色覚異常 その3 (579)
2011年 12月 13日
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正常色覚 :S+L+M
2色覚 :S+L、S+L+L、S+M、(S+Ma+Ma)
異常3色覚:S+L+La/b、S+M+Ma/b (S+Ma+Ma・・・?)
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こんな感じ?
LとMの遺伝子は6つのエキソンからなり、エキソン2から5においてそれぞれ様々なバリエーションがありますが、エキソン5がL型の配列ならばおおよそL錐体色素に属する吸収特性のオプシンを作り、M型ならおおよそM錐体色素の特性のオプシンを作るのだそうです。
遺伝子を解析した結果は、色覚正常者は全員L遺伝子とM遺伝子のどちらも持っているが、色覚異常者の遺伝子を調べると、80%の例ではLかMの遺伝子が欠けた(2色型)が、20%の方が単純な図では説明できない遺伝子の構造を持っており、LとM遺伝子の両方を持っていたらしい。すなわち正常色覚と同じパターンの人も13%に認められたらしい・・。例えば、M遺伝子があるが、M視色素の欠損している(遺伝子があるが色素ができない)((-71A→C))状態だとか・・。
Ueyama H, et al : Analysis of L-cone/M-cone visual pigment gene arrays in Japanese males with protan color-vision deficiency. Vision Res. 2004;44(19):2241-52.
また、例えば、ある異常な赤と緑の組み合わせ:S+La+Mbが、仮性同色表をクリアすることもあるのだそうです。つまり、色覚の遺伝子レベルでの多型は、非常に複雑多岐にわたっているようで、それを仮性同色表やパネルD-15 などの検査を行なって、症状から分類しているだけ?詳細な診断はアノマロスコープで行う必要がありますが、通常は、色覚異常疑い・中等度以下の色覚異常・強度色覚異常(protan/deutan)と分類するのみとなります。
※遺伝子型が判れば色覚がわかるのかと言えば、必ずしもそうではない所がまた難しい所です。
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色覚の判定
①正常色覚
②色覚異常の疑い :色について殆ど問題ないが、屈折異常や他の眼疾患などの可能性も考え、精査する。
③中等度以下の色覚異常:パネルD-15をパスする色覚異常では日常生活や学校生活には殆ど異常がないが、微妙な色識別を要する職種でまれに問題を生じる事がある。
③強度色覚異常:本人の自覚以上に色誤認している可能性があり、日常生活や学校生活に配慮を要する。
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最近、異常とか障害とか盲・・・などの言葉に対してのみ妙に敏感な当局によるネーミング変更によって、何だか訳のわからない名前になっています。いわゆる赤色弱と言えば何となく理解できますが、1型第3色覚と言われても・・。文句言っても仕方ないので、新しい言葉に慣れるしかありません。
1,2色型色覚(第1色盲、第2色盲、第3色盲)
→2色覚(1型2色覚、2型2色覚、3型2色覚)
2,異常3色型色覚(第1色弱、第2色弱、第3色弱)
→異常3色覚(1型3色覚、2型3色覚、3型3色覚)
3,1色型色覚
→1色覚
2色覚と異常3色覚は、色覚検査で同じような結果を示すので、分類としては、
1)L錐体が働かないタイプを1型色覚(異常):S+M, S+M+Ma
⇒1型色覚異常:1型2色覚(いわゆる赤色盲)・1型第3色覚(いわゆる赤色弱)
2)M錐体が働かないタイプを2型色覚(異常):S+L, S+L+La、S+L+M(-71A→C)
⇒1型色覚異常:2型2色覚(いわゆる緑色盲)・2型第3色覚(いわゆる緑色弱)
となります。