白内障の点眼 (793)

白内障の点眼 (793)_f0088231_20595244.jpg
※鳥獣戯画:わざわざ京都まで、出かけたけど、ただ古いというだけで、特に感動なし?


ちょっと体調悪かったので、久しぶりの記事です。

白内障点眼

今回は、主として、あたらしい眼科Vol31,No10,2014から

白内障なんか、手術すればいい。更には、もう老眼年齢になれば、調節可能な眼内レンズを入れればいい・・・なんて時代がもうすぐ来るのかもしれませんが、やはり手術には一定にリスクがあるし、全ての患者さんがそれを希望される訳じゃない筈です。今更、何を寝惚けた事を・・・と思われるでしょうが、内心ちょっと驚いた記事に出会ったのでブログにします。

水晶体は蛋白質33%、水分66%、その他1%で構成されていて、その蛋白質はクリスタリン(α・β・γ)と呼ばれ、水溶性で透明性を保っています。ただ、加齢・酸化・紫外線・糖尿病・薬物などで蛋白質が変性して混濁します。αクリスタリンのシャペロン機能により変性した蛋白質を修復可能だそうですが、修復 < 変性だと、白内障が進行します。

白内障予防薬の作用機序

  1. 活性酸素の抑制作用(抗酸化反応) ※紫外線⇒活性酸素⇒蛋白質変性⇒白内障・・・となるので、活性酸素を抑制する。
  2. 還元型グルタチオン減少抑制作用 ※還元型グルタチオンの抗酸化作用が蛋白質変性を抑えているので、その減少を抑える。
  3. SH基保護作用 ※クリスタリン蛋白のSH基が水溶性を維持しているが、ここからHSが外れると蛋白質は結合して不溶性となり混濁するので、SH基を保護する。
  4. キノイド・蛋白質結合抑制作用 ※紫外線によりキノイド物質が生成。キノイドは蛋白質と結合して、凝集し混濁。ピノレキシンがキノイドの代わりに蛋白質と結合することで、蛋白質の凝集を妨げる。

問題の『カタリン』には、④キノイド・蛋白質結合抑制作用と③SH基保護作用があるらしい。

ただ、カタリンの主要文献は、「荻野周三:日本眼科学会雑誌, 59, 666, 1955.で、もう60年ほど前であり、現在の基準に照らせば、エビデンスがないとの非難も多い。ただ、最近、カタリンの主成分であるピノレキシンについては、再評価が進んでいるようです。ちょっと期待しています。

Vestn Oftalmol. 2010 Jan-Feb;126(1):36-9.

[Efficacy of catalin eyed dropsin age-related cataract agents].

[Article in Russian]

Polunin GS, Makarova IA, Bubnova IA.

Abstract

The present investigation studiedthe efficacy of Catalin eye drops (Senju Pharmaceutical Co, Osaka, Japan) inpatients with early senile cataract. An objective procedure for thedensitometric analysis of lens transparency images with a Pentacam apparatus(Oculus GmbH, Germany) was used to assess the results of the investigation.Unlike the control group, the patients using Catalin had a lower opticaldensity in the anterior and posterior cortical lens layers and beneath theposterior capsule in the first months of therapy. In the other lens layers, thetransparency remained unchanged whereas in the controls it was increasedthroughout the follow-up.

カタリンを点眼すると、初期白内障の進行を抑制できたとする・・・・非常にシンプルな臨床研究。昨今、兎にも角にもエビデンスレベルの高い研究の支えがないと、その存在価値を否定されかねない風潮があり、古い薬剤の場合、古い基礎研究しかなく、その有効性に疑問が投げかけれれていましたが、久しぶりにその有効性を示す臨床研究の論文の登場です。カタリン点眼群と非点眼群の白内障の程度を、Pentacam apparatusを用いて水晶体混濁の程度を解析したら、カタリン点眼群の方が、混濁の程度が少なかったと・・・。ロシアですが・・・

Mol Vis. 2011;17:1862-70.Epub 2011 Jul 12.

Role of pirenoxine in the effects of catalin on in vitroultraviolet-induced lens protein turbidity and selenite-inducedcataractogenesis in vivo.

Hu CC1, Liao JH, Hsu KY, Lin IL, Tsai MH, Wu WH, Wei TT, HuangYS, Chiu SJ, Chen HY, Wu SH, Wu TH.

この論文も、in vitroやラットモデルでピノレキシン(カタリン)の有効性を示す論文です。実験の詳細は理解できていませんが、UVで誘導される水晶体蛋白の混濁を抑えたり、セレンで誘発されたラット白内障の進行を遅らせる事が示されています。台湾ですが・・・

温故知新?

今後、カタリン点眼という、古典的白内障点眼治療の有効性にもう少し期待を寄せていいのかも知れない・・・


タグ:
by takeuchi-ganka | 2014-11-01 21:02 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30