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カルパイン阻害剤 その2 (600)

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大学の若手の研究者の論文をのぞき見る機会パート2です。
緑内障の神経保護薬として気になっていた薬物にカルパイン阻害剤があり、以前ブログに書きました。『経口の新しいカルパイン阻害剤(SNJ-1945)がNMDAによる網膜細胞死を抑制することが示され、緑内障の神経保護が期待できる薬物として注目されている。軸索流障害による網膜神経節細胞死を引き起こすいくつかの緑内障病態モデルで、その効果を証明された。単に神経節細胞死をレスキューするだけじゃなく、軸索流障害に誘発された神経節細胞死を抑制するあたりが、現実の緑内障治療への道として期待できる』 と、この薬物の将来は不明ですが、今回のテーマはこの薬剤を使った視細胞保護についての仕事です。
Calpain inhibition restores basal autophagy and suppresses MNU-induced photoreceptor cell death in mice. Kuro M, Yoshizawa K, Uehara N, Miki H, Takahashi K, Tsubura A.
 ここでは、N-methyl-N-nitrosourea (MNU)の全身投与によって視細胞がカルパイン活性化を介してアポトーシスを来す網膜色素変性症の動物モデルにおいて、カルパイン阻害剤(SNJ-1945)が神経保護に働く事が示されています。個人的に、カルパイン阻害剤の神経節細胞保護に興味があっても、この動物モデルで、視細胞の保護作用を示したことに殆ど興味ありませんが、気になったのは、『autophagy』という言葉です。言葉そのものは、自己貪食といった意味で、『飢餓状態を生き抜くために自己消化することで栄養源を確保している』などと説明されていますが、どうやらそれだけではなさそうで、細胞内にオートファゴゾームが出現し、自己消化し、分解されたアミノ酸は再利用されるというのですから、何やら、自分自身をリニューアルするシステムのようです。これに関わる関連蛋白も数多く同定されていますし、その中のいくつかはオートファジー・マーカーとして使われています。
※オートファゴソーム形成関連製品
https://ruo.mbl.co.jp/product/protein/autophagosome.html
 このオートファギーは、飢餓だけじゃなく、様々な生命現象:癌・感染・細胞死・・・に関わっていて、非常に広く深い広がりを持っているようです。網膜色素変性症における視細胞、緑内障における神経節細胞死においても、関連していて、レスキューする方向に働いていて、今回MNU投与はカルパイン活性化を介してオートファギーを抑えて、アポトーシスを引き起こすが、カルパイン阻害剤はオートファギーを保つことで、視細胞をレスキューしたらしい・・。この手の薬物の商品化が期待されます。
by takeuchi-ganka | 2012-04-01 10:57 | その他 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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