゃなく、より洗練された内皮移植で、一昔前よりは、予後は改善しましたが、発症すると大変な事に変わりありません。
従って、レーザー虹彩切開術するかどうかは、緑内障発作の危険性と天秤にかけて、判断することになるのですが、残念ながら、水庖性角膜症の発症頻度が不明なので、正確には天秤にかけられないのです。45歳で殆ど白内障がないと仮定すると、白内障手術の適応はなさそうで、本当に危険だと判断すればレーザー虹彩切開術が妥当だと思います。

③ セカンドオピニオンとして他に2件の医院で診てもらいましたが今すぐの手術は必要ないと言われました。今の私の年齢(45歳)を考慮すると現状では発作のリスクより角膜症を発症するリスクの方をとると。
 患者さんにとって不幸なのは、この判断は医師によって大きく異なる事です。通常は、前房深度、虹彩の膨隆度、隅角角度、周辺虹彩前癒着、隅角色素の程度などから判断しますが、その判断は主観的なものですから。器械で判断すれば客観的だと言えますが、全面的に判断を委ねていい器械が存在するか疑問です。

④ 当初の医師は、身内が私のような状態だったら絶対手術をする。と言います。そのくらい危ない。と言います。角膜症の患者を出したことも無い。と言います。
 それはそれで、その医師の判断ですから、文句のつけようはありません。ただ、水庖性角膜症を出したことがないというのは、もともと頻度の低い合併症なので、だから大丈夫とは言えませんし、5年10年たって水庖性角膜症になり、他院に罹っている可能性はゼロではないでしょう。

⑤ 狭隅角眼患者さんの気持ちが痛いほど分かります。実際、症状は無いのだから無理に行うより腹をくくった方がいいのか?何を信じればいいのか?誰を信じればいいのか?この半月、悩み続けてコメントを投稿させていただきました。ご助言よろしくお願いいたします。
 結局答えはないのです。医師との信頼関係で、医師Aを信じるのか、BやCを信じるのか。患者さん次第のような気がします。ネットで検索すると様々な意見が飛び交っていて、混乱するばかりで、情報をより分けて正しい答えにたどり着くことはほぼ不可能だと思います。

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by takeuchi-ganka | 2011-09-05 15:05 | Q&A | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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