2016年 04月 07日
第411回大阪眼科集談会 その3 (925)
特別講演
角膜感染症の臨床 佐々木香る
我々が使う点眼は、抗菌剤、ステロイド、アシクロビル(ACV)、角膜保護(ヒアルロン酸)・・この4つ。まず、ステロイドの使い方から。
ステロイドが必要な角膜浸潤とは・・?
l 周辺部 ①カタル性角膜浸潤:2/4/8/10時が眼瞼縁と接触する部位が好発部位。輪部球状腫脹。輪部との間に透明帯があり、上皮欠損は僅か。②自己免疫性周辺部角膜炎・モーレン潰瘍:輪部に沿って円弧状、細い上皮欠損、強膜炎+深掘れ、透明帯がない。
l 傍中心 ③シールド潰瘍:白い明瞭な縁取り・底地ザラザラ ④角膜フリクテン(マイボーム腺炎角膜上皮症):若い女性・血管侵入・浸潤・実質菲薄・・
l 全体 ⑤ウイルス性角膜炎後の多発角膜浸潤
次が、ステロイドが絶対禁忌の病変
①角膜真菌症:酵母菌より糸状菌の方が大型?ともに早期か奥へ(深部へ)へゆく。境界が羽毛状。ステロイド入れると、すぐに前房へ達っしてしまう?endothelial plaque・前房蓄膿。農業従事者やツキ目が原因の角膜病変なら、診断がつかなくても、ステロイド入れない! ②アカントアメーバ角膜炎:位相差顕微鏡の動画の提示があったが、気持ち悪く動いていた。よく動くタイプとそうでもないタイプがあるらしい。
アシクロビル(ACV)が必要なもの。当然ヘルペスなのだが、鑑別困難な病変について
①薬剤毒性による角膜上皮障害:バリア機能低下、dendritic tail(-)。②再発性角膜びらん:接着不良な上皮、偽樹枝状病変があってもターミナルバルブ(-)。③アカントアメーバ角膜炎:弱々しい樹枝状病変で、SPKの連続した感じ。ターミナルバルブ(-)。
ステロイドが必要なヘルペス病変
上皮型ヘルペスはステロイド不要だろうが、実質型・内皮型・虹彩炎などはステロイド併用が必要。提示された3症例はチョット複雑。★発症が急激でない、眼脂が著明でない、ヘルペス既往がある、種々の部位に生じる、血管侵入がある、上皮げ脆弱・・などがヘルペスを見抜く方法。①実質型(壊死性):角膜フリクテン似 ②実質型+栄養障害性潰瘍 ③実質型+虹彩炎型 治療:ステロイド+アシクロビル(ACV):①ステロイドは局所控えめ+少量内服考慮 ②ゆっくり減量 ③ACVより先にステロイドを中止。④ACVをちゃんと使っているか確認。⑤中止して再燃したら少量継続。※なんどか再燃している間に、最低限必要なステロイドがわかるらしい?
患者紹介時の注意
1,細菌感染と判断して送る場合に、できればキノロンのみで・・・。バンコが入ると、紹介先でスメア・検鏡した時、細菌が殆どなくて、診断確定が遅れる。
2,真菌感染が疑わる場合も、ピマリシンを入れない?入れると、病巣が更に奥へ行ってしまう。内皮側へ到達すると治りにくくなる。
3,ヘルペス:PEDになりそうなら・・