NEW POST

第398回大阪眼科集談会 その1 (733)

第398回大阪眼科集談会 その1 (733)_f0088231_1915737.jpg


今年最初の集談会です。あっという間に1月が過ぎ去り、2月に・・・。この2月も駆け足の気配・・。最近妙に暖かったりするので、その後の寒波が余計怖い・・。


1,外斜視術後眼に対して上外直筋縫着術を施行した片眼強度近視性内斜視の1例 大阪医大
 高度近視眼の外斜視の手術は、要注意(?)で、高度近視性内斜視になりやすい・・・。今回の症例は、20歳の時に左眼の外斜視手術して、66歳で30⊿以上の内斜視。左眼は高度のC-R Atrophyで視力不良眼。手術は、左眼上直筋と外直筋を縫着。付着部から15mmの部位で縫着がオリジナルのようだが、今回は12mmの位置で。術後3⊿の内斜視に・・。

2,黄斑部網膜分離に対してドルゾラミド点眼が奏効した若年網膜分離症の1例 近大
X-linked juvenile retinoschisis(XJR)の網膜分離にドルゾラミド点眼が有用・・・。
こんな感じ?
33歳男性視力右(0.8)左(0.9)で、黄斑部には桑実様の網膜外層分離?ドルゾラミド点眼で分離消失し、視力アップ。中止すると再発し視力ダウン。ドルゾラミド再開して分離消失して視力アップ。OCT上明らかな変化が確認できている。CMEのように見えるが、XJR・・。
※視力改善しないケースもあり、微細構造が崩れる前の方がいいのかも・・・
※点眼でも十分な薬効濃度が黄斑部網膜に到達していることの証でもある。

3,バルベルト緑内障インプラントによる経毛様体扁平部注入チューブシャント術の短期成績 大阪医大・高槻病院
http://www.amo-inc.co.jp/products/cataract/glaucoma-implants/baerveldt-glaucoma-implant#
この発表は、前房ではなく、経毛様体扁平部注入タイプ。17眼に行い、16眼が21mmHg以下にコントロール(といっても1眼は眼圧ゼロだが・・・)。術前平均32.0が、術後6ヶ月12.4に。
※チューブ結紮やリップコードは、術後早期低眼圧予防措置。術後眼圧が高ければ2週間から1ヶ月で、抜くらしい。
※短期はある程度の成績が出るに決まっていて、だから認可されたのでしょうが、問題は、長期経過でしょうね。

4,緑内障眼の光干渉断層計パラメータと視野の相関 阪大
ppRNFLとGCC(9/6)VS視野(MD)
当然ながらよく相関。GCC6より、広範囲のGCC9の方がいい。

5,大阪医療センターにおけるExpressの短期術後成績 大阪医療センター
同時期に行われたレクトミーとの比較。6ヶ月後Expressは14.6。レクトミーが12.8。差がないと言われるが、生命表解析でも21mmHgで97vs89、17mmHgで61vs54、15mmHgで57vs52。点眼なし53vs45・・・・・。やはりExpress分が悪い・・・。合併症も差がないらしいが、だったら、レクトミーの方がいいのでは。Expressのメリットは、手術が簡単なだけ?わざわざ使用する意味があるのだろうか・・・。
※添付文書には、『頭部MRIは磁場強度3テスラまで可能であるが、本体挿入後、最初の2週間は推奨されない。』とあるが、これを額面通り受け取るなら、今後(既に?)MRIは、3テスラ以上が主流になる筈で、最新機種のMRI検査が受けられない? 抗凝固剤使用している高齢者にはむしろ止めたほうがいい気もするが・・。

6,クリスタリン網膜症における自発蛍光の長期経過 大阪市大
Bietti's crystalline dystrophy (BCD)
FAFで長期間(8年間)観察されたBCD。当初、視力右(1.2)左(1.5)。GPで弓状比較暗点のみ。黄白色小斑。黄斑部軽度変性・・・。眼底写真は、こんな感じ? 8年後視力右(0.07)左(0.6p)。黄白色小斑減少、FAFの斑状低蛍光は拡大癒合・・・(この斑状低蛍光の所見は病初期の視力良好な時期からでもしっかり観察できるので有用だと・・)

7,特発性脈絡膜新生血管の再発に関わる因子 阪大
ベバシズマブ投与(IVB)後の再発は平均8-9ヶ月だが、現実は様々。再発率は32%(7/22)(PDTより多い?)。再発パターン1は、CNV拡大(5/7)。パターン2は網膜下液のみの増加(2/7)。パターン2は抗VEGF効きにくい・・?

8,ベバシズマブ抵抗性の脈絡膜血管腫に対して光線力学療法を施行した1例 大阪医大
IVBで再発を繰り返して、徐々に効果がなくなり、広範囲のRDが発生してしまった脈絡膜血管腫にIVB併用PDTを行い、RD改善。でも、腫瘍の大きさは不変・・らしい。

9,黄斑円孔術後の体位制限解除の試み 阪大
かつて治療手段がなかった黄斑円孔。硝子体手術+ガスで58%、ILM剥離して90%、空気タンポナーデ93%の円孔閉鎖と発展を遂げてきたが、術後のうつ向きが苦痛なのは確かで、硝子体手術の手技が洗練されてきた現在、本当にうつ向きが必要なのかの検証。術後仰臥位以外は体位をフリーにしてみたが、術後1ヶ月で閉鎖率100%。(ガスの恩恵は浮力じゃなく、表面張力のみで十分ということ・・・?)

10,硝子体手術後に生じた黄斑円孔に対する手術成績 関西医大
硝子体手術後黄斑円孔が発生した13眼中、9眼はILM剥離していなかった。4眼の内、2眼はILMが残存していた。ILMが残っていた11眼は再手術でILM剥離して治癒。ILM残すとダメ・・・・と結論したいところだが、ILMが残っていなかった2眼はなぜ円孔ができたのか。空気をいれただけで何故閉鎖したのは謎・・?


11,近視性網膜分離症の25G硝子体手術成績 関西医大滝井
高度近視の30%に近視性網膜分離あり。中心窩分離型と剥離型がある。手術して全例治癒したが、剥離型の方が、術後視力良好(改善67%)。術前視力のみが術後視力と関連しているようで、早期手術が望ましい・・。
by takeuchi-ganka | 2014-02-04 19:16 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31