第9回大阪角膜フォーラム (688)

f0088231_16411195.jpg

くちなし@城北公園

9回目となる角膜フォーラムは、徐々に盛大となり、今回ヒルトンホテルの少し大きめの会場は超満員でした。途中用事があって退席したので、さわりだけ・・。

1,前眼部感染症の診断と治療のコツ  近間泰一郎 広島大
・フルオレセインで染める
・詳細な問診聴取
・起炎菌・原因を知る努力
・融解の様子を観察
・角膜周囲の様子を観察
・初期は3日毎に診察。
・最初から多剤併用は慎む

症例1:40歳男性。左眼視力低下。糖尿病網膜症、アトピー性皮膚炎あり。アレルギー性結膜炎と角膜びらんの既往。左眼角膜は地図状潰瘍で、中央が浮腫混濁。上皮掻爬して、ディフ・クイック染色すると多核巨細胞⇒ヘルペス。ゾビラックス眼軟膏投与して、上皮欠損が消失後、ステロイド点眼開始。ゾビラックス眼軟膏をすぐに中止しない。やがて、ステロイドをタリムスへ。
※病巣を擦過して、染色して検鏡するのがポイント。
ディフ・クイック染色:ディフ・クイックはライト染色、ギムザ染色と同様な染色が得られる迅速な艦別用 血液染色液セットである。スピード(わずか15秒間で染色できる)に加えて、いまま での血液染色液てはでき得なかった高度の適応性のある染色が得られる。

症例2:17歳女性。2週間交換SCL。両眼に樹枝状病変多発。上皮を擦過し検鏡すると、フサリウムが・・。SCL保存液の中に大量のフサリウムが・・。培養すると、グラム陰性桿菌も検出。
※積極的に擦過・検鏡して原因を知る努力が大切。

症例 12枚の前眼部写真
膠様滴状角膜変性症、円錐角膜(急性水腫)、中毒性、TS-1、アトピー性角結膜炎(シールド潰瘍)、肺炎球菌、緑内障、アカントアメーバ、HSV、カンジダ、フサリウム・・

1)フルオレセインで上皮欠損の状態を調べ、上皮へのフルオレセインの『のり具合』を見る。
⇒樹枝状病変? 鑑別診断:ヘルペス、中毒性、MPSによる障害、アカントアメーバ・・
2)問診聴取:どんな症状?CLの使用状況は?点眼の種類は?ステロイド使用の有無。全身合併症は?(アレルギー性疾患、糖尿病、RA、内服薬(特に抗癌剤TS-1など))
角膜感染症の原因微生物は、CL使用者の場合①原虫(アカント)②細菌(緑膿菌)、非CL使用者なら①真菌(カンジダ)、②細菌(MRSA)
3)起炎菌・原因を知る努力
病巣擦過して塗沫・検鏡。
好中球:細菌・真菌・クラミジア、単核球:ウイルス、好酸球:アレルギー、形質細胞:クラミジア
角膜・結膜上皮  ⇒多核巨細胞:HSV,VSV、封入体:クラミジア
病点微生物そのもの⇒肺炎球菌、モラクセラ・・・・・
4)融解の様子を観察
※HRT II®に角膜観察用アタッチメントであるロストック角膜モジュールを装着して角膜の組織観察
※緑膿菌培養液と実質細胞があれば融解が進み、好中球が加わると更に融解が進む。
5)角膜の周囲を観察する
※例えば、眼瞼縁(マイボーム腺)

症例 19歳女性 両眼充血、抗アレルギー薬点眼、ステロイド点眼、少し良くなっては再発する。以前よく麦粒腫が出来た(これがヒント)。広範囲にSPKがあって、血管侵入を伴う混濁病変。BUT2秒。⇒マイボーム腺炎、表皮ブ菌検出。⇒クラリス200mgを数ヶ月内服。ベストロン点眼併用。あとでステロイド点眼。
※マイボーム腺感染:Pアクネス・ブ菌・コリネ、涙液:BUT短縮、SPK、Ⅳ型アレルギー:フリクテン型・SPK型
鑑別診断:酒さ性角膜炎

※治療原則
・病原体除去:抗微生物薬、外科的手技
・防御機能回復:上皮をまず治す。
・免疫回復

トピックス
※感染性角膜疾患に対する光線力学的療法
PDTの応用 光線力学的抗微生物化学療法(photodynamic antimicrobial chemotherapy: PACT)
光感受性物質(TONS504)と660nm単波長LEDを用いたPACTは、グラム陽性・陰性菌、酵母真菌、HSV全てにおいて有効であった(in vitro)。上手く行けば、耐性菌に対して非常に有効な治療手段となる。 


2,眼炎症疾患のマネージメント 園田康平 山口大
サルコイドーシス、原田病、強膜炎、ヘルペス、ベーチェット、細菌性、仮面症候群、PSS・・・
様々なぶどう膜炎があり、半分が感染症。そして今でも1/3が原因不明。かつて三大疾患と言われたサルコイドーシス・原田病・ベーチェットの比率は減少し、感染症が多様化してきている。
取り敢えず行う採血(ぶどう膜炎セット)の意義は?診断確定に結びつく事は非常に少なく、スクリーニング的意味合い。
1)体調チェック目的の一般生化学・末血検査、2)免疫異常スクリーニング、3)感染症スクリーニング

1)サルコイドーシスの診断をしっかりする。
①BHL、②ACE、③ツ反、④血清(尿中)カルシウム上昇
①と③は内科に依頼する。
2)ステロイド抵抗性なら・・:点眼・内服に反応しないぶどう膜炎に対しては、積極的に生検。
※セルブロック法
 ドライビットで、切除した硝子体でIL-10,IL-6を測定し、塗沫してパパニコロー・ギムザ染色し、その後通常の硝子体手術で切除した硝子体+灌流液全てを遠沈して、全細胞を捕獲する。これにより、悪性細胞検出率が高くなる。
3)治療:過剰な眼局所炎症の抑制(あくまで対症療法)
⇒合併症予防、不可逆機能障害の回避
※完全消炎を目指さなくていい。少しぐらい炎症所見残っていても、合併症が起こらなければいい・・・と考える。
①基本:ステロイドの局所投与+瞳孔管理(散瞳剤)
②補助:全身投与
a)ステロイド:使うならしっかりと。少なくとも30mg。チョロチョロ使わない・・。原田病の場合、遷延型にしないのが目的。サルコイドーシスの場合は、局所投与と手術が基本。
b)免疫抑制剤:シクロスポリン
※ネオーラルが「ベーチェット病以外の非感染性ぶどう膜炎」*の効能又は効果の承認を取得したので、今後期待大。
c)生物製剤:レミケード
※ベーチェットに有効。明らかに発作回数も発作の程度も抑制できる。ただ、点滴は継続する必要が・・。
※抗TNFα:ヒュミラは、自己注射可能。もうすぐキーオープン。
③外科治療
1)白内障手術:後癒着があり、チン小帯脆弱だったり、炎症再燃したりして、尻込みしがちだが、患者さんが見えるようになり、眼底も見えるようになり、積極的な治療も可能となるので、頑張って手術しましょう・・・
※時には、CCCでなく、大きめのcan-openerでon the bagに入れる事も。
2)適応拡大している。硝子体手術は、混濁除去だけじゃなく、蓄積している炎症性物質を取り除く意味がある。
3)緑内障:トラベクトーム、360度ロトミー、チューブシャント手術


3,フェムトセカンドレーザーLASIKとエキシマレーザーに依存しない屈折矯正手術 雑賀司珠也 和歌山大
4,パネルディスカッション


※まだまだ楽しみな講演は続いていたが、退席・・
Commented by さり at 2013-06-24 16:02 x
是非、眼科の先生に教えて頂きたいのですが、
私は、睫毛を伸ばしたく美容目的で、毎晩両目で1滴のルミガンを、使い捨て滅菌ブラシを使用し、まつ毛の際に細くサッと塗っています。

①目に入らない様に注意して使用しても、DUES(上瞼が窪む)が発生する可能性はありますか?

②緑内障患者ではないのに、美容目的でルミガンを使用する事を、眼科の先生は率直にどう思われますか?

突然の質問で申し訳ありませんが、お答え頂けますと、非常にありがたいです。
よろしくお願い致します。
Commented by takeuchi-ganka at 2013-06-26 15:37
①可能性はあると思います。睫毛を伸ばそうとすれば毛根に薬液が届く必要があるので、だとすれば、点眼同様DUESの可能性あると推測します。
②推測ですが、睫毛に塗るといっても、眼球にも作用する筈で、点眼に近い作用・副作用があると思われます。だとすれば、要するに、眼科医の管理外で、緑内障点眼しているのと同じで、そのリスクは背負うことになるでしょうね。
by takeuchi-ganka | 2013-06-23 16:42 | 学会報告 | Comments(2)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30