2015年 10月 07日
『Peripapillary Changes In Pathologic Myopia』 その3 (881)
① http://takeganka.exblog.jp/24455100/
② http://takeganka.exblog.jp/24536666/
に続いて、第三弾・・
病的近視のOCT所見③
Acquired Pits in the opticdisc area and the conus area
視神経乳頭ピットは、高度近視眼ではありがちで、著者らのSS-OCT検査は、視神経乳頭ピット或いはコーヌスピットが高度近視眼198眼中32眼(16.2%)で見られた。ピットは、32眼中11眼で視神経乳頭エリア内(視神経乳頭ピット)に、32眼中22眼でコーヌス内(コーヌスピット)に見られた。 視神経ピットのある眼は、有意に近視が強くて、乳頭部位にピットがない高度近視より眼軸が長い。網膜神経線維層の連続性が視神経ピットの上のエリアで断裂していた(視神経ピットでもコーヌスピットでもどちらでも)。
視神経ピット
視神経乳頭ピットは、視神経乳頭の上か下の境界にある。ピットの殆どの開口部は、円形でなく、三角形だった。視神経乳頭の外側の境界に基底があり、先端が乳頭の中央部に向かう。視神経乳頭ピットのある眼は、ない眼より、乳頭面積やコーヌスが有意に大きい。ピットのある眼の平均乳頭面積は、7.2±2.1mm2。視神経乳頭ピットの深さは、ピットの底がLC内にある浅いものから、時にピットの深さが1000μm以上まで様々。
視神経乳頭ピットは、例えば、先天性ピット、進行した緑内障での後天性ピットなどと報告されてきた。しかし、先天性ピットの眼で見られる神経乳頭の拡張は高度近視眼での、二次的な巨大乳頭とは明らかに異なる。視神経乳頭ピットの早期において、ラミナは、視神経のマージンに沿って乳頭周囲強膜から剥がされているように見える。
視神経乳頭ピットがどのように成長するのかを説明する為に、我々は視神経乳頭が最初に高度近視眼の乳頭マージンの機械的な伸長によって拡大し、巨大乳頭様になると仮説を立てた。この視神経乳頭エリアの機械的伸長は、結果としてLCを引き伸ばして広げる。
⇒①視神経乳頭は、最初、高度近視眼の乳頭部位で機械的に広げられることで、まず大きくなり、巨大乳頭様に。②機械的な伸長後、LCは引き伸ばされ、広げられる。連続するラミナや乳頭周囲強膜の機械的な伸長によって、ラミナは境界部位で乳頭周囲強膜から剥がされる。特に視神経乳頭の上方・下方ポアにおいて。このステージは、SS-OCTで、LCと乳頭周囲強膜の間の移行部で低反射ギャップとして見られる。③後に、ギャップの距離がさらに増大するにしたがって、このギャップの上にある神経線維は断裂している。そして、このステージはSS-OCTで乳頭ピットとして観察される。
ラミナ上や視神経周囲強膜の周りの機械的な力によって、これらの構造が近視性の菲薄化に伴い、ラミナは、乳頭周囲強膜から、割れて剥がれる・・・(特に、上・下極のポアにおいて)。そこで結合組織のサポートの部位は減少。このステージは、SS-OCTでは、LCや乳頭周囲強膜の移行部位で低反射ギャップとして見られる。さらに、ギャップの増大は、その上の神経線維の断裂、或いは欠損部へのこれらの線維のヘルニアと関連していると思われる。
コーヌスピット
コーヌスピットは、報告されたことがない。我々はコーヌスピットが、タイプⅨスタフィローマ(Curtin)の高度近視眼で観察されることを報告した。タイプⅨスタフィローマは、スタフィローマの広いエリアの中で、視神経乳頭のすぐ耳側で突き出たリッジ形成によって特徴づけられる。コーヌスピットは、普通多数であった。それらは、リッジの鼻側で形成され、リッジのスロープに存在する。乳頭周囲強膜分離に似た状態が、このタイプのピットに隣接した部位で見られる。我々は、後部スタフィローマは深いだけでなく、その形を変えると報告した。加齢に伴い、タイプⅠorⅡからのタイプⅨまでの移行形は、視神経乳頭の耳側でリッジ様に突出を形成することで生じる。このリッジ様の突出の形成は、リッジのすぐ鼻側で乳頭周囲強膜が引き伸ばされ、強膜分離に似た状態になる。それで、強膜分離部位での強膜の表層の連続性の断裂は、コーヌスピット形成になると考えられている。
タイプⅨスタフィローマのある眼のリッジの中でのコーヌスピットの形成の仮説
⇒リッジの続発性の発展は、加齢に伴うスタフィローマⅨへの移行が原因で、リッジの内側の乳頭周囲強膜が著しく引き伸ばされて、強膜分離をになる。それで、乳頭周囲強膜がさらに引き伸ばされると、おそらく、スタフィローマの増加した深さが原因で、強膜分離部位の強膜の表層の連続性において、断裂が生じ、コーヌスピットに・・