緑内障を間違うことなく、早期発見する為に

緑内障には、発見しにくい眼(見逃しやすい)と発見しやすい眼(見逃しにくい)があります。或いは、誤診しやすい眼と誤診しにくい眼があります。それについて少し述べてみます。
(ここでも、緑内障とは原発開放隅角緑内障(正常眼圧緑内障を含む)のことです。)

先ず、緑内障が発見しにくい眼とはどんな眼でしょうか。

①視神経乳頭が小さい
②緑内障以外の視神経乳頭の形態異常がある。

①緑内障性変化については、前述しましたが、基本的には、視神経乳頭の中央に見られる陥凹が拡大していく変化です。当然、もともとの視神経の大きさが小さければ、陥凹は小さいので、その小さい陥凹が僅かばかり大きくなっても、それが隣接した網膜に明瞭な緑内障性変化(NFLD)を伴わなければ、見つけにくいのです。このことは、10年も15年も前に、当時関西医大緑内障グループのリーダーだった三木助教授から何度か教えられた記憶があります。でも、この場合は、単にターゲットが小さいだけです。チョット気になったら、後極部コンタクトレンズを当てて、乳頭&周囲網膜を舐めるように見れば何とかなるかもしれません。ただ、チョット気になるかどうかが大問題ですが。

②高度近視、傾斜乳頭に代表されるような視神経乳頭の形態がそもそも歪な場合、それに緑内障変化が加わったとしても、この変化分を認知しにくいのは当然で、なかなか診断しにくいものです。加えて、周囲網膜も豹紋状でNFLDもつかみにくいとすれば、どんな最先端機器を使おうが、緑内障の達人であろうが、早期診断は不可能と思われます。


この写真の乳頭は、高度近視+小乳頭です。乳頭の大きさの指標に使われるDM/DD比は、4.22と非常に小さく、HRTでは、1.035mm2でした。ここまで緑内障が進行しているとわかりやすいでしょうが、初期だと見落とす可能性があります。この症例は、ハンフリーだとわかりにくいので、GPを提示します。

f0088231_1034049.jpg

 (a1+a2)/2=1.36、a1+b=5.75、DM/DD=4.22
f0088231_10345696.jpg





緑内障と誤診しやすい眼
 ①視神経乳頭が大きい。
 ②緑内障に類似した形態をとる視神経疾患

 ①神経線維の数は、100~120万本でほぼ一定なので、視神経乳頭が小さければ、陥凹は小さいですが、乳頭が大きければ陥凹も大きくなります。従って大きめの乳頭の場合、緑内障と間違いやすいのです。この視神経の大きさは、例えば、HRTのような器械で乳頭面積を計測するようになると、こんなに大きな乳頭なのだからと、この程度の陥凹の大きさは当然と判断できるのですが、通常の眼底検査ではそれほど乳頭の大きさに気を配っていないので、ついつい陥凹の大きさの方に目を奪われて、過大評価してしまう可能性があるのです。ただ、この場合、乳頭周囲網膜をしっかりと観察すれば誤診は避けることができます。
 私のクリニックのケースでも小さな乳頭は、1.5mm2以下ですし、大きな乳頭は、4.0 mm2以上です。(HRTⅡの正常範囲は、1.69~2.82 mm2)これぐらい、大きさのバリエーションの大きいものを扱っているという意識をもつことが必要だと感じています。

②視神経乳頭の形態が緑内障性視神経症に類似している視神経疾患
1)SSOH
superior segmental optic hypoplasia などと呼ばれるようになった難しそうな疾患だが、緑内障を多数見てきた人なら、その中に、んん?と疑問に思う症例に出くわしているのでは・・・。視神経は大きめの陥凹があるようで、緑内障に見えるので、視野測定してみると、マリオット盲点に連続して、周辺視野に穿破するような広がりをもつ弓状、楔状の視野欠損がある。だけど、全く進行しない。 勿論眼圧は正常。このような眼をSSOHと呼ぶようになったんだと思います。
厳密には、SSOHは、Kimらが、視神経乳頭・網膜神経線維層の4徴候
1、網膜中心動脈の上方偏位、 2、乳頭上半の蒼白化、 
3、乳頭上方の周囲のハロー、 4、上方の視神経線維欠損
+ 下方の高度の視野欠損で定義していますが、
多治見スタデイ以降に山本教授らが提唱しはじめた日本のSSOHは、Kimらの定義とは若干異なっているようで、
 要するに、若年で、鼻上側の乳頭リムの狭窄と蒼白化、対応するNFLDと楔状視野欠損という、非常にNTG類似の非進行性の疾患がNTG患者の10%程度の数存在するので、注意しましょうということです。

その他にも、
2)視神経乳頭コロボーマ
3)視神経乳頭小窩
4)中毒性視神経症、頭蓋内疾患による視神経萎縮 (蒼白部>陥凹部)
5)虚血性視神経症(後期に陥凹を伴う視神経萎縮を来たすことがある)
6)レーベル病 
などが、緑内障性視神経症に酷似した乳頭所見を示すことがあることを忘れてはいけない。
これらについては、またの機会に解説します。
Commented by こけもも at 2009-04-22 22:06 x
1)SSOH
superior segmental optic hypoplasia などと呼ばれるようになった難しそうな疾患だが、緑内障を多数見てきた人なら、その中に、んん?と疑問に思う症例に出くわしているのでは・・・。視神経は大きめの陥凹があるようで、緑内障に見えるので、視野測定してみると、マリオット盲点に連続して、周辺視野に穿破するような広がりをもつ弓状、楔状の視野欠損がある。だけど、全く進行しない。 勿論眼圧は正常。このような眼をSSOHと呼ぶようになったんだと思います。

視野障害の鑑別に関して
読書していたところ、文字がちらついて見えることに気がつきました。注意して見え方を調べると、文字が一字とんで見えました。
文字は右目の鼻側下方視野に対応する場所にありました。
こういうことは一般的なことなのでしょうか。それとも一度病院に行った方がいいのでしょうか。 20代後半女性
Commented by takeuchi-ganka at 2009-04-22 23:57
 それだけはっきりした症状があれば、とりあえず、眼科を受診して視野検査を受けるべきだと思います。
Commented by こけもも at 2009-04-23 08:07 x
ありがとうございます。実は以前、ドライアイや物によくぶつかるという症状で眼科を受診しており、眼底は異常なし、まだものにぶつかるようなら視野検査しましょうといわれました。また、HRT-Ⅱの体験会で右目の乳頭陥凹が少し大きいといわれました。再度受診してみようと思います。
親戚に末期緑内障の人がいるので緑内障はこわいなと思っています。
by takeuchi-ganka | 2006-06-24 10:38 | 緑内障 | Comments(3)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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