2015年 11月 20日
関西医大眼科同窓会 秋の勉強会 その2 (892)

ミニシンポジウム
1)総論 網脈絡膜疾患のOCT-病理相関 高橋寛二 教授
OCT画像を見ればどうしても、病理組織所見を思い浮かべてしまいますが、眼病理の専門家でもある高橋教授による、この講演は、今年日眼に参加できなかった私にとって、どうしても聴きたかった内容でした。ちょっとリクエストしたりして・・・。OCT所見と比べて、病理組織所見は、情報量が非常に多いので、十分理解できました・・・とは言い難いですが、本当に勉強になりました。ありがとうございました。
OCTの4本ラインの新しい呼び名:
- IS/OSline ⇒ ellipsoid zone(内節のミトコンドリアが豊富な部位):視力と深い関わりあり。
- COSTline ⇒ interdigitation zone (錐体の内節がRPEの突起に陥入している部位全体の帯状の部分)※訂正済み
Ophthalmology. 2014Aug;121(8):1572-8. Proposed lexicon foranatomic landmarks in normal posterior segment spectral-domain opticalcoherence tomography: the IN•OCT consensus.

※このOCTは、トプコン器械でとった私の網膜で、講演とは無関係です^^; きれいに4本見えている私も網膜・・
病理組織の写真とOCT写真が交互に提示されました。著作権の問題で、本には出来ないのが残念です。
- ERM:内境界膜の上の増殖物(膜)
- MH:典型的なステージ4、円孔状の網膜欠損、古いとfluid cuff(+)、底部に黄白色のブツブツ・・。内顆粒層の嚢胞と外網状層の嚢胞、ERM、底部のブツブツ⇒RPE結節状増殖。術後のEZ・IZが再生すれば視力回復。再生不良なら視力不良。
- CME:①CRVOのCME、これも2層の嚢胞(内顆粒層・外網状層)、全体が膨化、SRD(80%にある)。②DRのびまん性浮腫:注目すべき所見 高反射白い点々⇒hyperreflective foci 脂肪貪食したマクロファージ、硬性白斑の前駆体、変性した視細胞、網膜色素上皮過形成・・⇒中心窩下に硬性白斑⇒視力予後悪い
- 網膜虚血:軟性白斑⇒神経線維の微小梗塞、cytoidbody(神経線維内に変性した細胞内小器官が溜まる・・)
- CRAO:Cherry red spotは内層の高反射・肥厚⇒壊死⇒神経萎縮・内層菲薄(グリオーシス)
- CSC:急性CSC:漏出部位⇒micro PED(高率で)、RPE microrip(小さな裂隙)、少し時間が経過すると、網膜プレチピテート(網膜下・網膜色素上皮上・網膜内・・)マクロファージ浸潤、脈絡膜肥厚:Pachychoroid(正常は250μm)、脈絡膜外層低反射腔。
- AMD
l 前駆病変:軟性ドルーゼン、網膜色素上皮異常、reticularpseudodrusen
① 軟性ドルーゼン:網膜色素上皮隆起、均一内部反射、網膜色素上皮下の老廃物


※outer retinal tabulation (ORT)、視細胞変性の一過程。進行例の24%。視細胞がELMを取り巻く。臨床的意義は不明
※屈折性ドルーゼンrefractile drusen :キラキラ光る黄白色点の集簇、ブルフ膜の石灰化、網膜色素上皮下物質の石灰化、古いドルーゼンの石灰化、萎縮しやすい・・
l 滲出型加齢黄斑変性
①典型加齢黄斑変性
- 1型CNV:doublelayer sign ⇒網膜色素上皮とブルフ膜の間に新生血管、55歳以上なら加齢黄斑変性
- 2型CNV:灰白色滲出斑+出血:網膜色素上皮上に高反射物質⇒フィブリン・新生血管
②PCV:橙赤色隆起病巣⇒網膜色素上皮下血管の網目、その先に血管の塊⇒double layer sign(異常血管網)、ポリープの中に輪状反射⇒網膜色素上皮基低膜の下に海綿状の拡張血管。 ※脈絡膜肥厚 pachychoroid :PCVで脈絡膜血管が拡張して、脈絡膜毛細血管板閉塞?
③RAP 網膜血管腫様増殖 早期は軟性ドルーゼン、reticularpseudodrusen⇒網膜内新生血管・網膜出血⇒強いCME ※網膜外層(外顆粒層)にNV、すぐにPEDが・・