緑内障の勉強会 その2 (596)
2012年 03月 18日

特別講演2 OCTの臨床使用について 東中野とみどころ眼科 富所敦男先生
緑内障の診断は、眼底の異常と一致する視野異常が基本。この眼底の異常にOCT所見を採用することで、診断はより前倒しに?より正確に?
視神経の評価方法:①サークル ②ラスター ③ラディアル
※富所先生は、このradial scanをルーチンにして解析されているようです。
1,視神経の立体形状解析 乳頭外縁を自動検出できるので、HRTよりバラつき少ない・・。意外といい・・
2,視神経周囲の神経線維の評価:より精密に判断しようと思えば、血管のシャドウが邪魔。エラーの原因
3,黄斑部解析:segmentationが進化した。トプコンの黄斑部解析の上下差分マップはなかなか優秀。
※乳頭周囲の解析はNFLを評価しているが、NFL内の血管が邪魔だが、網膜全体を評価可能。黄斑部はGCLを見ている。血管も少なく、エラー少ないが、通常6×6mmのエリア内のみの評価。将来的には12×6mmのワイドスキャンで乳頭黄斑一気に解析へ。
眼底検査 ①乳頭所見・②黄斑所見 、OCT ③乳頭解析・④黄斑解析
症例
1)44歳男性 -3.0D 大きな陥凹、下方にNFLD
①~④明らかな変化。(普通の緑内障)
2)38歳男性 -9.0D
①ここまで近視強いとわかりにくい。②一部しかわからない?③④明らかな変化。僅かな異常だがハンフリーと一致すれば、より診断価値高い。
3)75歳女性 -3.5D 豹紋状眼底
①怪しいが・・・②不明、③上下でNFLD、④異常あり?OCT一応有用。
ハンフリー24-2も10-2共に異常。GCCの確率マップと10-2がよく一致していた(診断価値高い?)
4)38歳男性 -2.5D SSOH症例
①SSOH乳頭、②NFLD見えるが・・
この症例では、radial scanが有効。SSOH、つまり乳頭の低形成部位を判断できる。これで、例えば乳頭の7時から12時までがSSOHだと判断できて、視野異常とほぼ完全に一致していればSSOHのみの異常だと積極的に診断できる。
※SSOHでも乳頭が普通か大きければわかりやすいが、小さければ、この方法でないと判断不可能
※radial scan所見:乳頭縁を越えて網膜色素上皮が過伸展。特に鼻側で著明。NFLも上耳側から鼻側にかけて菲薄化。
Evaluation of optic nerve head configurations of superior segmental optic hypoplasia by spectral-domain optical coherence tomography. Hayashi K, Tomidokoro A, Konno S, Mayama C, Aihara M, Araie M. Br J Ophthalmol. 2010 Jun;94(6):768-72.
5)32歳女性 -11D PPA内coloboma
ハンフリー24-2で異常。10-2でより鮮明に
①よくわからない?(立体的に見ればわかりそう・・)②NFLDありそう・・
これも、radial scanすれば、耳下側のPPA内にcolobomaがあるのがよくわかる。intrachoroidal cavitationも見える。
※NFLDがなぜ出来たかは不明?緑内障が混在?
6)32歳男性 -6.5D PPA内のpit。ハンフリー30-2で上方に鼻側階段
①わかりにくい?(立体的に見ればわかりそう・・)、②下方にNFLD
これも、ルーチンに行われているradial scanで検出容易。
結論としては、OCTの解析結果に依存しすぎない・・。OCT断層像をしっかり見ましょう。
それよりも、乳頭黄斑部を直接自分の眼でしっかり見ましょう。
※OCTは進化しているが、器械まかせの解析結果のみを盲信することなく、まず基本に立ち返り、乳頭所見、その周囲の網膜の所見をしっかりとり、その上でOCTの断層像を自分で読む事が大切。(その基本を持たない人がOCT結果を振り回さない事を祈ります・・。)