2012年 11月 16日
角膜トポグラフィー (646)

今回は、主に、富所先生が10年以上前に書かれた、あたらしい眼科18(11):1349-1356,2001から・・
所謂オートレフの器械を新しくしたのに伴い、角膜乱視をより詳しく解析できるようになったのに伴い、少し勉強してみました。


※順番に、乱視なし、直乱視、倒乱視です。



次は、不正乱視の解析。ただ不正乱視のあるなしではなく、不正乱視成分の定量化です。正乱視とは、強主経線と弱主経線が直交しているような屈折状態で、マイヤーリング1本について解析すると、横軸に軸角度・縦軸に屈折力をとると360度の間に2周期をもつ正弦曲線となります。不正乱視は、対称性がなく、焦点が1点に集まらない屈折状態(?)で、⇒『球面度数のずれと正乱視以外の屈折異常』=眼鏡で矯正不可能な乱視⇒マイヤーリングを解析して、正弦曲線からはずれた部分です。
ここから理解困難な部分ですが・・・
1,ビデオケラトグラフィーから屈折力のデータをマイヤーリング毎にまとまった形(軸座標データ)でコンピューターファイルとして取り出す。2,解析する1本のマイアーリング上の屈折力データを、横軸(x軸)を軸角度、縦軸(y軸)を屈折力とした座標軸上にプロットする。3,2で得られた散布図に関して、正弦曲線の方程式 y = a + b x sin2(x-c) y:屈折力、 x:軸角度、 c:主経線の軸
により、最小二乗法を用いて最も近似しうる正弦曲線(best-fit sine curve)を求める(このあたりがかなり消化不良ですが・・)。その解析の際に、近似しきれなかった部分の大きさ(残差)が算出されるが、その残差が不正乱視・・・だそうです。
フーリエ解析を用いる場合 y = a + b x sin2(x-c) + d x sine(x-e)
これによって、残差=不正乱視を、『非対称性』、『より高次の不正乱視』の2成分に定量化。
つまり、角膜形状の評価を
1,球面成分
2,正乱視成分
3,非対称成分
4,高次不正乱視成分
の4つに分けて表示されます。1と2については、眼鏡によって補正可能な部分で、3と4は補正できない部分。この部分が多ければ、眼鏡矯正視力不良となります。
これが角膜トポの解析結果です。角膜曲率半径(強主経線と弱主経線)と乱視度数に加え、CEI(corneal eccentricity index)と呼ばれる角膜の中央から周辺部への扁平化を数値化したもの。更に、先程の角膜形状を評価する4つの数字が並びます。球面度数と正乱視成分、そして非対称成分と高次不正乱視成分(リング1~5の3mm径と1~11の6mm径の解析結果)を表示しています。
※この患者さんは翼状片があるため、大きな正乱視に加え、不正乱視成分も大きい事がわかります。
