緑内障との戦い2013 その4(657)

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 緑内障には、POAGに近い落屑症候群に伴う続発開放隅角緑内障、ぶどう膜炎に続発するもの、血管新生緑内障など多種多様の続発緑内障があり、加えて様々なタイプの閉塞隅角緑内障もありますので、一口に緑内障といっても、対応も多彩であることを要求されます。

ここでは、緑内障と言っても、原発開放隅角緑内障(POAG)、正常眼圧緑内障(NTG)に限った話です。 どうも、海外の大規模スタデイというのは、眼科に限らず背後にソコハカトナク作為的なものを感じるのですが、そんな事言っても、これを無視した医療はありえないので、十分参考にした治療計画となります。

1,Collaborative Normal-Tension Glaucoma Study (CNTGS) 
ベースラインから30%以上眼圧下降させると、緑内障の進行は明らかに抑制される。
2,Advanced Glaucoma Intervention Study (AGIS)
目標眼圧18mmHgを100%達成すると視野は殆ど悪化しない。
3,Collaborative Initial Glaucoma Treatment Study (CIGTS)
手術・薬物どちらの治療を優先させても差がない?
4,Ocular Hypertension Treatment Study (OHTS)
OHも治療(下降率20%以上、眼圧24mmHg以下)すれば、緑内障発症を抑制できる。
5,Early Manifest Glaucoma Trial (EMGT)
早期からすぐに治療を開始すれば、そうでない場合より予後が良い。眼圧が1mmHg下降すると、緑内障進行リスクは10%減少する。

この5つの大規模スタデイに従えば、要するに早期から(EMGT)、場合によっては発症前のOHでも(OHTS)眼圧を十分下げる事で(CNTGS,AGIS)、その進行を抑制する事ができる。その為には、まずは手術でも薬物でもいい(CIGTS)・・・・となります。
当然過ぎて、反論のしようもありませんが、この欧米のエビデンスをどの程度順守すべかどうかが問題です。
幾つかのパターンに分けて考えてみます。

1)薬物治療を行なって、30%近く眼圧が下がった場合
(現実には、薬物のみで30%下げるのはなかなか困難ですが・・・)
①視野悪化なしの場合
薬物が単剤であれ、複数であれ、とりあえずの大目標が達成できたので、視野が悪化しなければ、そのまま経過観察します。
f0088231_2123027.png※77歳の男性ですが、1剤で20mmHg、60%程度の眼圧下降が得られたケースです。たまにはこんなに効く事もあるのです。キサラタン登場以前なら、トラベクロトミーしていたと思われるケースです。CIGTSの結果を踏まえ、薬物治療優先させ、この結果なので、当面このままでしょう。



②それでも視野が悪化した場合は?
この場合眼圧の絶対値を考えてみます。15以上であれば、追加可能な点眼を探します。
1,PG剤単剤であれば、β遮断剤かCAIを・・・、
2,既に2剤であれば、PG+(β遮断剤+CAI)(どちらかを配合剤にしてもいい)。
3,既に3剤であれば、PG+コソプト、デュオトラバ(orザラカム)+CAIにして、α2刺激を追加?

※ただ、ここまで来れば、手術適応でしょうか。本当に手術に持ち込むかどうかは、視野障害の程度、視野悪化速度、年齢、自覚症状・・・など様々な要素を更に考慮する必要があります。15以上であれば、流出路手術でも白内障と同時にすれば、十分眼圧下降は望めそうですし・・。ただ、15以下だったら、追加手術は濾過手術しかないので、ハードルが上がります。
※幸い流出路手術に関しては、日本トップレベルのサージャン(yoisho!)と月に一度青空ミーティングの機会があって、懇意にさせていただいており、必要があれば、その枚方方面で開業されているY岸先生に手術を依頼しています。この場を借りて、心から御礼申し上げます。
※エビデンス怪しいですが、10近くまで下げているのに、まだ視野が悪化するのであれば、神経保護関連の報告が多い点眼を考慮します。

続く・・
by takeuchi-ganka | 2013-01-10 21:05 | 緑内障 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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