学術講演会 コンタクトレンズ その1 (667)

学術講演会 コンタクトレンズ その1 (667)_f0088231_14484738.jpg


 ちょっとした呑み会のついでに(?)、大阪府眼科医会主催の学術講演会を聴きにでかけました。
 網膜に裂孔が出来れば、非常に高い確率で、網膜剥離となり、放置すれば失明します。従って、網膜剥離が見つかると、すぐに裂孔閉鎖術が行われます。今は硝子体手術が基本でしょうが、原理は同じで、裂孔を通って網膜下に水がまわり、網膜が剥離していくので、この裂孔を閉鎖する訳です。これにより、網膜は復位し、失明から逃れる事ができます。勿論、手術には合併症があるでしょうが、手術によって得られるものが、失うかもしれないリスクをはるかに上回るので、通常、躊躇うことなく手術が選択されます。これに対して、屈折矯正手術はどうなのでしょう?眼鏡で問題なく見えているのに、眼鏡が掛けたくないから、コンタクトレンズを装用する。それも嫌なので、手術を選択する事が多いのでは。医学的な理由でコンタクトレンズ装用が無理で、職業上の理由で眼鏡も掛けられないから手術するケースは少数派でしょう。旧来の医学的常識を乗り越えて(?)、屈折矯正手術がこれほどまでに普及したのは何故なのでしょう?商業資本の介入が原因なのでしょうか?何となく割り切れない思いを抱きつつ、オルソケラトロジーの話を・・

講義
1,オルソケラトロジー 講師 宮本裕子
 

オルソケラトロジー。こんな事が果たして許されるのだろうか・・・なんてのが最初の印象でしたが、進化しているようです。古くは、清の時代の科挙の視力検査対策として、砂袋を眼の上に乗せて、角膜を扁平化したのが、元祖とも言われていますが、要するに特殊な形状をしたハードコンタクトレンズを装用して、角膜を扁平化させて、近視を矯正しようとする試み。60年代に始まった第一世代、80年代の第二世代、そして酸素透過係数戦争を経て、90年代には就寝時装用が実現された第三世代に。①オプティカルゾーンのベースカーブ・②リバースカーブ・③アライメントカーブ・④周辺カーブと4つのカーブ形状をもつRGP素材のリバースジオメトリーレンズ。
屈折矯正の分野ではありがちな事ですが、この分野でも、一部の医師が自己判断で、オルソケラトロジーを開始されたようで、当然ながら重篤な合併症の報告もあり、結果厚労省が動いて、ガイドラインが作られ、講習会が義務化されて今日に至っているようです。

少しガイドラインを見てみましょう・・・
適応:20歳以上(自己責任でやってもらうので、成人ということなのでしょう・・)もうすぐ18に??
対象(適応):
 1)-1.00D~-4.00D、乱視1.5D以下
 2)角膜中心屈折力 39.00~48.00D
 3)治療後過矯正にならないように
※フルオで染まらない。シルマーⅠ5mm以上(5分)、内皮2000以上

禁忌・慎重処方の対象は以下の如く・・
禁忌
 1)対象適応外
 2)この面倒なシステムを理解できない、指示に従わない患者
 3)定期検診に来れない患者
 4)妊娠・授乳
 5)円錐角膜など
 6)免疫疾患、糖尿病
 7)コンタクトレンズ・ケア用品アレルギー
 8)前眼部炎症・感染
 9)角膜・結膜・眼瞼に影響する眼疾患・・・
 10)ドライアイ
 11)角膜知覚低下
 12)充血・異物感のある患者(なんか曖昧な基準・・)
 13)治療途中、車・バイクの運転、または視力変化が身の危険結びつくような作業をする患者(これってパイロットとか職業ドライバー以外にも非常に多いような気もする・・)
 14)不安定な角膜屈折力・不正なマイヤー像

慎重処方
 1)ドライアイを起こす可能性のある薬物治療あるいは視力に影響が出る可能性のある薬物、抗炎症薬の投与を受けている患者
 2)暗所瞳孔径が大きい(4-5mmが適切)

※円錐角膜とかドライアイなどの眼疾患がなくて、この面倒なシステムを理解して、ルールを順守し、定期検査にきちんと受診し、車の運転もしない20歳以上の軽度の近視患者って、そんなにいるのだろうか・・。通常のHCL/SCLか、乱視用SCLで十分対応できる患者さんが対象なのに・・。普及している国もあるらしいが、個人的には理解しがたい・・・。

インフォームドコンセント:これは重要でしょう。起こりうる合併症・問題点を十分説明して、同意を得ることが必要でしょうから。
処方前スクリーニング検査:これは通常の眼の検査+シルマー、内皮、そして角膜形状解析
処方:通常、コンピューターソフトで、トライアルレンズを決定して装用し、フルオがリバースカーブに貯留する特徴的なパターンを確認し、夜間1回装用。角膜トポでブルズ・アイパターンが確認されたら、処方決定。
ケア:基本的には、通常のRGPCLなので、通常のケアでOK?違いは昼夜の逆転だけ?寝ている間にケースは完全に乾燥させて、外した後、しっかりこすり洗いして、ケースに戻す。ただ、リバースカーブ部分の汚れが完全に取れるのだろうか・・・気になる。
原理:実は矯正原理は、複雑でまだ十分解明されていない?単純に圧迫して変形させているのではない。リザーブカーブ内に貯留する涙液の働きも重要らしい。結果として、角膜中央がスティーブで周辺がフラットなProlate形状から中央がフラットで周辺部がスティープなoblate形状に変化することで近視矯正。角膜がフラットする原因は、上皮の数の増減は別にしても、上皮層の厚みが変化することで角膜厚が変化するらしい。実質厚は変化していないらしい・・・。意外なのですが、事実のようです。従って、上皮の厚み変化で対応出来る範囲が適応となるので、軽度近視、せいぜい-4Dまでしか対象にならないらしい。
※近視進行抑制効果について
 眼鏡との比較や通常のコンタクトレンズとの比較スタデイが行われていて、短期的には抑制効果ありと・・・。長期は不明。
LORIC study(単焦点眼鏡との比較)、CRAYON pilot study(SCLとの比較)から近視抑制に有効らしい・・。SMART study(SHCLとの比較、5年間)が進行中。
by takeuchi-ganka | 2013-03-03 11:23 | 近視・遠視 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31