色覚異常 その2 (578)
2011年 12月 12日
先天色覚異常には、先天赤緑異常、先天青黄異常、そして全色盲の3つがありますが、赤緑異常以外は、非常に稀な疾患なので、通常先天色覚異常と言えば赤緑異常の事になります。この先天赤緑異常について、遺伝子の領域から考えてみます。
青錐体のオプシンは第7染色体にありますが、赤錐体と緑錐体のオプシンはX染色体にあります。詳しく言えば、X染色体の長腕の一番端のXq28。そして、この遺伝子は6個のエキソンに分かれていますが、赤遺伝子と緑遺伝子は並んで存在していて、また大変よく似ているため、DNAの複製が作られるときに、つなぎ方の誤り(不等交叉)が起こりやすく、 先天(赤緑)色覚異常が比較的高頻度で発生する要因にもなっているそうです。(ここまでは単純な話・・)
色覚正常者はL遺伝子(赤)を1つと、M遺伝子(緑)を1つ(あるいは複数)持っています(一つでも二つでも色覚に差はないようです)。不等交叉によりL、Mどちらかの遺伝子が欠けると、欠けた方の遺伝子から作られるべき錐体色素ができないので色覚異常になります。 遺伝子が1つあるいは1種類のみの場合はL、Mどちらか1種類のオプシンしか作られないので2色覚に(S視色素の遺伝子は第7染色体上にある)、L遺伝子とL型の雑種遺伝子(緑赤融合遺伝子)、あるいはM遺伝子とM型の雑種遺伝子(赤緑融合遺伝子)のように、同じL型遺伝子あるいは同じM型遺伝子なのですが、 タイプの異なる遺伝子が2つあれば異常3色覚になると理解されています。
(続く)

正常なL型遺伝子とM型遺伝子1個または2個からなる。

M型遺伝子が欠損して、L型が1個か2個の場合の2色覚、正常L型と雑種L型(緑赤融合遺伝子)の3色覚

L型遺伝子が欠損して、正常M型が1個、雑種M型(赤緑融合遺伝子)2個の2色覚、雑種M型(赤緑融合遺伝子)1個と正常M型2個、異なる種類の雑種M型2個の3色覚?