子供のメガネについて その1 (630)
2012年 08月 27日

最近子供のメガネで、気になることがあったので、少し勉強し直してみました。
子供と言っても、年齢によって対応は様々です。
1)乳児 :生直後から1歳(2歳)
2)幼小児:3~5歳
3)小児:
1小学校:6歳~
2中学校:12歳~
3高校:15歳~
1,乳児の眼鏡
かなり特殊で、この時期に眼鏡を処方した経験は殆どありません。
※例えば、生後すぐ先天白内障で手術行い、眼鏡装用する場合と高度の屈折異常がある場合など
2,幼小児期の眼鏡
この時期の眼鏡処方はしばしばありますし、非常に重要です。3歳時検診や幼稚園の検診で見つけられて受診するケースが殆どでしょうか。対象疾患は、屈折異常弱視・不同視弱視・調節性内斜視・斜視弱視などですが、経験的に一番多いのが不同視弱視。必ず調節麻痺剤点眼後に屈折検査を行い、正確な屈折異常度数(通常遠視)を測定し、経験を積んだ視能訓練士と相談の上、眼鏡度数を決定します。
3,小学生・中学生・高校生の眼鏡
今回、子供の眼鏡として、気になったのは、実はこの年齢層の眼鏡なのです。以下3つのケースに分けて考えてみます。
1)近視(近視性乱視)
最も一般的なケースだと思います。学校の視力検査で、B、C、D判定をもらってやってくる子供の多くは近視です。子供は(親も)メガネを掛けたがらないので、一応、日常生活で不自由がないか、黒板の字を目を細めたりすることなく見ることができるか確認します。
370方式
A 1.0以上:問題ない。
B 0.7以上:後ろの席でも何とか見える。
C 0.3以上:最前列でやっと見える。
D 0.3以下:最前列でも見えない。
子供の不安定な裸眼視力を基準にするのは危険ですが、小学校低学年なら、おおよそ0.4以上、高学年なら0.7以上あればOKでしょうか。明らかに、学校生活に不自由を感じているであろうと判断される場合には、積極的に眼鏡装用(所持)を勧めます。よく問題になるのは、眼鏡を掛けると近視が進むとか、視力を訓練で治したい・・・という問題です。この手の迷信めいた話についての真実というのは、なかなか入手困難ですが、近視発生メカニズムに関する知見が増えるにつれ、最も重要なのは、『調節に伴う調節ラグが眼軸長を制御している可能性』のようで、近くを見る作業そのものが問題であり、眼鏡を掛ける事が近視進行の悪化要因とはならないと理解しています。
また、長らく信じられてきた近視の低矯正眼鏡処方についてですが、『低矯正眼鏡のメタ解析は、1965年の所先生の報告以降、近視進行を抑えると言われていたが、 Chung(2002), Adler(2006)の報告ではむしろマイナス効果。結局低矯正で近くはいいとして、遠方でのボケが眼軸延長に働いている可能性(があるらしい・・・・)。つまり、態々低矯正に拘る必要はない・・・・』つまり、それほど弱い眼鏡に拘る必要もなく、強すぎる眼鏡は掛けにくいので、普通に合わせればいいと言う事でしょう。
※尊敬している岡山大学の長谷部先生の私案を紹介しておきます。
近視治療のガイドライン
1,効果的かつ安全な近視予防法ない。アトロピンなら効果あるが・・当然リスクあり。
2,生活指導としては、近業距離を十分にとること、そして屋外活動しっかり行う。
3,過矯正眼鏡は×、低矯正眼鏡も意味ないかもしれない。
4,近視進行は遺伝的要因大(努力してもダメなものはダメなことも多い)
5,調節麻痺剤点眼・調節緩和訓練の科学的エビデンスは乏しい。