緑内障手術の未来  (719)

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タブル大型台風に恐れをなして、遊びをキャンセルしたので、今日は現在から近未来の緑内障のお勉強タイム。

緑内障手術と言えば、もう20年以上前からトラベクレクトミーかトラベクロトミーが代表選手です。前者は濾過手術で、後者は流出路手術と言われています。つまり、前者は、眼内の水(房水)を少しづつ眼外へ漏らす手術で、後者は、房水循環中の抵抗の高い場所を切開して正常化するタイプの手術です。眼圧下降作用は、圧倒的に前者ですが、副作用が多い。安全性は圧倒的に後者ですが、眼圧下降作用が弱い。濾過手術も流出路手術も様々な改良が試みられているものの、なかなかブレイクスルーしそうにありません。
濾過手術のゴールドスタンダードは、現在もトラベクレクトミーでしょう。ただ、濾過量を上手くコントロールして、安全な濾過胞を長期間維持することは、なかなか困難なのです。MMC登場によって、濾過量をある程度コントロールできるようになったのですが、安全とは言いがたい。強膜フラップの大きさ、厚み、1重/2重、深層強膜切除の有無、結膜切開位置(輪部/円蓋部)・・・など様々な改良は続けられているにもかかわらず・・・。
そんな中、昨年、やっと日本でも2つのglaucoma drainage devicesが認可されました。
1,EX-PRESS
これは、濾過量が切除した線維柱帯の範囲に依存せず、EX-PRESSの内径に依存するので、一定なのでしょうが、短期成績はそこそこでも、所詮濾過手術の呪縛から逃れることは困難な気がしています。
http://www.alconsurgical.com/ex-press-glaucoma-filtration-device.aspx
http://www.alconsurgical.com/glaucoma-surgery-video.aspx
2,BAERVELDT® Glaucoma Implant
少し複雑な術式で、予定した濾過量を確保でき、濾過胞の高さもコントロールできるのでしょうか・・・。予想不可・・
http://www.amo-inc.co.jp/products/cataract/glaucoma-implants/baerveldt-glaucoma-implant#
http://www.amo-inc.com/products/cataract/glaucoma-implants/baerveldt-bg-103-250-glaucoma-implant
http://youtu.be/rqG3UAYb5Zg
3,XEN Gel Stent
CyPassに似た非常に簡単な手技で、隅角鏡を見ながら、毛様体から結膜下へ柔らかいステントを挿入留置するだけ。結膜に対する侵襲が限りなくゼロに近い濾過手術なので、少し興味がありますが・・・
http://www.aquesys.com/xen.aspx
http://youtu.be/gjVl1RDNWog

次に、流出路手術。この手術のゴールドスタンダードは、今でもトラベクロトミーなのでしょうか。ロトミーといっても、深層強膜切除・シュレム管の内皮網除去・シヌソトミー・・・などを併用した複合手術となり、かなり変貌を遂げています。他にも、ビスコキャナロストミーやトラベクトームを使ったロトミー ab internoも行われています。症例を選べば、非常に有効かつ安全な術式であるものの、どんな術式を用いたところで、15を大きく下回る眼圧の達成率はそれほど高くはならないのではない限界は同じまま。

そこで、気になるのは、流出路手術用の新しいステントです。最近、枚方の某Y岸眼科でも始められたロトミー ab internoもそうなのですが、結膜も強膜も触らない、極めて低侵襲の手術です。ロトミー ab internoは、原理的にも、通常のロトミーとほぼ同等の眼圧下降効果が期待出来そうですが、下記の2つのステント手術の効果のほどは?かなり懐疑的ですが・・・とても気になる。
http://www.trabectome.com/Technology/LearningFromNature/

1.iStent :http://www.glaukos.com/istent/mechanism-action
2.CyPass :http://www.transcendmedical.com/index.php?transcend=technology-overview

日本では1の iStentが厚労省の承認手続きに入る予定だと聞いています。ただ、これは、房水をステントでシュレム管に導くだけのようで、どれほどの効果があるのか、疑問が残りますが、CyPassの方が気になります。これは、小さなチューブを隅角鏡でみながら毛様体から上脈絡膜腔へ差し込むだけの簡単な手術のように見えます。房水をチューブで上脈絡膜腔へ流す手術で、何だか期待してしまいます。人の房水循環におけるUS flowの役割はそれほど高くなく、だからこそ、ラタノプロストを代表とするPG製剤がUS flowを増加させる事で、従来の点眼では考えられないような眼圧下降を実現したのです。すると、どうしてもCyPassの効果に期待が高まります。手技も簡単そうだし、1箇所で効果が弱いなら、2箇所か3箇所やれば相加効果がありそう・・
http://youtu.be/4GF11HV6y5g
by takeuchi-ganka | 2013-10-24 11:04 | 緑内障 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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