2016年 02月 01日
緑内障Pro. by Beeline (906)

緑内障は、超慢性疾患なので、経過観察加療期間が長期にわたる事が多い。10年以上の患者さんも少なくなく、中には、20年以上の付き合いの方もおられます。診察の時は、その長期にわたる眼圧経過や視野の経過を見て、このままの治療を継続するのか、治療内容を変更するのかを判断しなければならない。眼圧経過は、紙カルテの当院でも、グラフ化されているので、一目でわかるのですが、視野経過に対する解釈が問題となります。昔々?大学にいたころは、カルテの書き換えの度に、視野を縮小コピーして、並べて添付して、ぐっと睨んで判断するスタイルでしたが、いつの頃か忘れましたが、ビーラインという会社の視野解析ソフトの存在を知り導入しました。⇒ http://takeganka.exblog.jp/12572672/ (2009年にブログに記載しています。)
長らく、この解析ソフトを使わせていただき、今では、このソフトなしの緑内障診療は考えられないほど依存してします。そんな解析ソフトが、一段とグレードアップしました。最初に知ったのは、2014年の白土先生の講演会(http://takeganka.exblog.jp/21398827/)で、すぐに導入しようと思ったのですが、諸事情により、今年からの導入となりました。もともと、この会社は緑内障の大家・重鎮の意見を柔軟に取り入れるという離れ業をされていて、だからこそ素晴らしいのですが、今回のソフトは、白土城照博士監修と名前がしっかり書いてあり、白土先生の緑内障に対する思い入れが反映された仕上がりになっているようです。この会社の方は、多分何度も先生とやりとりをされて、ここまでの製品に仕上げられたのだと思います。本当に頭が下がります。

今回の一番のポイントは、この画面です。
- 一番上にグレースケールの縮小版が、ずらっと並びます。トータル偏差やパターン偏差に変更可能で、並べ方も変えれます。怪しいデータは除外可能。
- その下には、何をチョイスするかによって変わりますが、MD・PSD・TD・VFI・・・などのデータがグラフ化されて経時的変化が一目でわかりますし、回帰直線と回帰係数が示されます。
- 一番下の段は、30-2ならそれを上下5個づつ、計10個のセクターに分けて、それぞれのセクターは、赤・ピンク・黄・白と4色に塗り分けられます。1年1dB以上悪化していたら赤、0.5~0.99ならピンクとなります。つまり赤やピンクならそのセクターが悪化していると一目で分かる訳です。
- セクター内の数値は、視野障害進行速度を示していて、その数字も有意なものなら、赤や黒となります。
- そのとなりにも10個のセクターがあり、ひとつのセクターの中に→が3つあります。これは、直近4回の視野検査の結果をみて、前回と比べて2dB以上悪化していたら、赤で下向きの→、改善していたら、青で上むきの→、それ以外は黄色で横向きの→となります。これも一目で、最近悪化してるのかどうかが分かる仕掛けです。
※これらはすべて、期間を任意に区切ると、瞬時に、その期間内の結果を再計算してくれます。つまり、手術をしたり、治療内容に大きな変化があれば、そこで区切れば、前後の比較が簡単に出来るわけです。
当院なんかと、比べ物にならないほど多くの緑内障患者を長期に診ざるを得ない先生の思いが詰まった、役立つ情報が満載の一画面です。イマドキの若者の意見じゃないですが、コスパは悪くないと思います。これで、緑内障診療が、ちょっと楽になって、ちょっと楽しくなった・・・気がします。