緑内障との戦い2013 その2 (655)

f0088231_9431087.jpg

  緑内障診療において最も重要な事は、どうにかして患者さんにクリニックに来てもらう事です。大規模スタデイ(多治見スタデイ)の結果が示している40歳以上の5%が緑内障というのも驚くべき数字でしたが、発見された緑内障の90%が新たに見つかった患者さんで、つまり、世の中の緑内障患者の90%は未治療であるというデータにはもっと驚かされました。
我々眼科医は、たかだか世の中の10%程度の緑内障を相手に議論しているに過ぎないのです。ただ、この多治見スタデイ以後、緑内障に対する意識が変わり、発見されて、眼科医管理となった緑内障率は向上しているでしょうが、それでも10+α%程度でしょう・・。つまり、現在でも90%弱の膨大な緑内障患者さんが放置されている可能性が高いのです。この中から将来視野欠損・視力低下の為に、日常生活に支障をきたすようなケースだけでも、何とか眼科管理する必要があります。その為に何ができるでしょう・・・。
市場占有率の高い製薬会社が啓発的CMをするのもいいでしょうが、それも会社にとって利益が確実に見込める間だけしか行われないでしょうし、チラシ、イベント、ブログ・・・あまり有効なものは存在しない?
自動車免許はきっかけにならないでしょうか。個人的には、最近減っているとはいえ、非常に多くの人が取得する自動車免許の視力検査に、FDTなどのスクリーニング視野検査を行ってはどうでしょう。視野検査まで義務付けるのが大変なら、眼科受診義務だけでも課せばどうでしょう。コンタクトレンズだって、購入する前提に、眼科医の診察が必要なのですから、運転免許を与えるにあたって、ドライバーが見えているかどうかを、眼科医に判断させるのは妥当だと思うのですが・・。
 実は、実態として、緑内障に限らず、視野狭窄を来しているドライバーがかなり存在すると感じています。一応、視野の規定はありますが、有名無実。現実には、視力に問題なければ、高度の視野狭窄があっても、免許更新は可能なようです。簡便な視野検査を組み込む事で、そのような危険なドライバーをチェックできる上に、大量の、特に進行した緑内障患者さんをスクリーニング可能となります。医療経済的な判断は私には出来ませんが、免許更新の為には眼科受診義務を課すというのは如何でしょうか。義務化は40歳以降でもいいですが・・・。
以前この事に関連した話を自治医大の国松先生の話を聴く機会があり、ブログにまとめました。参考になると思います。
http://takeganka.exblog.jp/16476652/
 いずれにしても、自動車運転免許更新には、眼科受診を義務化すれば、少しは危険なドライバーを減らせる上に、非常に有用な緑内障のスクリーニングにもなると思うのですが。
Commented by 関東のPT, POAG-NTG at 2013-01-05 15:07 x
-6Dの強度近視でコンタクトを作るのに眼科に通いましたが、眼底検査をしたにもかかわらず緑内障を見落としておりました。先生の述べておられる「眼底出血」もあったのですが、やはり見落とされておりました。田舎の眼科は「白内障専門医」状態でいくら眼科に行っても緑内障を見落とす可能性が高いのです。白土先生も「その眼底出血は緑内障性のものなら説明がつく」とおっしゃっておりました。眼科の先生のスキルアップも必要ではないでしょうか?治療が5年も遅れてしましました。
Commented by takeuchi-ganka at 2013-01-05 17:26
若年者の近視眼の早期緑内障の診断は、難しいですが、おっしゃる通りスキルアップが必要です。ただ、白土先生は、日本ではトップレベルの緑内障専門家ですから、皆にそのレベルを求めるのは少し無理があるかと・・・
Commented by 関東のPT, POAG-NTG at 2013-01-06 21:19 x
緑内障と診断されたのは49歳でした。
私の説明が悪かったので申し訳ありません。残念なのは視野欠損を自覚して視野検査をリクエストするまで判らなかったことです。また
1)なぜファーストチョイスがウノプロストであったのか?
先生曰く「すぐに点眼を中止しなさい。こんな効かない薬を使っているのは日本だけ」なのか。竹内先生もラタノプロストが1st チョイスと説明されてましたね。眼圧降下の可能性が高いものを使うのは当然だと思うのです。(眼科医の知識が古いまま?)
2)「40歳過ぎたら眼科で検診」しても安心できないのでは困りますが...
つまり早期発見早期治療も運次第?ということでしょうか。
Commented by takeuchi-ganka at 2013-01-07 11:59
難しい問題ですね。近視の小さな乳頭で網膜も薄く、緑内障性変化がわかりにいケースはしばしばあり、残念ながら、そんなケースでは必ずしも早期に発見できていないのが日本の実情ではないでしょうか。
 ファーストチョイスに何を使うかは、ワンパターンではありません。全体として、プロスタグランジン製剤のラタノプロストがファーストチョイスであることが多いでしょうが・・
金沢大学の2011年の報告『正常眼圧緑内障におけるイソプロピルウノプロストンとラタノプロストの眼圧と視野変化に及ぼす影響の比較』では、ウノプロストンは眼圧下降に劣るものの、3年間視野維持効果には差がなかったと報告されています。このような報告は他にもあると思います。ただ、大規模スタデイが行われてエビデンスがあるのは、眼圧下降のみなので、それ以外のコメントは難しいですが、医師の選択はワンパターンではないということです。当然、私もワンパターンではありません。


Commented by 関東のPT, POAG-NTG at 2013-01-08 21:30 x
いろいろとアドバイスありがとうございました。「緑内障の治療でエビデンスがあるのは眼圧降下だけ。」ですので、やはり眼圧降下の可能性の高い薬剤を用いるのが定石。ウノ<ラタノとなるのは私のような素人でも理解できます。十年二十年かけて悪くなるこの病気は両者比較のための長期間の大規模スタディは無理なので比較できませんよね。
PS.二十数年前に御堂筋のビル10Fから見た雨の日の車列のテールランプの美しさが忘れられません。P社の繁栄今いづこ....
by takeuchi-ganka | 2013-01-05 09:46 | 緑内障 | Comments(5)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30