コソプトシンポジウム大阪2012 その1 (648)
2012年 11月 26日

※大混雑の永観堂にて・・
別にコソプトはどうでもいいのですが、特に用事のない勤労感謝の日の夕方、車でのアクセスが超便利なホテルで、今一番気になっている演者の緑内障勉強会があったので、出かけてきました。
まずは、参天製薬からの情報提供
コソプトはβ遮断剤点眼のチモロールと炭酸脱水酸素阻害薬ドルゾラミドの配合剤ですが、PG製剤が主流の現在においては、これらの点眼は第二選択薬のポジションにあります。個人的には配合剤は好きじゃなくて、積極的には使いません。ただ、例えば、コソプトの場合、チモプトールとトルソプトの両方が確実に有効であることがわかっている患者さんに対しては、使っていいと思うのですが、PG剤単独では不十分で、しっかり眼圧を下げたいという理由で選択する事に賛同できないからです。2剤3剤、時には4剤も点眼している場合、それぞれの点眼が本当に有効なのかどうかの判断を曖昧なまま点眼を続けることが許されないと感じるもので・・。或いは、この手の配合剤の片割れがいつもチモロールなのが気に入らないの。β遮断剤には、ミケランもあればニプラジロールもある。配合剤を使うということは、それらの選択肢はなくなってしまうのです・・。
と言っても、当然ですがコソプトはよく効くようです。眼圧下降が唯一のエビデンスである現在、PG剤に追加して、更に2mmHg下げるこの点眼はかなり有効と言えます。1mmHgで10%、2mmHgだと20%リスク減少だと・・。ただ、CAIのさし心地の悪さは引きずってますので、若干しみて使いにくいかも・・。
1,OCT時代の緑内障の診かた・考え方 溝上志朗 愛媛 准教授
1)早期視野障害について
視神経乳頭陥凹にノッチがあって、NFLDが連なっていて、それに一致するハンフリー視野の異常があれば、緑内障と診断して問題ないでしょうが、近視眼で乳頭や網膜の評価が肉眼では困難で、OCTでのみ異常が検出される場合に視野が正常であったらどうするか。
Invest Ophthalmol Vis Sci. 2009 Sep;50(9):4254-66. A test of a linear model of glaucomatous structure-function loss reveals sources of variability in retinal nerve fiber and visual field measurements. Hood DC, Anderson SC, Wall M, Raza AS, Kardon RH.
この論文によれば、RNFLの厚みは視野正常眼で150μmほどあり、-30dBの末期には50μmぐらいで、100μmほど減少するようですが、-6dBの初期緑内障でも既に80μmほど減少しています。つまり、-6dBという初期緑内障において、80%ほど減少しています。初期には形態的変化の方が機能的変化にかなり先行している事がわかります。このレベルの初期緑内障は、通常のSAPのグレースケールでは正常に見えて評価困難で、PSD表示や、アンダーソン基準に基づいた判定なら異常検出に必要(※ビーラインのソフトがあれば簡単)。それでも、初期には再現性のある結果は出ないことが多いようですが。※ビーラインのソフトがあると、この基準にもとづいて自動的に判定してくれるので、助かります。
Humphrey視野における視野異常の判定基準
Anderson DR, Patella VM : 1999
以下の基準のいずれかを満たす場合
・パターン偏差確率プロットで、最周辺部の検査点を除いてP < 5%の点が3つ以上隣接して存在し、かつそのうち1点がP < 1%<
・パターン標準偏差または修正パターン標準偏差がP < 5%
・緑内障半視野テストが正常範囲外
※つぶやき:実はいつも勉強会や学会でOCTの優秀さを示す為に、視野異常検出前の緑内障(preperimetric glaucoma)が登場するのですが、視野異常検出前に、どうやって緑内障と診断しているかというと、やはり視神経陥凹の拡大・リムの局所菲薄化、NFLDなど緑内障に特徴的な眼底所見を検眼鏡的に確認して診断しているので、肉眼による判断をOCTで追認しているに過ぎないのでは・・。検眼鏡的に全く異常がないようにみえる眼を対象にしたOCTの臨床研究は難しいので仕方ないのでしょうが・・。まだ、緑内障専門家の眼で見ても、ほぼ正常と思える眼に対して、OCTで早期緑内障の確定診断が容易に・・・ってところまではまだ来ていないようです。
2)進行判定
OCTによる緑内障進行判定は、まだまだのようです。実は、測定結果に対する客観性(再現性)が低いようで、SSI(Signal Strength Index)の値によって結果にバラツキがあり、いつも同じSSIで計測できるとは限らないから・・。OCTの定量的判断に疑問符がつく理由?
Practical recommendations for measuring rates of visual field change in glaucoma.
Chauhan BC, Garway-Heath DF, Goñi FJ, Rossetti L, Bengtsson B, Viswanathan AC, Heijl A. Br J Ophthalmol. 2008 Apr;92(4):569-73.
でも、視野で進行判定に要する期間は、MDスロープが-2.0dB/年という非常に早い進行速度の症例でも、1年に1回なら6年、1年2回なら3年、1年3回でも2年要するらしい。3年かかったら6dBも悪化してしまう。つまり視野を見ていて、確実に進行していると判断するには時間がかかる・・。そこで、MDの連続悪化に注目した結果、2回連続悪化までは無視してもいいけど(?)、3回連続以上だと、その時点でMDスロープ悪くなくても、将来的にMDスロープが悪化する可能性を示唆していると判断すべきらしい。
※ただ、あまりに早い進行の場合には、網膜硝子体牽引症候群であるとか、髄膜腫であるとか、他の疾患を考慮しましょう。
3)中心視野障害について
緑内障は、末期まで中心視野が残る事が多いと言われています。広範囲に神経線維障害が発生していても、PMB領域は残存する事が多いから。PMBが最後まで守られる理由は、Lamina Cribrosa のポアの大きさが上下で大きく(支持が弱い)、耳側中央が小さいから(支持が堅牢)。LCが後方屈曲した時、ポアが変形しやすい上下は神経線維が障害されるが耳側中央では守られるから・・・・。一般的にはそうなのだが、近視が強い場合は、事情が違ってくると。近視が強いとPMD障害(厚みの減少)が明らかになった・・。OCTの進化により、以前は、病理組織でしかわからなかったLCの変形が、生体でも観察可能となり、近視があるとLCも歪む事が明らかに・・。
Three-dimensional evaluation of the lamina cribrosa using spectral-domain optical coherence tomography in glaucoma. Lee EJ, Kim TW, Weinreb RN, Suh MH, Kang M, Park KH, Kim SH, Kim DM. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2012 Jan 20;53(1):198-204.
Enhanced depth imaging optical coherence tomography of deep optic nerve complex structures in glaucoma. Park SC, De Moraes CG, Teng CC, Tello C, Liebmann JM, Ritch R. Ophthalmology. 2012 Jan;119(1):3-9.
初期傍中心障害型vs初期鼻側階段型の眼圧を比較すると、無治療眼圧21.6<28.6と、傍中心型が低く、DHや全身因子(低血圧・偏頭痛・レイノー・・)も多い。眼圧非依存性因子が大きい・・
低い眼圧の多い日本では?I.CHANGE studyをこの角度から検討。バージンケース、ベースライン3回以上症例で、初期傍中心障害型vs初期鼻側階段型を比較すると、14.0<16.0とやはり傍中心障害型は眼圧低い。やはり眼圧非依存性高い?じゃあ治療は神経保護優先か?演者は、まず眼圧をシッカリ下げ、例えばPG+コソプト。それに加えて神経保護だと・・

