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金環日食を見る前に・・ (605)



 もうすぐ大阪でも、282年ぶりとなる金環食が見られます。メディアやネットで様々な情報が提供され、日本眼科学会からは太陽光による網膜障害(日食網膜症)を防ぐための警告が出されています(http://www.nichigan.or.jp/sun/index.jsp)。
ところで、いったいどれくらい危険なのでしょうか。去年の日眼会誌に09年の皆既日食の際の眼障害についての報告がありました(日眼会誌115:589-594,2011)。ここで14例の障害事例が報告されていて、

1,安全性未定の道具で観察(下敷き、ビニール袋、コンパクトディスクなど)か肉眼
2,症状:違和感、熱感、疼痛、中心暗点、視力低下
3, ①すぐに改善   :曇天下に肉眼で1分
   ②1日持続    :曇天下に肉眼・他の用具で10分
   ③1週持続    :曇天下に肉眼・他の用具で10分
   ④1週以上持続 :快晴・薄雲で肉眼・他の用具で数十秒~10分

要するに、天候の良い時に、透過率の高い道具で、長時間見れば見る程、障害の程度は強くなる危険性があると言う事でしょうか。
Comparison of spectral-domain and time-domain optical coherence tomography in solar retinopathy. Cho HJ, Yoo ES, Kim CG, Kim JW. Korean J Ophthalmol. 2011 Aug;25(4):278-81.
SD-OCT demonstrated characteristic defects at the level of the inner and outer segment junction of the photoreceptors in all the affected eyes and decreased reflectiveness of the retinal pigment epithelium layer.
この論文でも示されているように、障害は網膜視細胞と網膜色素上皮での光化学反応によると考えられていて、有色人種においては、網膜色素上皮のメラニン色素が多いので、温度上昇による熱凝固も危惧されます。通常は一時的に中心窩の小さな黄色班が出現するのみですが、稀には重大な永続的視力低下を来すと言われています。皆さん、その辺にある適当な遮光ツールで代用すること無く、ちゃんとした(?)日食メガネを使って世紀の天体ショーを見てください。なお、眩しくないから安心と考えるのも危険です。可視光は眩しいですが、赤外光は眩しくないので、じっくり見ていると網膜にじわっと熱凝固を生じるかもしれませんよ。

そう言えば、K先生。その昔、ウサギを使って網膜光障害の実験やりましたよね。キセノン光で網膜光障害をつくり、その障害原因であるフリーラジカルを消去するαトコフェロールの前投与で光障害を予防可能・・・。つまり、日食メガネを用意して、日食観察前に、ビタミンEを摂取しとけば万全?
有色家兎における網膜光傷害(2)α-トコフェロールの効果(原著論文) 湖崎淳(関西医科大学 眼科), 竹内正光, 高橋寛二 日本眼科学会雑誌(0029-0203)98巻10号 Page948-954(1994.10)

5月21日7時31分クリニック前の公園にて
金環日食を見る前に・・ (605)_f0088231_963510.jpg

by takeuchi-ganka | 2012-05-18 16:23 | その他 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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