3D映像と眼精疲労 (644)
2012年 10月 26日

※淀川堤防からみた夕陽
我々は物を見る場合、3つの作業をします。①眼を目標方向に向ける(輻湊) ②焦点をあわせる(調節) ③左右の網膜に写った異なる映像を一つのものと認識する(両眼視機能)。①②は連動して起こり、縮瞳を伴います(近見反応)。現実世界では、この3つのステップがスムースに行われますが、3D映像を見るという作業においては、現実世界とは少し事情が異なるようです。このジャンルの第一人者は、阪大の不二門教授なので、先生の講演・論文などを元に(パクりながら)、3D映像問題を考えてみます。
3D映像には、1)奥行き方向の立体映像と2)飛び出し映像とがあります。1)の場合、輻湊角は小さくて調節は強くなり、2)の場合は輻輳角大きくて、調節は弱い。USJなどで見られるアトラクション3D映像は2)が多く、ゲームやテレビの場合は1)が多いようです。現実の世界では、輻輳角と調節は比例関係にありますが、3D映像においては、その立体感覚の強弱が輻輳角によって変化するのに、調節は、スクリーン上の距離に固定となり、それが現実とのギャップとなるようです。




調節視標を近づけて、10cm以上の距離で、2つに見えるか、一つに見えても、維持が辛い状態を輻湊不全といい、若年者の2.25~8.3%(Scheiman M.et al. Arch Ophthalmol.2005 )だそうです。輻湊不全がある人が飛び出し系3D映像を見ると、過剰に輻湊努力が行われる為の眼精疲労が生じるでしょうし、輻湊不全のある人の眼精疲労を考慮すれば奥行き方向の立体映像がいいでしょうが、両眼視機能が弱い人だと飛び出し映像でないと、立体的に見えない可能性もあるようです。
3D映画を4時間見ると、少し近視化し、少し縮瞳し、少し内斜よりになるいが、30分ほどの休憩で元に戻るそうです。ゲームは、奥行き立体映像で、目に優しいが、それでもどうしても長時間連続使用しがちであり、途中の休憩を喚起する必要がありそうです。
子供の両眼視機能の発達について。大まかな立体視は3-4ヶ月から始まり、6-8ヶ月で完成。立体視の感受性期は、乳児内斜視では2歳まで、調節性内斜視では7歳までと言われています。正常な子供はまず問題ないが、両眼視機能が不安定な状態にある子供においては、要注意で、急性内斜視の報告もあります。(日本視能訓練士協会誌16:69-71,1988)
受け売り知識が多いので、咀嚼不完全であることは免れませんが、3D映像は、今後更に普及すると思われます。映画の3Dは当然のこと、iPadやタブレットが雑誌・新聞・ノート・教科書などにとって代わり、その中では3D映像も当然のように組み込まれるでしょう。特に、ゲームや、幼小児の教育に取り入れる場合は、3D映像が生体に与える影響に十分配慮する必要がありそうです。

