2014年 08月 03日
第401回大阪眼科集談会 その2 (775) ※揺さぶられっ子症候群
7,治療経過中に視神経乳頭陥凹・網膜神経線維厚の変動を認めた急性原発閉塞隅角緑内障の1例 大阪医大
56歳女性。精神発達遅滞・統合失調症・epilepsyあり。(何となく、慢性の急性化っぽいが・・・)
眼圧15/61(アナムネから左眼眼圧上昇は3日ほど経過している・・・)。陥凹が大きかった(0.7)のが、小さくなって(0.3)また大きく・・・。cpRNFLも最初の6日ほど厚くなり、その後減少。視野も半年後まで徐々に悪化、その後安定。
※要するに、発作で受けたダメージの急性期の変化と慢性期の変化を見ているだけ?
8,初期緑内障患者における10-2視野の有用性 近大
6度間隔の30-2/24-2と異なり、2度間隔の10-2は、初期緑内障の検出に有用。30-2で異常が検出できない初期緑内障症例において・・・30%ほど陽性に?
※日々実感しています。
※高い眼圧が続いた大きな陥凹の中年女性。30-2では、明らかな異常ないが、10-2では初期暗点確認。
その後徐々に悪化してきたので(10-2で)、手術へ。
9,IOL前房内操作を伴わないIOL強膜内固定術 大阪医療センター
IOLを縫着すると言っても、様々な状況がありますが、今回は、RRDでビト後IOLが硝子体内に完全脱臼したケース。パーフルオロカーボンでIOLを浮かして、左右のポートから鑷子を入れてループ尖端を把持してポートから引き出して、強膜に固定。見ている限りでは、簡単なのでちょっと驚き。
10、眼内レンズ強膜内固定術導入前の当院における強膜縫着術の長期成績 行岡病院
強膜内固定以外の方法の成績のまとめ。良好・・・
対面通糸法・眼内レンズリサイクル・眼内haptic縫着・・
cow-hitch法で固定。
11,薬剤熱を生じた淋菌性結膜炎による角膜穿孔例 大阪医大
50歳女性。強い眼瞼浮腫、大量の膿性眼脂、ビロード状に肥厚した結膜炎、右眼は広範囲の角膜穿孔・・
⇒セフトリアキソン(CTRX)の点滴・点眼⇒結膜炎改善したが治りきらない・・・WBC・Pt減少したので、抗生剤変更(Tazobactam / Piperacillin、・・・)⇒CTRX再開⇒アナフィラキシーショック
※薬剤熱はどのあたりで・・・?
特別講演
小児眼科の検査と手術 東範行 国立成育医療研究センター
膨大な小児眼科情報量に圧倒されてしまいました(・・;)
白内障について
片眼6週、両眼6-8週で弱視へ・・
手術を急ぐかどうかの判断。レトロだが徹照による評価が有用。
弱視の判断。VEPが有効(左右差があれば特に・・)
両眼視機能は4歳で完成。0.3以上必要。
IOLは2歳から入れている。
将来の屈折異常の予想は困難。
IOLは絶対bag内に。術創はしっかり縫合すべき。
緑内障について
アイケア出現で眼圧測りやすくなった。
視野は学童期以降でないと無理。
GON:大人と異なる。NFLDなんか見えない。
DD⇒低形成・先天性視神経萎縮・コロボーマ・ピット・・・・
前房深い・乳頭怪しい・・・・⇒眠らせてでも眼圧測定
先ずロトミーをして、3-4回してでも、視神経を4-5歳まではもたせる。その後必要があればレクトミー考慮。
眼底疾患
ROP:Ⅱ型は早期にビト。bevacizumabはやってもいいが、最後は自己判断で・・
FEVR:再増殖に注意。
RRD:先ずbuckling
虐待:剥離も多い。
・・・・
SBS/AHT: Shaken baby syndrome / Abusive head trauma
揺さぶられっ子症候群 / 虐待性頭部外傷
日本の眼科 85:7 号(2014)から
http://youtu.be/T09gzgGUOnY?list=UUVgZUHlkoN51FOwoNMBGjfw
児童相談所への虐待相談件数(現実をどの程度反映しているのかが問題だが・・・)平成12年に1000件ぐらいだったのが、平成24年には6万件以上に・・。
虐待による死亡原因の1位は頭部外傷。Abusive head traumaの死亡率は15-38%。30-50%に後遺症。
Shakenbaby syndrome⇒未熟な脳や眼球の網膜・視神経に伝わり,神経障害や血管の破綻による出血など重篤な障害をもたらす・・・らしい。網膜出血はSBS/AHTの重要な所見。虐待死した頭部外傷の乳幼児の85%に網膜出血。広範囲に様々な部位での出血が見られる。特に出血性網膜分離は虐待に特徴的。
虐待性頭部外傷(Abusivehead trauma: AHT)以外で乳幼児に網膜出血をきたす主な疾患
・白血病 その他造血系疾患
・血液凝固機能異常
・高/低ナトリウム血症 CO 中毒
・未熟児網膜症 新生児網膜(硝子体)出血 網膜血管炎 感染性網脈絡膜炎
・髄膜炎 敗血症 感染性心内膜炎 膜型人工肺 心肺蘇生後
・クモ膜下出血後
・膠原病 マラリア など
つまり、網膜出血があり、血液所見に異常がなければ、虐待を強く疑っていいと・・