なにわ眼科勉強会? その1(920)
2016年 03月 14日

- 永井先生の講演は、OCT所見をみて抗VEGF硝子体注射をするかしないか・・・・・
- 狩野先生の講演は、OCTを用いた緑内障もどきの鑑別診断と治療の考え方?
- 多分こんなタイトルだったと記憶しています。
永井先生の話から
『OCT所見をみて抗VEGF硝子体注射をするかしないか・・・・・』
- 64歳女性 出血・PED(ノッチあり)・double layer signあり・PCV⇒明らかな注射の適応
- 80歳男性 2型CNV・Subretinal Hyperreflective Material (SHRM)+SRD⇒明らかな注射の適応 ※FA・IA必要だが、リスクを伴う検査なので、今後OCTangioの必要性が高くなるだろうが、写らないこともある。SHRMについては、初めて聞いた用語だったので、演者に尋ねると「fibrinと思われる中等度反射」らしい・・。
- 76歳女性 軟性ドルーゼン多発・SRD(-)・出血(-)・変視症(+)⇒治療不要・経過観察必要
前駆病変 1)軟性ドルーゼン(63μm以上のものが1個以上:乳頭辺縁での網膜静脈(約125μm)の半分以上) 2)網膜色素上皮異常:色素脱失・色素沈着・PED
※reticular pseudodrusenに注意。中心窩よりアーケードから周辺に多く、発症すれば予後不良) 治療はないが、禁煙とサプリメント(オキュバイト・サンテルタックス)。
- 大型の古そうなPED・周辺に少しSRD(+)・CNV(-)⇒適応(-) ※現実にはすることもあると・・・
- 73歳男性・PCVでSRDがあり注射して良くなったケースの提示。大学のスタデイでは導入のみで1年以上再発がないのは、27.5%。つまり、72.5%は再発あり。投与方法⇒Proactive(Fixed/TAE) orReactive:PRN。再投与基準:視力低下・SRD・中心窩網膜厚↑・出血・新しいCNVなど
- 64歳男性PCV。一端良くなったが、SRD(+)で注射へ
- 62歳女性PCV。一端良くなったが、SRD(+)。但し視力(1.5)。それでも注射へ
- 74歳男性1型CNV ルセンティスで改善するものの何度も再発して徐々に効きにくくなり、アイリーアで一応RD(-)へ・・
- 提示されたOCTは、中心窩から結構離れた場所のPEDのみの再発?クロスで撮影したOCTが病変と捉えてないだけで、しっかり再発していたので、注射へ。OCTがしっかり病変を捉えてないこともあるので、注意。
- 73歳男性PCV。注射して、RD改善・少し残存して再発、徐々に効きにくく・・・。注射しては再発を繰り返し、本人も(1.0)を切ると注射に同意するが、それ以上だと経過観察を希望・・・・そんなこんなで3年以上。
- 89歳 高度の線維化病変・外層障害強い⇒適応(-)
※講演内容から、思い切りそれますが、上記73歳男性のPCVの経過を見ていて感じたのだが、かつてFAやIAで脈絡膜新生血管を特定して、大熊先生や高橋先生が名人芸で直接凝固しても、やがて再燃して、出血・SRD・線維化などで、最終的に大きな瘢痕病巣になってしまうケースを見かけたのだが、今では注射をするだけで改善する(もちろん効きにくかったり、無効に近い事もあるのだろうが・・)。また再燃しても再度注射すれば改善する。慣れてくれば、本人はSRDが出ても、まだ見えているから大丈夫・・・と余裕さえ。結局注射を何度も何度も繰り返しながら、何年も良好な視力が維持される事も多いらしい。確かに医学は進歩したのだろうが、視力を維持する必要経費はいったいどれほどに・・・・・?70歳以上で3割負担なら注射1回5万前後。仮に5万として、導入期は月1回を3回で15万ぐらい。その後1年以上再発がないのは27.5%にすぎないらしい。維持期の注射が2ヶ月1回ペースなら30万/年、3ヶ月1回なら20万/年。高額療養費制度は、毎月の上限が設定されているだけなので、あまり意味が無いし、手術じゃないので、保険給付も受けられない。導入の3回は仕方ないとしても、維持期の治療ぐらいは減額してあげてほしいといつも思うのです。
チョット調べると、台湾では3本目が無料。オーストラリアでは5年間で18本超えると19本目から無料。イギリスでは3年間14本を超えると15本目から無料で、製薬会社が薬剤コストを負担しているようです。日本も何か対策を・・・。何か対策が行われるか、薬価収載時の予測販売金額の2倍を超えるほど売れて、薬価が飛躍的に下がるまでは、まずは禁煙し、オキュバイトかサンテルタックスを服用し、しっかり予防に努めるしかない・・・?

