第2回関西眼科フォーラム その3 (634)

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3,眼鏡による学童の近視予防研究-アップデート  岡山大学 講師 長谷部聡先生
 
 もう何度も話を聞いていますが、少しずつ話が複雑になってきて、今回も・・・・・
様々な実験から、持続的な網膜後方へのデフォーカスが眼軸延長・近視進行のメカニズムだと理解されています。調節安静位は1.5D、つまり66cmの部位にあり、それより近方は調節ラグ(不足)が生じる。だから、66cmより手前が近視発生のレッドゾーン。近視予防の為に、それより近くを見ない生活は不可能なので、1.5D加入したPAL(累進屈折力眼鏡)を使用すればいい・・というのが、近視抑制トライアルの理屈。
 チョット話が難しくなって周辺屈折矯正の話に。PALをしていると、眼軸方向の光はジャストフォーカスだが、周辺からの光はデフォーカスしてしまう。そこで、RRGデザイレンズが考案された(Radial Reflective Gradient: 0.5D/line)。
 Solaの10mm累進帯長のMC-PALが用いられた最初のトライアルは、PALとSVLのクロスオーバー法。18ヶ月でスイッチ。(http://www.okayama-u.ac.jp/user/opth/kinshi/kinshi01.html) 最初の18ヶ月では抑制が見られたが、あとの18ヶ月ではSVLと差がなかった。結局15%抑制。また、よほど気をつけないと鼻メガネになってしまい、PALの効果がなくなってしまう。
世界で9つものPALを用いた近視抑制トライアルが行われていて、抑制効果は11-17%程度。実験的には有効だが、臨床的有用とは言い難いレベル。対象を絞り込めば24-33%?COMET-2で24%。
 RPGデザインレンズの弱点である強い非点収差を改良したMyoVisionレンズ(Zeiss)を用いたトライアルで30%抑制(両親の内一人が近視だったら36%だが、全体としては?)
 このRPGデザインレンズとPALを組み合わせたMC-PAL2を用いたトライアルが行われ、50%抑制を期待したが、1.0D加入で13%、1.5D加入で最初12ヶ月31%抑制。その後×。24ヶ月で20%程度(家族歴がないと27%)。
 これが眼鏡の限界?そこでCLを用いたトライアルが行われていて、期待できる・・。
1)dual focus SCL(MiSight® : CooperVision )で37-49%抑制
Ophthalmology. 2011 Jun;118(6):1152-61.
Effect of dual-focus soft contact lens wear on axial myopia progression in children.

2)非球面SCL(CIBA)で34%抑制
Decrease in rate of myopia progression with a contact lens designed to reduce relative peripheral hyperopia: one-year results.
Sankaridurg P, Holden B, Smith E 3rd, Naduvilath T, Chen X, de la Jara PL, Martinez A, Kwan J, Ho A, Frick K, Ge J.
Invest Ophthalmol Vis Sci. 2011 Dec 9;52(13):9362-7.

※ここまで抑制率が向上して、日本のトライアルで確認されたら、広く販売してもいいのでは・・。

※近視はいつまで進むのか・・:基本的には眼軸長の延長は15-16歳で落ち着く。
※アトロピンが近視予防に有効なのは、調節麻痺作用の他に、網膜のムスカリン受容体に対する直接作用の為?
※アジア人の近視の進み方は早いので、トライアル向き。
※低矯正眼鏡が原理的にもいいと思われるが、大規模スタデイでは反対の結果が出た。
Commented at 2012-12-09 14:07
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by takeuchi-ganka | 2012-09-09 09:50 | 学会報告 | Comments(1)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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