色覚補正眼鏡について (558)
2011年 09月 14日

【コンタクトレンズと眼鏡Q&A】 眼鏡 色覚異常者とカラーレンズの処方の注意点について教えてください
北原健二(東京慈恵会医科大学 眼科学教室)
あたらしい眼科(0910-1810)20巻臨増 Page227-229(2003.11)
この論文の中に書かれている『色識別補助レンズ』は、決して、これを使用すれば、色覚異常のネガティブな部分をクリアできるものではなく、530nm付近の波長の透過率を低下させることによって、赤と緑を識別しやすくさせる事を目的にしているだけのようです。これによって、特定の色の誤認を少なくすることは可能なようですが、正常者と同じ色感覚が得られるようになるわけでも、自然な色に見えるようになるわけでもない。ある種の色覚検査はクリアできても、日常生活で色誤認が少なくなることを保証してはいないようです。
ダルトン眼鏡は有効か
奥野知里(社会保険中京病院), 玉置明野, 市川一夫, 田邉詔子, 内藤尚久, 深見嘉一郎
あたらしい眼科(0910-1810)16巻12号 Page1749-1753(1999.12)
この論文も日本の色覚研究の第一人者によるダルトン眼鏡の先天赤緑色覚異常者に対する有用性を検討した論文です。第一色盲・色弱、第二色盲・色弱者に対して、ダルトン眼鏡を装用して、石原式色覚検査表,標準色覚検査表(SPP- 1,SPP-2)の各色盲表,パネルD-15,100-Hue test,ランタンテスト,アノマロスコープが行われました。確かに、石原式やSPP1の結果は改善が得られましたが、それは、『石原式色盲表やSPP-1の検出表は混同色軌跡で境された帯状の混同色帯内の色を利用して作られており,ダルトン眼鏡を装用することにより,先天赤緑色覚異常者に識別できないこれらの混同色が明暗に置き換えられることによって正読できるようになると考えられる。』結論として、『日常生活において使用するにあたっては,ダルトン眼鏡の装用により見えていた色の識別ができなくなるため弊害が多い』としている。眼鏡の本質は色フィルターであり、色の違いを明暗に置き換えて、石原式はパスできても、正常な色覚が得られるものではないと結論されています。つまり、ある種の検査をクリアできたとしても、結局は色誤認で困ることにならないでしょうか。