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フォーサム2014東京 その4 (767)  術後感染予防対策


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51回日本眼感染症学会 特別講演

宮田眼科病院 宮田和典 先生


都城という日本の亜熱帯地方にある大型眼科病院のお話。単に大型というだけでなく、スタンスが素晴らしい。都城の方は恵まれてますね。

以前、術後の遅発性眼内炎を1例経験したことから始まった、術後感染症との戦いの歴史について・・・。年間6,000以上の手術件数を誇る宮田眼科病院での戦いとは。

術前結膜嚢の培養で陽性率約52%、眼瞼が70%、マ腺が65%。術後感染ゼロを目指して、北里院内感染対策協議会(KiMERRA:キメラ)に加入して院内感染対策を・・。結果術後の急性眼内炎はゼロにできたが、遅発性が・・

一般的に・・

日本の白内障術後眼内炎は、0.050.010.05%

レーシック後が0.030.05

濾過胞炎が2.2

角膜移植後が3.6

起炎菌としては、

白内障術後:CNS、黄ブ、Eフェカーリス

レーシック:非定型抗酸菌(減っているが・・)

濾過胞:Streptococcus

角膜移植:真菌・・

宮田眼科での感染性角膜炎は、150-200/年(菌の検出率70%

 グラム陽性:陰性=2:1

 アキネト、セラチア↓

 コリネ・MRSA・表ブ↑

常在菌検出率は?

 小児 55% 少ないし、耐性菌少ない。表ブはないし、コリネはいても耐性菌ない。

 成人 88% コリネ↑、キノロン耐性多い

 緑内障 60% 何故かコリネ少ない、耐性菌少ない

 長期のステロイド投与 75% キノロン耐性多い。耐性表ブ・コリネ多い。

CMX(ベストロン)は、各群差ない。耐性少ないらしい・・現時点では、CMXがもっと見なおされるべき?当院でも、Y先生の姿勢を見習い、数年前からファーストチョイス抗菌剤をCMXにしています。ただ、周術期の抗菌剤は、キノロンを選択せざるを得ない・・?

周術期減菌化の功罪?(術前⇒当日⇒14日)

レボフロ0.5 826331  耐性を促す?

レボフロ1.5 875730  耐性誘導しにくい・・

ガチフロ   906133

※表ブ減少しない。耐性菌が残存?

※アクネスは全て感受性あり。常にマ腺から供給されている・・?

※長期ステロイド投与眼は、表ブ全て耐性菌。抗菌剤使用眼ではさらに耐性率↑。サイクリック療法必要。

※術前長期間レボフロキサシン0.5%を点眼すれば、かえって耐性化を促す事になり、危険?やるなら1.5%3日間。抗菌剤なしで、術前効果的な減菌化が達成できれば一番いいのだろうが、現時点では、レボフロキサシン1.5やガチフロを使うしかない・・。

遅発性眼内炎

厳密には術後どれくらいから遅発性?1ヶ月以上(原二郎)、6週以上(EVSG)。一般的には、アクネスが原因として多く、硝子体注射・点眼・前房洗浄・硝子体手術・・などで対応。予後良好。

宮田眼科で、098月~1112月までに『遅発性眼内炎』が7例あったと・・。ただ、7例全てHOYA NY-60だった。術後2471日(平均34.8)と微妙な時期。1例はコリネが検出されたが、それ以外は何が原因なのか・・。IOLには問題がないのか?※あたらしい眼科36(9):1323-1326,2013

IOLの折りたたみ方、フットプレート形状、カートリッジのスリット・・・など改良されたらしいが・・、その後宮田眼科では使っていないが、全国的にあの『HOYAIOL関連眼内炎』が132例と多発した。その殆どがTASS類似の非感染性炎症で、術後1560日に発症(7日以内が40%)。遅発性TASS

戦略として・・

内因:現時点では、キノロン術前3日間点眼

外因:器具の滅菌(※例えば管腔構造物は、真空脱気式が必要)

術野:ヨード製剤での滅菌(術前/術中)

ドレープ:瞼縁をしっかり包み込む(菌の供給を遮断)

術中:IOL後面洗浄(スジャータスタデイから・・)

終了時前房内抗菌剤

手術室:陽圧、配線、吸気口

・・・

エデンスのある対策だけでなく、出来る事は全てやるイメージ。術後感染を限りなくゼロに近づける為に・・


by takeuchi-ganka | 2014-07-15 15:23 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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