2013年 01月 17日
緑内障との戦い2013 その6(659)
@淀川堤防
眼圧について・・
頼りにしている眼圧値ですが、大学病院の緑内障外来にいた頃、可能な限りこまめに診察するとしても、通院患者さんは平均して3ヶ月に一度が限度でした。3ヶ月なら90日2160時間の時間軸を持った眼圧経過を15とか20という数字ひとつで評価してしまうのです。この間、患者さんは、時々点眼せずに、25とか30を何度も記録しているかもしれないし、そうでないかもしれない。夜間の仰臥位で眼圧が上昇しているかもしれない・・・。でも、3ヶ月に一度の座位の眼圧値で、『高いですね・・』、『結構低いじゃないですか・・・』などとコメントしていました。あまり意味が無いとは言わないですが、眼圧の値によって、治療方針を決めたり、時に手術適応を決めるにしては、あまりに大雑把であったとも言えます。
この反省に立ち、小さなクリニックだから出来る事ですが、特に治療開始時点においては、眼圧は小まめに測定する事にしています。まずベースライン眼圧測定ですが、近所の患者さんがメインの当院においては、週に2度来てもらう事も可能です。治療開始後であっても、しばらく週1回とか2週に1回とかの眼圧チェックすることもあります。勿論、ホルター心電図のように、24時間記録できるツール(例えばTriggerfish®)があれば一番なのですが、まだまだ実用段階にはないようなので、時に時間を変えながら、こまめに眼圧をチェックするしかないのです。
とっても基本的な問題ですが、実は、眼圧を正確に測るのは実はとても難しいと感じています。よく言われるのは、角膜の厚みの問題です。薄いと低くでますし、厚いと高くでます。勿論それは問題ですし、それをクリアすべく、Ocular Response Analyzer (ORA)やPASCAL Dynamic Contour Tonometer(DCT)があるのでしょうが、特に高齢者の日本人の眼圧を正確に測定する場合、正しく測定された眼圧値と真の眼圧との差の問題よりも、正しく測定されているかどうかの方がずっと大きな問題だと感じています。重い腫れぼったい眼瞼、薄いが余剰皮膚がなく挙げにくい眼瞼、すぐに力が入ってしまう眼瞼、奥目、狭い瞼裂、高い涙液三角・・・など正しく測定しにくい条件を備えた緑内障患者の数は少なくありません。どんな高価な器械で測定しても、悪条件をクリアすべく、強引に開瞼させて測定した眼圧は信用できません。客観的な基準はありませんが、ハンフリー視野のように、測定された眼圧にも信頼性の指標が必要です。眼圧が、たまたま15だったとしても、前述の様々な要因が加わった15であることを考慮して判断する必要があると感じています。
レーシック後に眼圧が低くなるのを臨床で経験しますが、、、。
ご指摘ありがとうございました。