考えよう流涙症! 始めよう涙道手術! その2 (853)

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※ちょっと増水中の淀川(溢れたらepiphoraでなく lacrimation?)

流涙症とは

『さまざまな要因による涙液量の増加を伴う慢性疾患であり、眼不快感や視機能異常を伴う』

3,治療

涙道手術の基本手技(あたらしい眼科30(臨増):181-184,2013

  1. 涙点の拡張
  2. 涙点の形成
  3. 閉塞部の穿破:閉塞部位をブジーや内視鏡で押し破る(antegrade probing
  4. 涙小管の形成:③で不可能な場合切開したり、retrograde probingしたり・・・。
  5. 鼻涙管開口部の形成
  6. 涙嚢と鼻腔の吻合
  7. 結膜から鼻腔までの吻合
  8. ステント留置
  9. 涙嚢摘出

これらの手技の組み合わせ・・・

※鼻涙管閉塞・涙嚢炎は、基本的に全て治療だが、涙小管閉塞は涙液の質的異常なく、必ず治療しないことも・・・

症例1:77歳男性

DCR後も流涙あり。波面センサーでは瞬目直後に収差↑・・BUT短縮型ドライアイだった。実はドライアイ患者の10%は流涙が唯一の症状だったりする。

症例2:76歳女性

涙管通水パスなのに流涙・・・・⇒涙液ポンプ不全⇒涙管チューブ(ただTMH低下はチューブ挿入中のみ?)

4,涙道手術

  1. 内視鏡下DCR : 昔は鼻外法が一般的であったが、内視鏡の普及とともに鼻内法が普及しつつある。また慢性涙嚢炎では眼表面の菌量を下げる為にはDCRしかない・・・らしいが、涙嚢炎がない鼻涙管閉塞なら涙管チューブでもいいが、鼻涙管閉塞のタイプによっては(focal blockage/generalized blockage)、DCRでないとダメらしい・・。
  2. チューブ手術 : 総涙小管閉塞に再発はないが、鼻涙管閉塞は30%再発(再発したらDCR)。涙小管水平部や総涙小管の閉塞は、antegrade probingで穿破できたら涙管チューブ留置。
※高度のドライアイが併存している場合は、涙嚢摘出もあり。

5,TS-1による涙道閉塞

TS-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、S-1

  • テガフール:5-FUの前駆薬で、DNAの生合成を阻害
  • ギメラシル:5-FU血中濃度の半減期を延長
  • オテラシルカリウム:5-FUの消化器への毒性を軽減し下痢症状などを抑制

涙液中の5FUが原因で、様々な障害が生じる。涙小管閉塞、角膜上皮障害・・。治験段階で0.15%程度の流涙だったが、もっと多い?1024.3%・・発症時期は7ヶ月程度で、3ヶ月以内に42%。両眼性も80%以上。手術困難・・

※最近の報告では発症までの期間が短縮して、2-3ヶ月。非常に対応が難しいが、やるなら早期にチューブ留置して、内服中は抜去しない。予防的に入れる事も必要。若干非現実的・・?

質疑から

先天鼻涙管閉塞に対する対応は?

昔は、生後まもなくからの眼脂・流涙があって、先天鼻涙管閉塞が疑われたら、涙管通水検査して、閉塞が確認できたらブジーを行っていましたが、現在の治療方針は、まず、観察・涙嚢マッサージとされています。多くの場合1歳前後で自然治癒するという報告もあり、プロービングが仮道を作る危険性もあり、時にセフメノキシム点眼を用いながら、涙嚢部位を軽くマッサージをしつつ経過観察して、6ヶ月以上自然治癒しない場合に、次のステップに進めばいいと思います。

個人的には、次のステップとは、プロービングやDCRを含むので、専門施設に紹介しようと考えています。


by takeuchi-ganka | 2015-07-20 11:14 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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