iPS細胞由来網膜色素上皮シート移植 (666)

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理化学研究所が、「滲出型加齢黄斑変性に対する自家iPS細胞由来網膜色素上皮シート移植に関する臨床研究」の厚生労働省への申請を行い、世界初のiPS細胞臨床研究なので、メディアがこぞって取り上げています。加齢黄斑変性患者さんは非常に多くて、ごく軽度のケースから重症例まで様々です。病型にしても、新生血管のタイプも、1型、2型、3型、そしてPCV。オカルトと呼ばれる1型がメインの病変もあれば、クラシックと呼ばれる2型がメインの病変もある。RAPと呼ばれる重症になりやすい病型もあれば、特殊な1型のPCVもある。一口に滲出型加齢黄斑変性と言っても、非常に複雑で多彩なのです。その中で、現在、PDTや抗VEGF治療よりも優先させて、『自家iPS細胞由来網膜色素上皮シート移植』を選択した方がいい患者さんが、どれほどいるのでしょう・・・。報道で知った患者さんは、過剰な期待をされる場合もあるはずで、医療現場は、大変かも・・・・
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2013/130228/index.html

 加齢黄斑変性は、脈絡膜から発生した新生血管が網膜色素上皮下やその上の網膜下に侵入して、出血や滲出性変化を繰り返します。網膜と言っても、外側には単層の網膜色素上皮細胞があり、内側に感覚網膜があります。よく耳にする、網膜剥離というのは、この感覚網膜が網膜色素上皮から剥離することを言います。網膜色素上皮シートの移植が有効である為には、脈絡膜から発生した新生血管が、まだ網膜色素上皮の下にとどまっている場合、或いは網膜下に及んでいても、繊細な黄斑部網膜の構造に不可逆的な変化が来していない事が条件となると思います。門外漢で、詳細は知りませんが、以前新生血管を抜去する場合、1型だと網膜色素上皮が広範囲に欠損するので、2型のみの適応であったと記憶していますが、網膜色素上皮シートを移植するのなら、感覚網膜さえ傷んでなければ、1型でも網膜色素上皮とともに抜去して、シートを移植すればいいのでしょうか・・。いずれにしても、この新しい治療に非常に熱い希望を抱いている患者さんほど、高度の視力低下があり、感覚網膜には不可逆的なダメージが加わっている可能性が高く、期待と現実とのギャップはまだまだ大きそうな気がします。
by takeuchi-ganka | 2013-03-01 17:55 | 加齢黄斑変性 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


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