第394回大阪眼科集談会 その2 (686)

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仲良く並ぶツバメ・・@ワンド

特別講演 
糖尿病網膜症の分子病態
石田普 北大教授


既視感が漂ったのは、以前、日眼で同じようなテーマの日本眼科学会学術奨励賞受賞講演を間違って(?)聞いたから・・。暗号・記号だらけの謎の講演だった記憶がありますが、あの時と同じ、炎症という側面から眺めた糖尿病網膜症。楽しそうに話す演者。理解できない私・・・かなり疲れました。演者は、糖尿病網膜症の病態が徐々に解明されつつあるのが楽しいのでしょうね。
キーワードは、RAS

1)大規模臨床試験
①DMEに対する抗VEGFとステロイドの比較。抗VEGFの方が優れている(?)とする 欧米の大規模スタデイを本当に信用していいのか・・・・?視力低下は、白内障進行の為のようで、ステロイドは抗VEGFと同等の効果が期待出来ると・・・・。
②生化学的側副路:PKCβ阻害は有効でない、AGE阻害は副作用強い、ARIは不明?
③RAS(レニン・アンジオテンシン系)
 ACE阻害・ARB(DIRECT)などが、糖尿病網膜症抑制効果あり。血圧コントロール以外に糖尿病網膜症に介入可能である(RAS抑制を介して・・)。
 循環RASと組織RAS:前者は、血圧に関係するが、後者は関係ない。炎症・細胞増殖(組織リモデリング)と関連。
※アンジオテンシンⅡ受容体阻害薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)が、RASを阻害することで、血圧をコントロールするが、血圧に直接関与しない組織RASも抑制することで、糖尿病網膜症の発症を抑制するらしい。


2) VEGFの関与
・VEGFR-1(マクロファージ系炎症細胞)⇒炎症
・VEGFR-2(血管内皮)⇒MCP-1, ICAM-1の発現誘導(炎症細胞のリクルート+血管内皮への接着促進)⇒血管新生
※腸間膜血管にVEGF165滴下すると、血管外漏出が・・(血管内壁にWBCが付着して、血管外へ・・炎症)
・糖尿病網膜症における3大病態は全て炎症の結果:浮腫(透過性亢進)、虚血(血管退縮)、血管新生
・糖尿病網膜症におけるWBCの関与
※糖尿病網膜症において、WBC浸潤、ICAM-1発現亢進 
※動物モデルでICAM-1阻害がBRB破綻改善
※糖尿病網膜症モデル:WBC接着⇒虚血再灌流⇒酸化ストレス・・
※WBC接着:マクジェンで阻害可、VEGF165を介している

・VEGFアイソフォーム:VEGF121と165
※両者の違いはExon7にコードする領域の有無で、ここがpegaptanibの結合部位 マクジェンは121では阻害できない
※165の方がシグナル強度高い
※ニューロピリン-1?
※VEGFR-2+ニューロピリン-1 の共同発現で抑制?
※虚血網膜症モデル 164↑
※マクジェンは、虚血による病的血管新生を抑制するが、生理的血管新生は抑制しない。
・網膜の血管新生においてWBCの役割:WBCを消去すると、病的血管新生抑制、生理的血管新生はそのまま
・VEGF⇒WBC誘導⇒WBC血管外へ⇒WBCによるVEGF産生(悪循環)


3,RAS
EUCIDスタデイにおいて、RAS阻害(ACE阻害薬リシノプリル)により糖尿病網膜症進行抑制。
増殖糖尿病網膜症の増殖膜にAT1-R発現
AT1-R阻害⇒WBC接着抑制、ICAM-1↓
AT1-R阻害で、NF-κB活性化抑制
AT1-R阻害で、RASコンポーネント抑制

4,RAPS 病態関与
受容体随伴プロレニン系(receptor-associated prorenin system: RAPS)
・プロレニン:腎臓で、レニンに・・・
・腎臓以外において、プロレニンに(プロ)レニン受容体が結合すると非タンパク分解的活性化(蓋が開く)で、レニン活性↑組織RAS↑
・ヒトPDR硝子体における可溶型(プロ)レニン受容体(Kanda et al, Diabetologia.2012)
ヒトPDRの硝子体で、VEGFと可溶性プロレニンR相関⇒血管新生の活動性↑
・可溶性プロレニンRと膜型プロレニンR
前者がプロレニンと結合すると、非タンパク分解的活性化⇒RAS活性(硝子体RAS)

引用: (プロ)レニン受容体はPDR増殖組織の血管内皮細胞に発現し VEGF との共局在。PDR患者の硝子体における可溶型((プロ)レニン受容体の発現量は,対照群に比べ有意に増加。可溶型(プロ)レニン受容体の発現量は,硝子体中の VEGF 発現量さらには増殖組織での血管密度と正の相関。さらに硝子体中の活性型プロレニン量が VEGF発現量と相関
⇒眼内における組織 RAS も血管新生に関与
⇒(プロ)レニン受容体は糖尿病網膜症における血管新生,つまり疾患の進行に関与する重要な分子


 ※組織RAS成立の為の鍵因子プロレニン受容体と、組織RAS病態責任分子であるアンギオテンシンⅡ1型受容体それぞれの細胞内シグナルは、VEGF誘導へと収束する。網膜症治療の分子ターゲットやドラッグデリバリーシステムの開発に・・


※質疑の中で、演者は、糖尿病網膜症にマクジェン投与はあまり賛同できないと・・。加齢黄斑変性に対してさえ・・。PRPして、その後ビトが基本。抗VEGFは長期の副作用が怖いし、硝子体手術の成績もいいので。硝子体手術は、VEGFのターンオーバーを上げて濃度を下げる。また、可用性レニンRを除去し、VEGF産生を下げる(硝子体RASを除去)。
by takeuchi-ganka | 2013-06-04 05:00 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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