第5回関西Glaucoma update その2 (743)

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2,トラベクトームの限界と適応 溝口眼科 溝口尚則

この手術を知った時に思ったことは2つ。
1,この手術は、基本的にはトラベクロトミーです。正確に言うなら、trabeculotomy ab interno。
トラベクロトミーは、紆余曲折があって、現在かなり複雑な術式で行われているようですが、基本的には、線維柱帯の切開そのものは、多分数千円しかしない針金をコの字型に曲げたような形の器具、しかもディスポじゃない器具を使って行いますが、このトラベクトームというのは、本体が800万ほどして、8万ほどするハンドピースは使い捨てだそうです。あまりに値段の差が大きい。
※どうも欧米発の治療手段は、金に糸目をつけない事が多い。保険制度の違いが背景にあるのでしょうが・・・、ポリシーも医療制度も異なるこの国でどの程度広まるのでしょう・・・。
2,次に、現在ロトミーを多数行っている施設の基本手技は、強膜フラップを二重にして、中の弁を切除して(深部強膜切除)、時に線維柱帯の内皮網も剥離除去、時に強膜弁も一部切除(シヌソトミー)した上で、フラップをかつてのようにしっかりとは縫わず、2糸ぐらいで止めるだけ・・・なので、複雑な手技の中に線維柱帯切開が組み込まれている感じですが、トラベクトームは、純粋に線維柱帯切開のみなので、同じようで同じでない手術だと理解しています。手術成績に差があるとすれば、線維柱帯切開以外の複雑な術式の影響?

Deviceを使った緑内障手術
1)結膜下へ
XEN Gel Stent / Express
※この2つについては、以前 http://takeganka.exblog.jp/20669751/ ここに記載。
2)シュレム管へ
iStent ⇒これについても、http://takeganka.exblog.jp/20669751/ ここに少し記載。
Hydrus microstent : http://www.ivantisinc.com/hydrus-microstent.php
※線維柱帯に流出抵抗があるケースにおいて、そこをバイパスさせるツール?シュレム管も虚脱させず、スペースを維持して集合管へ房水を流す?

3)上脈絡膜腔へ
InnFocus Microshunt  http://innfocusinc.com/ 
※CyPassと同じように、隅角の毛様体帯から挿入して上脈絡膜腔に先を出して、房水を流す。
GMS http://www.imedpharma.com/surgical/glaucoma-surgery/gold-shunt-for-glaucoma 
様々なDeviceが考案されていますが、大きく分けると、濾過胞を作るものと作らないもの。個人的には、濾過胞を作らないタイプの中の上脈絡膜腔へ流すものに期待したいです。


トラベクトームの実際
ハンドピースの尖端のフットプレート部分は、19.5Gの大きさで、1.7mmの角膜切開で挿入可能。灌流して前房を維持しつつ、出血も吸引可能。フットプレートの尖端をシュレム管に挿入して、線維柱帯を焼灼して90°ほど切開。この時、外壁や集合管を傷つけないように注意。

GSLの経験のある術者なら簡単にできるらしいが、最近の金のかかる手術に有りがちな、研修システムがあり、先ず豚眼で練習を積み(レベル1)、患者さんを用意して、指導医の手術を横について見て、その後手術を指導医についてもらって2眼以上実際に行う(レベル2)。この2つの段階を経て、ライセンスが発行されて初めて手術が可能に・・・・というか、ライセンスがないとハンドピースが購入出来ないのだと思います。多分、特許の関係で、同じような器械は作れない・・・・。1500円(?)のロトームを何度も使用する日本発のシステムとはあまりに異なるようです。

Trabectome (trabeculectomy-internal approach): additional experience and extended follow-up.
Minckler D, Mosaed S, Dustin L, Ms BF; Trabectome Study Group.
Trans Am Ophthalmol Soc. 2008;106:149-59

この報告は、何故か、trabeculectomy-internal approachとなっている?
術前23.8mmHg、1年後16.5。

Ab interno trabeculectomy versus trabeculectomy for open-angle glaucoma.
Jea SY, Francis BA, Vakili G, Filippopoulos T, Rhee DJ.
Ophthalmology. 2012 Jan;119(1):36-42

この報告もAb interno trabeculectomy。
レクトミーとの比較そのものに問題ありだが、まあまあの成績?
術前28.1mmHg、1年後15.9。

Clinical results of ab interno trabeculotomy using the trabectome for open-angle glaucoma: the Mayo Clinic series in Rochester, Minnesota.
Ahuja Y, Ma Khin Pyi S, Malihi M, Hodge DO, Sit AJ.
Am J Ophthalmol. 2013 Nov;156(5):927-935

術前21.6mmHg、1年後15.3。

どの報告も、術後大体15-16mmHg。
溝口先生の報告は術前22.3mmHg、1年後15.1、2年後14.0mmHg・・・とかなり低め。
この成績なら、通常のロトミーと同等と考えていいのかもしれません。

強角膜創を作らなくても、1.7mmほどのサイドポートから手術可能だし、以前行ったロトミー部を再度切開して、手術効果を回復させる可能性もあるし、何といっても、角膜乱視に与える影響を限りなくゼロに近づけることができるので、白内障との同時手術における優越性は高い。
by takeuchi-ganka | 2014-03-21 17:49 | 緑内障 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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