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若手の論文 (672)

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ここ数年、年に一度、後輩の論文を読む機会があります。読むと言っては、言い過ぎで、眺める程度・・・。せっかく眺めたので、印象を少し記載しておきます。

1) Induction of arginase II mRNA by nitric oxide using an in vitro model of gyrate atrophy of choroid and retina. Ohnaka M, Okuda-Ashitaka E, Kaneko S, Ando A, Maeda M, Furuta K, Suzuki M, Takahashi K, Ito S. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2011 Mar 18;52(3):1493-500.

gyrate atrophy of choroid and retina.という疾患があります。この疾患は、先天的にオルニチンアミノ基転移酵素(OAT)が欠損する疾患で、高オルニチン血症を発症し、眼底には脳回転状の特徴的な網膜・脈絡膜萎縮を来す疾患です。この疾患に対する理解は、20年以上前で止まったままなので、少しだけ勉強しなおしました。少しだけ・・


先天的にOATが欠損するとどうなるか・・。オルニチンの蓄積はグリシンアミノジノ転移酵素(GAT)を阻害して、クレアチン合成抑制し、クレアチン不足が、筋肉・中枢神経系症状の原因となるようです。また、OAT遺伝子ノックアウトマウスで、高オルニチン血症が生じ、網膜色素上皮原発の網膜変性が生じることが確認されています。アルギニン制限食で、網膜変性抑制可能・・・。つまり、やはりオルニチンは網膜色素上皮に選択毒性があるらしい・・・・・で、今回の論文は、in vitroでの脳回転状脈絡網膜萎縮モデルで、オルニチンの供給源であるアルギニンの代謝産物のNO産生が増加し、細胞傷害性に関与し、一方、アルギナーゼⅡが誘導され、結果NO産生を減らして、細胞傷害抑制に働いていると・・・
何故、この超マイナー疾患に多くの研究者が取り組むのかが不思議でしたが、超メジャー難治疾患の網膜色素変性症の原因解明・治療法の探求に対する世界的なムーブメントの一環。関連研究にはグラントが下りるのだそうで・・・少し納得。


2) Neuroprotective effects of granulocyte colony-stimulating factor on ischemia-reperfusion injury of the retina. Shima C, Adachi Y, Minamino K, Okigaki M, Shi M, Imai Y, Yanai S, Takahashi K, Ikehara S.
Ophthalmic Res. 2012;48(4):199-207.


ちょっと検索すると、こんな論文が・・
Neuroprotective effect of granulocyte colony-stimulating factor in a focal cerebral ischemic rat model with hyperlipidemia. Hong Y, Deng C, Zhang J, Zhu J, Li Q. J Huazhong Univ Sci Technolog Med Sci. 2012 Dec;32(6):872-8.
顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は分子量約 19KDa,174 個のアミノ酸からなる糖蛋白質でIL-6と44.6%の相同性をもつ. 骨髄ストロ-マ,単球などから産生され,好中球系細胞の分化増殖の促進,成熟好中球の機能亢進という作用をもっている・・・らしい。癌化学療法後や再生不良性貧血のときの白血球減少症において、既に治療薬として使われている。そのG-CSFに、VEGF増加・血管新生を介した神経保護効果があるらしい・・。虚血に陥った脳神経細胞をレスキューすると。件の論文では、虚血再灌流モデルでアポトーシスに陥る網膜内層の神経細胞をレスキューすると・・。網膜虚血性疾患に光明?


3) Indocyanine green angiography in experimental choroidal circulatory disturbance. Nishikawa M, Matsunaga H, Takahashi K, Matsumura M. Ophthalmic Res. 2009;41(1):53-8.

渦静脈閉塞モデル、IA所見とエポン包埋した連続切片を評価。慢性の脈絡膜循環障害と考えられるCSCやMPPEとはかなり異なる急性の脈絡膜循環障害モデル。1,脈絡膜動脈充えい遅延、2 脈絡膜静脈逆行性造影、3,脈絡膜静脈の蛍光輝度上昇(垂直方向への拡張)
今後、OCT所見の読みに有用?


4) ncreased expression of tight junctions in ARPE-19 cells under endoplasmic reticulum stress. Yoshikawa T, Ogata N, Izuta H, Shimazawa M, Hara H, Takahashi K. Curr Eye Res. 2011 Dec;36(12):1153-63.
※これに関しては、既述。
http://takeganka.exblog.jp/17413722/
by takeuchi-ganka | 2013-03-29 15:53 | その他 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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