第5回関西Glaucoma update その1 (742)
2014年 03月 19日

城北公園のややピークを過ぎた梅園にメジロが・・
第5回関西Glaucoma Update
M教授が去ってからの大学は、緑内障に興味をもつドクターが激減・・・?せっかく毎年素敵な講師を招いているのに・・・勿体無い・・・・
製品説明:アゾルガ
PH7.2ぐらいなので、しみない・・・・のが売り。
チモ単独よりは優越性があり(当然)、併用との比較は非劣性。
他社の同等製品より使用感がいいらしい・・?
1,角膜診療アップデート 臼井智彦 東大
薬物の話題
湖崎先生のイントロにもあったように、緑内障点眼の角膜上皮に与える影響は意外と大きい。SPKの頻度が、点眼なし群で約20%、1剤なら30%、2剤以上なら36%。軽度ならSPKのみだが、高度になってくると、クラックラインや渦巻状の所見が出現し、点眼継続困難となることも・・・。ドライアイとの鑑別においては、ドライアイでは結膜障害が主で、角膜障害が従だが、薬物毒性の場合は、角膜障害が主。混在していることも多いだろうが。
※付随して、MGDも・・?
※点眼継続困難なレベルのSPKは別だが、軽度のSPKなら無視してもいい・・かも。
※ドライアイ眼では開瞼していると、涙液層が破綻して、高次収差が増加し、実用視力が低下すると言われているが、緑内障点眼で角膜障害が生じている眼でも言える事。
原因薬剤:主剤と防腐剤
1)主剤
・プロスタンディン製剤:炎症、ヘルペス
・β遮断剤:知覚低下、偽類天疱瘡・・
・NSAID:細胞毒性
・・
2)防腐剤はBACが代表。
1,ラタノプロスト
・症例:47歳の円錐角膜がラタノ点眼開始後進行した。ラタノ点眼で、MMP活性増加(涙液・角膜上皮)し為。同じような可能性として、LASIK後のkeratoectasiaにも注意が必要。
・ラタノプロスト点眼93869人中411人にHSK発症。0.004%(通常の0.0015%より高い?)。点眼がヘルペスを誘発している可能性あり?
2,BAC:汚染防止に最高の防腐剤だが、その分、細胞毒性も強い。
細胞活性が低下し、バリアも破綻。炎症性サイトカイン増加。
油層の伸展が低下し、油層がBACで置換される?
高度の薬物性角膜上皮障害が生じた場合の対策:
原因薬剤点眼の中止が基本。wash out目的でソフトサンティアの頻回点眼も併用(~10回/日)。turn over を亢進させるのが目的なので、いくら角膜上皮障害があるからといっても、涙点プラグやヒアルロン酸点眼は逆効果。
次に、BAC濃度が低いものか、BACフリーの点眼に。チモロールからカルテオロールへ。併用から合剤へ。点眼から内服へ・・・などの変更を考慮。
手術の話題
角膜内皮移植
初めてこのブログに登場したのが、2009/03/21。あれからもう7年・・。全層移植は減り、内皮移植は増加し続けている。施設によっては、その数はもう逆転していると・・。
DSAEK(元々のデスメを剥がさない手技が、n-DSAEK)
問題点は内皮減少。移植片(内皮)の挿入方法が一番の問題。1年で37%ほど減少。少しでも内皮減少を減らす為に、Busin glide, Tan Endoglide, 或いはインジェスターやインサーターが考えられているが・・。ただ、長期的に見た場合、どうやら内皮減少は1年目が急激で、あとの減少は緩やか。挿入方法を改良すればまだ成績アップの可能性あり。
術後視力に関しては、全層移植の場合、0.5以上が半分以下だった事に比べて、格段に向上している。0.5以上なら9割ほど。でも、1.0以上となると2割ぐらいしかないこれは、高次収差・上皮下や層間の混濁による散乱、前後面の非平行性・・・などがその原因(そこまで議論できるほど、視力が向上していることは確からしい)。
※グラフトをFSレーザーで高い精度で作ればいいか・・・というと何故かダメらしい。残存角膜厚が100μm以上ないと内皮ダメージ強いらしく、現時点ではFSレーザー使うと成績良くないらしい。
DMEK
デスメと内皮のみを移植する究極の手術。収差も少なく視力もいい。拒絶反応も少ないが、やはりペラペラで難しい?ドナー作成失敗も少しあるし、グラフト離開(空気再注入)が非常に多い(60-80%)。道半ば・・・
ultra thin DSAEK
DMEKに近いDSAEK?これなら、上手くいったDMEKと同等の成績が得られる?
FSレーザーで厚く切り出して、ケラトームで仕上げる?