恩師の命日 (676)

あれから2年経過しました。今日は、恩師の命日です。まだまだ記憶に新しく、弟子たちの会話の中にも、宇山先生はしばしば登場します。宇山先生ならどう診断したか・・。今の教室の現状をどう思われるだろうか・・。宇山先生が晩年あの病気に冒されていなかったら・・・などと。　それにしても、最後まで、趣味のように勉強されていました。全く、異次元の存在でした。

恩師の最後の論文は、PubMedで検索する限りPCVに関するものでした。
Polypoidal choroidal vasculopathy: natural history.
Uyama M, Wada M, Nagai Y, Matsubara T, Matsunaga H, Fukushima I, Takahashi K, Matsumura M.
Am J Ophthalmol. 2002 May;133(5):639-48.
12例の連続症例。男性10、女性2。平均68.1歳。滲出性パターンと出血性パターン。滲出タイプは、PEDや剥離が主体。出血タイプは、出血性PEDや網膜下出血が特徴。ICGでPCVは、形を変えたり、繰り返し再燃したり、自然消退したりするが、ネットワークは持続している。ブドウの房に似た小さな動脈瘤様血管拡張の集合があると、著しい滲出・出血を来たし予後不良。
　PCVは、長期間継続する慢性疾患で、様々な経過をたどる。50％は良好な経過。残りの半分は、時々出血・滲出を繰り返し、黄斑変性を来たして視力低下。ブドウ状の血管拡張はハイリスク。

Idiopathic polypoidal choroidal vasculopathy (IPCV).
Yannuzzi LA, Sorenson J, Spaide RF, Lipson B.
Retina. 1990;10(1):1-8.
この論文は、Yannuzzi が初めてPCVを命名した論文です。1990年。

Idiopathic polypoidal choroidal vasculopathy in Japanese patients.
Uyama M, Matsubara T, Fukushima I, Matsunaga H, Iwashita K, Nagai Y, Takahashi K.
Arch Ophthalmol. 1999 Aug;117(8):1035-42.
この論文は、遅れること9年。もっと早くから分かってらしたのでしょうが・・・