第352回大阪眼科集談会
2006年 05月 27日
今日は、珍しくクリニックの診察が長引いたので、出席が遅れましたが、気になった演題を少し紹介します。
・視力不良例に行った光線力学療法の治療効果(関西医大)
これは、最近はやりのAMD(加齢黄斑変性)に対するPDT(光線力学療法)の成績なのですが、通常、治療対象になるのは、治療前視力0.1から0.5なのですが(つまり、あまり視力がいい眼も悪い眼も対象にしていないのです)、今回、0.1以下の眼に絞って、治療成績を見たようです。まあ、予想外の結果ではなく、37%改善、33%不変、30%悪化。治療前が0.1以下なので、悪化しにくいし、また、進行例なので、改善もしにくいといったところでしょうか。あまり、面白い発表ではなかったような・・・。
ただ、やはりPDTは、従来の治療に比べるとなかなか有効な治療で、特に新生血管が網膜色素上皮下に限局していて、網膜構造がそれほど破壊されていない場合は、治療後良好な視力が期待できるようです。そうでない場合は、それなりに・・・・
でも、それは、医師の立場であって、患者さんにしてみれば、治るといわれると、元通りの視力に戻ることを期待する人が殆どで、そのギャップはまだまだ非常に大きいのです。
・近視性新生血管黄斑症に対するbevacizumab(Avastin)の硝子体内投与の効果(阪大)
これも、最近流行の?、抗VEGF抗体のひとつであるAvastinを硝子体内に注射する治療法です。最近、眼内で新生血管が発生するメカニズムが解明されつつあり、それに対して薬物で直接抑制しようとする治療法が始まっています。
高度近視の重篤な合併症のひとつに、黄斑部の網膜下に新生血管が発生する近視性性新生血管黄斑症というのがありますが、かつては、網膜レーザー光凝固術したり、手術で新生血管を抜去したり、網膜を動かして回転させたりずらしたり、かなり大掛かり&あまり改善が得られない治療法が多かったのですが、これが、薬で治るかもしれない!! そんな時代が近くまでやってきつつあることを予感させます。何故か、阪大が独占状態ですが、早く、他大学でも臨床応用できるようになることを期待します。
事実、比較的新鮮な症例をチョイスすれば有効なようです。
この手の薬は眼内に新生血管が発生する疾患、AMD、糖尿病網膜症、血管新生緑内障など多岐にわたる臨床応用が期待されています。本当に効くなら凄いことです。