第7回関西Glaucoma Update その2(955)
2016年 07月 02日
イントロダクション2 三木弘彦
強度近視≠病的近視で、病的近視は、後部ぶどう腫・眼球変形・乳頭黄斑部の障害。0.1以下の視覚障害の13%が病的近視:脈絡膜新生血管には抗VEGF、分離症・黄斑円孔にはビト、視神経症(MON)には?緑内障屋は、緑内障に近視が多いが、緑内障から強度近視を除いてきた。また、15以下のNTG with近視は進行しにくいらしい・・何故?対象に、GON、MON混在しているから?
特別講演② 強度近視眼の緑内障 -病態の診断のコツ- 福井県済生会病院 新田耕治
MON vs GON :MONのVFDは上下対称、GONは上下非対称だが、VDDパターンでは、鑑別困難。
小児の乳頭は、近視化とともに、回旋・傾斜する。更には、ピット・ICC・循環障害・LC菲薄・LC断裂・SAS・コーヌスピットなど様々な変化が。若年では、乳頭の回旋・傾斜、コーヌス、眼軸延長、壮年では、後部ぶどう腫、そして老年では、びまん性網脈絡膜萎縮、限局性網脈絡膜萎縮・・
B J Curtinは、病的近視の後部ぶどう腫をを10に分類(大野京子先生は、3D-MRIで5つに分類Ⅰwide Ⅱnarrow Ⅲperipheral ⅣnasalⅤinferior
http://www.tmd.ac.jp/press-archive/20121011_1/)。この中で、タイプⅨは視野進行しやすい?強度近視を11年経過みていたら、13.2%に視野欠損が出現して、6割で進行した。共通点は、scleral curvature 。これは、CurtinのタイプⅨ(論文から引用)
- 高度近視では、LC defectがあり、papillo-macular bundleが障害されることも・・・(←高度近視のNFLDは、0-10°に多い)(vertical tilt angleが大きいとLC defent 多い) 『Lamina cribrosa defects and optic disc morphology in primary openangle glaucoma with high myopia. Kimura Y, Akagi T, PLoSOne. 2014 Dec 22;9(12)』
- LC defectは、緑内障で薄く、高度近視で薄く、高度近視緑内障で非常に薄い(Jonas)。
- 視神経乳頭ピット:緑内障様の視野欠損。要注意・・
- SSOH(上方にかぎらず鼻側下方広範囲なこともしばしば):OCTangio でRPC減少・・
- The Glaucoma Stereo Analysis Study (GSAS) ⇒ 、ステレオ眼底カメラでPOAGの視神経乳頭形状を解析する多施設共同研究があるらしい。今回は、93眼の緑内障眼を眼底写真から医師がニコレラの4つの乳頭形状に分類し、コーワのステレオ眼底カメラ(nonmydWX3D)に付属している解析システムで、①耳側R/D比②鼻側R/D比③平均乳頭陥凹深度④乳頭傾斜角度⑤リム偏心率の絶対値⑥乳頭輪郭上の高低差のパラメーターから乳頭形状分類を行い、一致率を求めると、かなりの一致を見た・・・らしい。ニコレラ分類のMY ⇒ 血流低下、固視点近傍の視野欠損、若年、進行遅い?
- 非近視緑内障 vs 近視緑内障(⇒後者は、若年・男に多い・眼圧高い・進行遅い・DH少ない。)
- PPA with BM(βPPA) vs PPA without BM(γPPA) (⇒後者は、近視で大きくて、視野進行遅い、DHも少ない)
最後にOCT angioの話:見つからないこともあるらしいが、Zinn-Haller 動脈輪について。OCTangioで、視神経乳頭とZHが離れていて、その間の毛細血管が疎⇒視野欠損?
- 視神経乳頭近傍RNFL CRA
- 前篩状板~後篩状板 SPCA
- 篩状板 SPCA ⇒ ZH
- 視神経鞘周囲 PA
この図は、なんとなくモヤモヤしていた、近視と緑内障との関係をすっきりさせてくれる気がする(現実は別ですが・・・)。GONは、篩状板の脆弱性に起因する視神経障害、MONは、眼軸長延長に伴う眼球の変形に起因する視神経障害。MONの要素が強い緑内障は、γPPAが広く、悪化速度も遅い。