もうすぐ4回忌なので・・・ (746)

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トルコ旅行している姪っ子から・・・。いいなあ、若いって。私も来年こそ・・・

もうすぐ4月27日がやってきます。恩師『宇山昌延』が亡くなったのが2011年の事でしたから、3年目の祥月命日。4回忌?が近いということで、恩師を偲ぶ投稿です。

もう今年で終わりかもしれませんが、年に1回若い研究者の論文を読まされる難儀な時期がやってきました。ただ、今年は、目新しいものは皆無でしたが・・・

目に止まった小さな論文。
Indocyanine green angiography in experimental choroidal circulatory disturbance.
Nishikawa M, Matsunaga H, Takahashi K, Matsumura M.
Ophthalmic Res. 2009;41(1):53-8.

ずっと昔の話ですが・・・・・・・恩師『宇山昌延』の興味が網膜にあったのは間違いないですが、当初その研究ターゲットは、脈絡膜や網膜色素上皮だったと記憶しています。私がやったささやかな実験でさえ、最近サプリメント業界で有名になった(?)アミノ酸であるオルニチンを微量硝子体内に投与すると、網膜色素上皮だけが選択的に障害される事を確認し、また、網膜色素上皮が消失した部位では、引き続き視細胞・脈絡膜毛細血管板も変性萎縮が進行し、網膜色素上皮が再生した部位においては、視細胞・脈絡膜毛細血管板の変性は生じないことを確認するものでした。恩師は、網膜色素上皮のダメージが視細胞や脈絡膜毛細血管板に及ぼす影響に興味があったようです。恩師は、研究者というよりは、非常に優秀な生粋の『臨床家』で、臨床上の問題点を明らかにするための基礎的研究がお好みで、結果、脈絡膜循環の特異性、網膜色素上皮の病態、脈絡膜新生血管の解明をメインテーマとされたようです。
1976年に関西医大眼科教授に就任された若き宇山教授の最初のテーマは、脈絡膜循環障害。

脈絡膜循環障害
1.実験的脈絡膜循環障害眼底の蛍光眼底造影所見 太田実 日眼80:531-539,1976
2.網膜色素上皮の貪食と増殖に関する電子顕微鏡的研究 加賀典雄 日眼81:701-719,1977
3.脈絡膜血管構築の立体的観察-血管閉塞実験- 糸田川誠也 眼紀 30:514-518,1979
4.脈絡膜循環障害の病態について 1,脈絡膜血管構築の特異性 血管鋳型標本による観察(第84回日本眼科学会宿題報告) 日眼84:1803-1909,1980
5.脈絡膜循環障害の病態について 2,脈絡膜の血行障害とその回復 蛍光眼底撮影と血管鋳型標本による観察(第84回日本眼科学会宿題報告) 宇山昌延 日眼84:1910-1923,1980
6.脈絡膜循環障害の病態について 3,実験的脈絡膜循環障害による眼底変化 病理組織学的研究(第84回日本眼科学会宿題報告) 宇山昌延 日眼84:1924-1946,1980
7.脈絡膜循環障害の病態について 4,実験的脈絡膜循環障害による臨床例の検討(第84回日本眼科学会宿題報告) 宇山昌延 日眼84:1947-1956,1980


これら一連の実験研究は、1980年の福岡での第84回日本眼科学会の宿題報告『脈絡膜循環の諸問題、脈絡膜循環障害の病態について』で、1つの区切りをむかえます。その後は、1987年の日本臨床眼科学会の特別講演を見据えて、実験ターゲットは、網膜色素上皮、そして網膜下新生血管(脈絡膜新生血管)へと移ります。

網膜色素上皮の病態
1.網膜色素上皮細胞の貪食作用の研究 1,走査型電顕による貪食様式の観察 金井清和 眼紀34:612-618,1983
2.網膜色素上皮細胞の貪食作用の研究 2,被貪食物質の荷電状態と貪食  金井清和 日眼88:1293-1305,1984
3.網膜色素上皮細胞の貪食作用の研究 3,被貪食物質の親水性、含水率と貪食  金井清和 日眼88:1428-1436,1984
4.網膜色素上皮細胞の貪食作用の研究 4,貪食の選択性と微絨毛の態度  金井清和 眼紀36:1216-1221,1985
5.網膜色素上皮の病的反応 1,網膜下腔に注入された異物に対する反応 緒方奈保子 眼紀 38:914-915,1987
6.網膜色素上皮の反応様式 1,貪食-表面性状の異なる異物に対する貪食作用 緒方奈保子 日眼92:1406-1413,1988
7.網膜色素上皮の反応様式 2,遊走と有糸分裂像 緒方奈保子 日眼92:1650-1656,1988
8.網膜色素上皮の反応様式 3,線維芽細胞様化生 緒方奈保子 日眼92:2029-2037,1988
9.網膜色素上皮の貪食増殖反応 緒方奈保子 眼紀 39:31-40,1988
10.網膜色素上皮の反応様式 4,ヒアルロン酸ナトリウムに対する反応態度 緒方奈保子 眼紀39:2060-2069,1988
11.網膜色素上皮の反応様式 5,貪食における網膜下ムコ多糖類の関与 緒方奈保子 日眼93:187-195,1989
12.軽度に障害された網膜色素上皮の反応態度-ヨーソ酸ソーダによる障害 緒方奈保子 日眼93:439-448,1989
13.再生した網膜色素上皮の反応態度 -ヨーソ酸ソーダによる障害 緒方奈保子 日眼 93:466-474,1989
14.実験的オルニチン網膜症 第1報 注入早期の変化 竹内正光 日眼 94:1012-1023,1990
15.実験的オルニチン網膜症 第2報 注入長期の変化 竹内正光 日眼96:161-168,1992
16.外側血液網膜関門障害の陰性荷電状態の検索-第1報 ヨウ素酸ナトリウムによる早期障害 岸本伸子 日眼94:25-32,1990
17.外側血液網膜関門障害の陰性荷電状態の検索-第2報 光凝固後の変化 岸本伸子 日眼94:645-662,1990
18.外側血液網膜関門障害の陰性荷電状態の検索-第4報 鉄による障害 岸本伸子 日眼95:130-139,1991


網膜下新生血管(脈絡膜新生血管)
19.実験的網膜下新生血管の発生(予報) 板垣隆 眼紀 35:898-905,1984
20.クリプトンレーザーによる網膜下新生血管の発生 板垣隆 眼紀36:1384-1391,1985
21.網膜下新生血管に関する実験研究 第1報 実験的網膜下新生血管の発生 板垣隆 日眼89:600-610,1985
22.網膜下新生血管に関する実験研究 第2報 実験的網膜下新生血管の退縮 板垣隆 日眼89:941-948,1985
23.網膜下新生血管に関する実験研究 第3報:新生血管先端部と蛍光漏出停止部の比較 板垣隆 日眼90:1217-1225,1986
24.脈絡膜新生血管の蛍光眼底造影と血管鋳型標本の比較 三木耕一郎Therapeutic Research 3 :596-600,1985
25.脈絡膜新生血管の蛍光眼底造影と血管鋳型標本の比較 三木耕一郎 日眼 90:749-756,1986
26.網膜下新生血管と網膜色素上皮との関連 山岸和矢 眼紀 37:1154-1157,1986
27.網膜下新生血管に関する実験研究―新生血管の発生、進展における網膜色素上皮の 関与 Therapeutic Research 5:665-670,1986
28.網膜下新生血管と網膜色素上皮の関連 第1報 新生血管退縮期における関連 山岸和矢 日眼92:1618-1629,1988
29.網膜下新生血管と網膜色素上皮の関連 第2報 新生血管発育期における関連 山岸和矢 日眼92:1629-1636,1988
30.網膜下新生血管の発育における網膜色素上皮の役割-オルニチンによる網膜色素上皮障害実験 高橋寛二 日眼94:3-17,1990
31.網膜下新生血管の退縮における網膜色素上皮の役割-オルニチンによる網膜色素上皮障害実験 高橋寛二 日眼94:340-351,1990


網膜レーザー光凝固の研究
32.アルゴンレーザーとクリプトンレーザーの網脈絡膜への凝固効果の検討 1,光凝固後早期の光学顕微鏡所見 加藤直子 日眼89:1294-1300,1985
33.アルゴンレーザーとクリプトンレーザーの網脈絡膜への凝固効果の検討 2,光凝固後晩期の光学顕微鏡所見 加藤直子 日眼90:283-290,1986
33アルゴンレーザーとクリプトンレーザーの網脈絡膜への凝固効果の検討 3,脈絡膜血管鋳型標本による立体的観察 加藤直子 日眼90:898-907,1986
34.色素レーザーによる網脈絡膜に対する凝固効果-第1報 組織学的所見 高橋寛二 日眼92:1797-1808,1988
35.色素レーザーによる網脈絡膜に対する凝固効果-第2報 網膜-脈絡膜血管鋳型標本による観察 高橋寛二 日眼92:1809-1817,1988
36.実験的網膜下新生血管に対する色素レーザーによる光凝固治療 1,光凝固による治癒過程の組織学的検索 高橋寛二 日眼 94:799-809,1990
37.実験的網膜下新生血管に対する色素レーザーによる光凝固治療 2,光凝固の奏功しなかった病巣の組織学的検索 高橋寛二 日眼 94:810,1990


臨床の発表を除けば、おおよそ上記の論文作成に関わる実験研究が、臨床眼科学会特別講演ぐらいまでの宇山教室の中心であったと記憶しています。脈絡膜循環障害から始まり、網膜色素上皮の病態、脈絡膜新生血管の作成・治療・・・。

上記の主だった論文発表から20年以上経過していますが、若い(?)研究者のかなりレトロな雰囲気の小さな論文が目に止まりました。

Indocyanine green angiography in experimental choroidal circulatory disturbance.
Nishikawa M, Matsunaga H, Takahashi K, Matsumura M.
Ophthalmic Res. 2009;41(1):53-8.


伝統の脈絡膜循環障害?バックリング手術全盛時代、術前検査で、裂孔位置と渦静脈の位置の関係を確認し、深部裂孔の場合、閉塞させてしまう可能性は・・・、何本までなら大丈夫か・・・などがよく議論されましたが、遠い過去の話です。この論文では、ニホンサルの渦静脈を2本結紮し、実験的渦静脈閉塞モデルを作成しています。脈絡膜循環に急激な変化を引き起こす実験モデルであり、MPPEやCSCと言った慢性的な脈絡膜循環障害(うっ滞)が引き起こす疾患とはかなり解離があるとは思いますが、この実験モデルのインドシアニングリーン蛍光眼底撮影法や病理組織学評価は、最近、深部まで見えるようになったOCTによって、再び光が当たり始めた脈絡膜循環解明の一助にならないものでしょうか・・・・・・妄想?

かつて宇山教授は、臨床家らしく、基礎研究と言っても、臨床に直結するようなテーマがお好みだったと思うのですが、もしお元気であれば、この小さな論文をどのように評価されるでしょうか。多分、論文にするのに何故こんなに時間がかかるの?これを第1報として、すぐに二の矢・三の矢を何故出さないの?松永くんにちゃんと見てもらったの?・・・などと矢継ぎ早に強い口調で言われながらも、チョット興味を示されるような気がしてなりません・・・・・
N先生、体調がすぐれないと聞きましたが、頑張ってくださいね・・
Commented by takeuchi-ganka at 2015-06-23 12:32
このN先生が亡くなられました。若くて優秀で、性格のいい女医さんだったようで、本当に残念です。心からお悔やみ申し上げます。
by takeuchi-ganka | 2014-04-22 16:13 | その他 | Comments(1)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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