先天性停止性夜盲? (727)

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※意外と空いているお初天神

子供の頃から軽度の夜盲を自覚している患者さんに遭遇した。視機能に異常なく眼底も正常なので、忘れているケースが多いと思うが、それでも非常に稀な筈。で、少しだけ勉強してみることに・・・。
夜盲から何を思い浮かべるか。
1)代表的な疾患は網膜色素変性症である。ただ、初期の無色素性という稀なケースを除いて、眼底を見れば診断可能。
2)ビタミンA欠乏の症状として有名だが、今の日本で普通に生活している人には考えにくい。(消化器の手術後に発症している報告があるが・・・十二指腸癌切除術後に発症したビタミンA欠乏症の1例 眼科臨床紀要(1882-5176)4巻7号 Page693-697(2011.07)
3)眼球鉄錆症も、通常穿孔性眼外傷の跡がある筈。
4)現在もハイドロキシクロロキンというのがSLEやリウマチに使われているらしいが、使用量が大きく異なるようで、クロロキン網膜症の発症は聞いたことがない?(10年以上前の稀な報告:在日ブラジル人にみられたクロロキン網膜症の1例 眼科臨床医報(0386-9601)96巻6号 Page686-690(2002.06)
5)夜盲に拘らなくても、視力や視野に異常があり、眼底にも特徴的な所見があって診断上問題にならないケースを除くと、残りはいわゆる先天性停止性夜盲?

先天性停止性夜盲
 先天性の夜盲で進行しないタイプの総称で、小口病、眼底白点症(白点状眼底)、狭義先天停止性夜盲症などがあり、暗順応以外の視機能はほぼ正常と言われています。
1,小口病:昔恩師のシュライバーをしていた時に一度だけ見たような気がするが、『はげかかった金箔様』の眼底が特徴的で3-4時間の暗順応にて正常の色調に戻る『水尾中村現象』が有名。アレスチンやロドプシンキナーゼどちらかの遺伝子の異常で、常染色体劣性遺伝。
2,白点状眼底:眼底に特徴的な白点が多数。この場合、絶対停止性・・とは言い切れないので、慎重な経過観察が必要。RDH5遺伝子の異常で、常染色体劣性遺伝。
3,(完全型・不全型)先天停止性夜盲:完全型の場合、強い夜盲。近視を伴う。眼振や斜視も・・NYX遺伝子が原因ならX染色体劣性。常染色体劣性遺伝の一部はGRM6遺伝子異常。不全型は、通常男子で、X染色体劣性でCACNA1F遺伝子の異常。

つまり、眼底に全く異常がなく、視力も視野も正常な軽度~中等度の夜盲患者さんに該当するのは、不全型の先天性停止性夜盲か小口病の初期?或いは初期の無色素性網膜色素変性?いずれにしても治療法がない現在、注意深く見守るしかない・・・
by takeuchi-ganka | 2014-01-06 11:47 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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