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免疫特権 (679)

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 ひとりで開業していると、ぶどう膜炎に対する対応は、旧態依然となりがちです。通常はステロイド点眼。弱いステロイド、強いステロイドを使い分けたり、点眼回数を増減させたり。点眼以外にも、結膜下注射、テノン嚢下注射、硝子体内投与など。時に全身投与も行います。眼圧が上がればその治療も合わせて行う。感染性だとわかれば、抗菌剤・抗真菌剤・抗ウイルス剤などをチョイスすることになります。
昔から、サルコイドーシス、原田病、ベーチェットが、ブドウ膜炎の3大疾患と言われていますが、これらは感染症ではなく、非感染性眼内炎症性疾患。この範疇には、糖尿病、リウマチ、SLEなどの全身症状を伴うものや、フックスやポスナーなどの眼球に限局したものなど教科書には様々な疾患の記載があります。
個人的には、ぶどう膜炎と言うと、非感染性というイメージが強く、感染性眼内炎症性疾患も、ぶどう膜炎には違いないのですが、原因の病原微生物が明らかになった時点で、真菌性眼内炎とかヘルペス性虹彩炎など・・原因微生物の名前が病名に付きます。
広範囲にわたるぶどう膜炎の全体像は掴みかねていますが、今回は気になった言葉 『immune privilege of the eye』 (免疫特権)について・・・・。『immune privilege of the eye』とは、免疫学的に特別な部位・・・という意味の言葉のようです。繊細な感覚器である眼球内部の構造を守る為の機能と考えられています。免疫特権を構成するメカニズムについて
1)角膜には、血管・リンパ管がない。角膜上皮・実質・内皮には、MHCクラスⅡ分子が発現せず、クラスⅠ分子の発現も乏しいこと。
2)ACAIDの存在
眼内(前房内)に異物 ⇒ 抗原提示細胞が捕食
⇒血流にのって、末梢リンパ組織へ(脾臓)
⇒ここでTリンパ球に抗原提示
⇒抑制型Tリンパ球が優先的に誘導(免疫反応を抑制)

※このシステムは、前房関連免疫偏位(ACAID : anterior chamber associated immune deviation)と呼ばれますが、硝子体腔にも存在する(VCAID)。角膜移植が成功は、このACAIDのお陰。ACAID(VCAID)を阻害する要因(術後炎症・術前感染症など)があると、手術合併症が起こりやすくなる。
3) 免疫抑制性眼内微小環境:角膜深層から前房にかけて多くの免疫制御因子が恒性的に発現。免疫反応をコントロールしている・・・。ただ、複雑すぎて理解不能・・。
※前眼部に発現する免疫調節分子:前房内の液性因子として、α-MSH・VIP・Somatostain・CGRP・TGF-β2・TSP-1・MIF・IL-1Ra・可溶性FasL・CD45,CD55,CD59,C3ibがあり、角膜内皮の細胞表面分子として、Fas L ・B7-H1・B7-H3・GITR ligand・MHC classⅠb・CD46,CD55,CD59。
⇒これらが、ACAIDの誘導、角膜局所における炎症抑制、T細胞にアポトーシスを誘導・・・・

ちょっと勉強のつもりで、挑んだ免疫特権は、非常に複雑なシステムであることだけは理解できました。ぶどう膜炎治療が非常に難しいのも、頷けます。おまけですが、この話の中に出てくる、抑制型Tリンパ球を治療に応用するという話もありました。採血して、特殊な環境下でリンパ球を分離培養して、抑制型Tリンパ球にして、治療に使う。ステロイドより、副作用少なく、有効?
ぶどう膜炎から目が離せない・・
Commented by がたっち at 2013-05-16 19:22 x
 ぶどう膜炎による続発緑内障で手術を行う場合、一般的にはレクトミーだと思われますが、術後も炎症が再発することは多いと思われます。
 一方でステロイドは感染させやすい面があるため、レクトミー後は術前のような治療がしづらくなる等の悪影響はありませんでしょうか。
Commented by takeuchi-ganka at 2013-05-17 07:50
続発緑内障で、レクトミーする場合、手術しなければ視機能を維持できないから仕方なくでしょうし、術後炎症が再燃したら、ステロイドは使わざるを得ません。それ以外に選択肢があればいいのですが。
by takeuchi-ganka | 2013-05-16 11:01 | その他 | Comments(2)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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